20210621_JMIA_イケヤフォーミュラ_量産車用_シームレストランスミッション

シンプル、軽量、安価なシームレストランスミッションの可能性

人とくるまのテクノロジー展2021取材の番外編。
出展予定だったものの、リアル展示会の中止に伴い取り止めた企業を特別にピックアップしていく。
今回は、JMIA(日本自動車レース工業会)の会員企業である株式会社イケヤフォーミュラの「シームレストランスミッション」の現状について紹介する。
2年前にも紹介した内容だが、本稿ではあらためての製品紹介と、その後の取材で得た情報や現時点での状況を織り交ぜてまとめてみた。
※本記事中の情報、画像の商用利用、無断転載を禁じます。

「シームレストランスミッション」とは、市販車採用を目指して数年前から開発進められているトランスミッション。
その名の通り”途切れのない”シフトチェンジが可能なミッションで、その主な特徴として、シングルクラッチによる通常のマニュアルミッション(2軸MT)をベースしている点があげられる。
これに、特殊なドグとハブ形状としたドグクラッチと板カム式シフトアクチュエータ、2モーター+電子スロットルを組み合わせるという、イケヤフォーミュラ独自の「シームレストランスミッション」を作りあげてきた。
※その仕組み、動作状況は動画(イケヤフォーミュラ, REVOLT-IS)をご覧頂きたい。

これまでシングルクラッチ方式では”途切れのない”シフトチェンジは不可能とされており、そのためフォルクスワーゲンのDSG(ダイレクト・シフト・ギアボックス)や、日産GT-R(R35)とランエボX等のDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)のような2つのクラッチで制御する「シームレストランスミッション」が主流となっている。
だがデュアルクラッチ方式では”構造が複雑”、”大きなトランスミッションサイズ”、”重量増”、”高コスト”、”ストップ&ゴーの多い地域でのクラッチの早期摩耗”というデメリットを抱えているため、その採用も一部車種までに留まっているのが現状。

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(C)イケヤフォーミュラ / JMIA
商用利用、無断転載を禁じます

反面イケヤフォーミュラが考案したシングルクラッチによる「シームレストランスミッション」は、”シンプル”で”軽量”、そして”安価”なユニットとなっているため、デュアルクラッチ方式の問題の多くを解決できるとされている。
さらに小排気量車や巨大な駆動部まで対応可能。
生産に至っては特殊な製造ラインを必要とせず、ミッション自体の分解整備も、従来の設備や機器をそのまま使って行う事ができるとか。
これなら、効率かつ軽量、安価を求められるハイブリッドカーやEVとの組み合わせでも高いパフォーマンスを発揮するはず。
量産化の暁には、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)以上の普及も期待できるだろう。
そのためにもイケヤフォーミュラでは継続した開発と、各メーカーへのプレゼンテーションや量産化への検討が進めている。

【重量比較による参考データ】
トヨタ・セリカ(純正6速MT):43Kg ⇒ トヨタ・セリカ(イケヤフォーミュラ6速シームレストランスミッション):42Kg
トヨタ・セリカ(純正4速AT):72Kg ⇒ トヨタ・セリカ(イケヤフォーミュラ6速シームレストランスミッション):42Kg
VWゴルフ(純正7速DSG):70kg ⇒ トヨタ・セリカ(イケヤフォーミュラ6速シームレストランスミッション):42Kg
アイシンCVT:59kg ⇒ トヨタ・セリカ(イケヤフォーミュラ6速シームレストランスミッション):42Kg
ZF 9速AT:78kg ⇒ トヨタ・セリカ(イケヤフォーミュラ6速シームレストランスミッション):42Kg

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シームレストランスミッション搭載のイケヤフォーミュラのオリジナルマシン「IF-​02RDS」
(C)イケヤフォーミュラ / JMIA
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近年では、2輪や4輪向けの競技用として高出力、超軽量を目指した「シームレストランスミッション」の開発や、EV用2段変速の「シームレストランスミッション」の開発も進めるなど、より実用に向けた取り組みも行われている。
その過程では新たなシステムも生み出されたようで、技術も着々と進化しているようだ。

さて、そんな「シームレストランスミッション」をぜひ試してみたいと思われた方へ。
イケヤフォーミュラでは試乗車が用意されているとの事で、まずはお問い合わせ頂きたい。

【文】
編者(REVOLT-IS

【オンライン取材協力 – 写真協力 – お問合せ】
株式会社イケヤフォーミュラ
JMIA 日本自動車レース工業会

編者

REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。