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チューニングカー公認取得への道

お気に入りの愛車に好みのチューニング、カスタマイズを施し、車検もそのままパスでき警察にも止められる事もなく公道で何の気兼ねもなく乗り回したい。
ストリートカー乗りなら誰もが一度は夢みただろう。
そんな夢を、長い年月をかけて形にしたショップがある。

横浜のカーショップWORKS
東京オートサロン2020にて完全公認取得を目指したトヨタ86が準備中である事をお伝えしたが、昨年後半についに公認取得が完了。
満を持して公道デビューを果たした。

その公認取得という目標を達成したこのトヨタ86、カーショップWORKSでは「JZ86」と呼称されているこの車にあらためて迫り、各部の説明を交えつつ、公認取得に至るまでどのような事があったかお伝えしていきたい。


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外装はRocket Bunnyのエアロキット。
そのボディには、ランボルギーニ専用のGrigio Lynxカラーが塗られている。
ボンネットにはトヨシマクラフトのクーリングカーボンボンネット。
ルーフは切り取り、PRO COMPOSITEのドライカーボンルーフがそれぞれ装着している。

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クロームメッキ処理が鮮やかなエンジン。
仕様そのものはノーマルで、タービンも純正品を用いている。
ミッションはJZX100系純正をオーバーホールして使用。
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オイルレベルゲージの取っ手にはラジコン用ホイールが付いている。WORKSらしさ溢れる遊び心だ。

クロームメッキで輝く搭載された1JZ-GTEエンジンのアイドリング動画。

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ホイールはワークのマイスター S1R MBL GG。タイヤはナンカン。前後とも18インチでまとめている。
そして車高調にDG-5を採用。

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着地状態でも、タイヤ・ホイールとフェンダーとは絶妙でバランスで保たれている。
さらにメーガンレーシングのサスペンションアームを装着し、理想のアライメントとなるよう調整できるようになっている。
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ヘッドライトはクリスタルアイのV4をそれぞれ採用。精悍さをより際立たせている。
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ダックテールスポイラーが新鮮なリア周り。
マフラーはトラストのコンフォートスポーツ
一定条件下で音量を下げる改造が施されている。
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ダックテールが純正位置のハイマウントストップランプを見えにくくするため、ランプをこの位置に移動。
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86のRCグレードベースなため最初からロールケージが備わっているが、全体的にはストリートカー然とした内装で落ち着いている。
ボディは内装を一旦全て剥がしてフルスポット増し。
ロールケージは、純正パッドを剥がしてグリーンの塗装が施されている。
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独立検査法人の見解では、ロールケージは乗員の頭部が接触する部分のみ衝撃パッドが巻かれていたらよいとの事。
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ロールケージのカラーに合わせ、HPIの4点式シートベルトもグリーン系統にまとめている。
BRIDEのフルバケットシートとの相性も良さそうだ。
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シートだけでなく、ドアの内装各所にBRIDEロゴがあしらわれている。
一部、内装業者もサジを投げた加工もあったそうだが、そこは拘りを諦めず自社で作りぬいたという。
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アルカンターラ生地が贅沢に使われている。
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Lepyのオーディオアンプをグローブボックス内に設置。
ストリートカーならオーディオ面もぜひ気にしたいところ。
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CAN解析により、各種メーター表示やエアコンもバッチリ機能する。
センターコンソールには、Android OSがインストールされたタブレット端末が埋め込まれている。
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タブレット端末には、Defiのdefi smart adapterを介して得られた情報を専用アプリでメーター表示。
とても見やすく、タッチ感覚で操作できるのもあって慣れると使いやすそうだ。

なんとこのJZ86にはドアノブがない。
リモコンを持った人が近くに来ると、センサーが反応して自動で開くようになっている。
欠点としてバッテリーをあげてしまうと開かなくなるそうで注意したいところ


さて、ざっくりこの「JZ86」の細部を見てもらったが、こうして説明するのは簡単なれど、公認取得に至るには様々な困難があったという。

主だったところで難問だった箇所を伺うと、真っ先に排ガス検査をあげてくれた。
排ガス検査とは、文字通りガソリンエンジンから排出される排気ガスに含まれるCO、THC、CH4 、NMHC、NOx、CO2及びPMといった各成分の濃度などが、法令に定める基準値以下となっているか検査するもの。
世界的な環境問題に対応していくため日本でも自動車法令は年々厳しくなっており、昔の基準では問題なかったものが現代ではNGとなるケースも少なくない。
そういう意味では、トヨタ86のように比較的新しい法令に準拠した車に、古い法令に準拠して開発された車のエンジンを乗せ換えた場合、そのままでは間違いなく車検で落とされる。
そのため触媒は純正のままで、エンジンや補器類、ECUのセッティング、解析を行いながら基準値以下となるよう調整を進める事になるわけだが、このためにカーショップWORKSでは排気ガスの成分濃度を測れる精度の高い計測機器を購入し、日常業務の合間をぬいながら試行錯誤が進められた。
その期間は約4年。
それだけの長い歳月をかけ、社内計測でようやく納得のいく数値になった。

これでパスするだろうと満を持して排ガス検査に持ち込んだところ、思わぬところでNGの判定に。
問題とされたのは、完全に冷えた状態からエンジンをかけた直後での排気ガス成分の濃度、これが基準値以下でないと看做されたんだとか。
細かい成分の差は省くが、問題の成分の基準値との差が約0.0002。
もちろん昔の法令基準では合格となるレベルだが、もはや基準値そのものと言える差で落とされたわけである。
ここまでくると虐めに近いと言えなくもないが、NGとされた以上は致し方ない。
その後、さらなる対策を行ったうえで問題箇所も無事に基準値以下となり、昨年の10月に無事、排ガス検査合格となった。

次に車高。
カッコ良さを極めるなら断然シャコタンにしたいところだが、完全合法を目標とするなら”車体の前輪と後輪との真ん中から地上面との間で最低地上高を9センチ以上とする”というラインはどうしてもクリアする必要がある。
もちろんファンダーはみ出しタイヤもご法度。
それでいてドリフトやタイムアタックなど、走りにも拘っていきたい。

これら相反する要素を満たすため、最低地上高の判断基準となる”前輪と後輪との真ん中”の辺りから可能な限りはみ出し部分を減らして許容範囲を拡大。
ギリギリまで車高を落とし、18インチタイヤ・ホイールで全体のバランスを取るようにしている。
さらに「Rocket Bunny」のフェンダーに合わせて全幅も広げつつ、キャンバー角調整でフェンダー内にタイヤ・ホイールが収まるよう調整。
サイクルフェンダー化でタイヤの干渉も無く、サスペンションストローク量も十分確保されている。

そして灯火類やマフラーの音量も公認取得に向けて抑えておきたいポイント。
法令に沿い、配置を変更するなど灯火類をしっかり機能させるのはもちろんの事、マフラー音量も加速走行騒音、近接排気騒音、定常走行騒音の三つのパートで音量が規定値以下となるよう調整されている。

その他ではサスペンションアームの交換も行っているが、公認取得に必要な強度証明書などの書類を事前に用意して対応している。
もちろん他の箇所についても同様で、必要な書類を漏れなく用意し、予め何度か日本車両検査協会に相談しながら不備がないよう確認していったという。

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一頻り話を聞き終えたところで、”せっかくだから運転してみませんか?”と思わぬ試乗オファーを頂き、ご厚意に甘える事にした。
もちろん日中で過度な違法走行をするつもりはない。
車好きの聖地「大黒PA」まで、のんびりドライブを楽しみ事とした。

まず率直な感想として、まるで自動車メーカーが送り出す新型車をそのまま乗っているかのような安心感があった。
フルバケに4点式シートベルト、ロールケージを備えてはいるのだが、室内から醸し出すイメージがそう思わせているように感じる。
やはりナンバー付きストリートカーを謳うならこうでなくては。
そしてエンジンスワップの一番の効果と言えるが、低いギアでもスムーズに力強く加速してくれる。
街乗りでこれはとても気持ち良く、ストレスを感じさせない。
仕様はノーマルとは言え、トルクフルなエンジンの恩恵は絶大だ。

走行中、周囲に車がいないのを見計らい軽めなスラロームを試してみたが、ステアリングを切り始めたと同時に予想以上に急角度で向きを変えたため驚いてしまった。
編者個人の感覚でいえば強オーバーステア。
これは車高調セッティングやアライメントがサーキット寄りに調整されていた事によるものらしく、もちろん思いっきりダルなアンダーステア方向にも容易に調整が可能という。
編者の場合は街乗り、普段乗り目線での指摘だが、これがスポーツ走行やサーキット走行となると、恐らく低い速度でも強アンダーステアの連続となるはず。
サーキットでそれではとても踏めたものではなく、ラップタイム向上には繋がらない。
この「JZ86」はサーキットでのタイムアタックを想定しているので、このセッティングも納得と言える。
好みからほど遠いまでも、特性さえわかればそれに合わせて運転すればいいだけの話だ。

驚いたのが旋回時や加速時で重さを全く感じさせなかった事。
神経を集中させ、些細な挙動でも感じとるようにしたのだが、加速や旋回開始時でもモターっとした挙動は皆無だった。
間違いなくエンジンスワップの影響で重くなっているのだが、伺ったところ、ミッションも含めたエンジンの搭載位置を工夫する事で、前後の重量バランスをノーマルからほとんど変わらないように調整されたという。
旋回時のクイックな挙動は、この重量バランスの最適化も効いているようだ。

そういえば道中、快適な乗り心地も相まって車内での会話も弾んだのだが、ふと気が付くと相手の声が普通に聞き取れている事に驚く。
多くのチューニングカーやショップデモカーでは、走行性能やドライバーのフィーリングを重視するあまりマフラーサウンドの音量が大きめで車内会話が成り立たない場合があり、極端な例では競技車両とかだと、直隣に座る乗員に対してヘルメットに備わる無線機(インターコム)越しでないと話し声がほとんど聞こえないほどになる。
でも、これなら車に興味のない友達や家族を乗せたとしても会話でストレスを感じさせる事はないだろう。
お気に入りの曲をかけながら、快適なドライブを楽しんでもらえるに違いない。

そうして快適なドライブのすえ「大黒PA」へ到着。
そこで現地にいた86オーナーさん何人かに話しかけられ、せっかくなので体感してもらう事した。
特に、タイムアタックやドリフトをされている86オーナーさんには1JZ-GTEエンジンがとても興味深かったようで、綺麗にマウントされている事とトルクがある事のメリット、重量バランスの説明を受けて高い関心を持たれたようだった。

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ここで少し裏話。

実はもう少し早い時期に排ガス検査に合格をしていたそうで、なんと国交省からその合格を取り消すようにとのお達しがあったそうだ。
どうもこの車の仕様で排ガス検査にパスするとは信じられなかったようで、不正なやり取りで合格を得たのではないかとの疑いを持たれたという。
※これには、2015年に発生したフォルクスワーゲンの排気ガス不正疑惑が影響しているものと思われる。

もちろんそんな事は一切なく、検査時だけに働くような不正な装置やシステムも付加されていない。
そのままの状態で検査をクリアしている。
それなのに合格取り消しとは。。。

そこからすったもんだの末、今度は国交省指定の施設へ車を持ち込み再検査する事に。
検査方法自体は同じなためその時もやはり検査は合格となったものの、今度はなぜか、検査のうえ問題無しとされたブレーキやサスペンションアーム、プロペラシャフトに至るまで嫌疑をかけられ、まるで重箱の隅をつつくかのように書類や車全体を徹底的に調べあげられたそうだ。
しかし何度やっても問題箇所は見つからず、そこでようやく国交省からも問題無しのお墨付きがもらえたという。

もはや嫌がらせとも取られかねない状況で、普通なら心が折れて諦めてしまいがちだが、カーショップWORKS代表の藤ヶ崎氏は”自分達は何の不正行為も行っていない”、”100%条件をクリアしている”と絶対の根拠と強い自信を持っており、絶対に認めさせてやる!という強い信念で挑戦を続けたそうだ。
そこには、”本来のナンバー付ストリートチューニングカーはこうあるべきでは?”、”チューニングカーを気軽に公道で楽しめるようになってもらいたい”、”世間に広く受け入れられるようになって欲しい”、といった思いが伝わってくる。

実際「JZ86」は”街乗りから、そのままサーキットアタックやドリフトまで気軽に楽しめる車”をコンセプトとしており、イメージとしては、

”朝起きて天気がいいからちょっとドライブに行き、休憩施設でお茶してたらたまたまサーキットが近くにある事に気付き、せっかくだからと寄り道してタイムアタックを楽しむ。
そのまま帰路につくが、温泉があったのでまた寄り道して汗を流す。
さっぱりした体でのんびりと帰宅の途につく。。。”

こんな感じだろうか。

他ショップでもほとんど例のない完全公認取得をやってのけたカーショップWORKS
それまでに培ったノウハウは、これから公認取得を目指したい方には強い関心を抱く事だろう。
興味ある方は、ぜひこちらへ訪れてお話を伺ってみてほしい。

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そんなカーショップWORKSは横浜市都筑区に店舗を構えている。
第三京浜道路の都筑インターを降りてすぐ近く、隣にコンビニがあるのでわかりやすい。
店内にはアライメントテスターを常設しており、個人だけでなく近隣のディーラーやカーショップも利用に多く訪れている。

さらに一番の特徴として、カーショップWORKSでは本格的なラジコンカーサーキット”WARU CIRCUIT”を併設している。
そのため平日夜や土日祝日には、ラジコンカー愛好家や家族連れも多く訪れ余暇を楽しまれているという。
ちょうどこの日は、新型コロナによる非常事態宣言が発令されて間もない事もあり客足がまばらであったが、それでも日頃のストレス発散とばかりに何人かの方が楽しまれていた。
※こちらでは新型コロナの感染拡大予防策として、窓を開放状態として換気を十分に行いつつ、アルコール消毒やお客さんへのマスク着用などの呼びかけを細めに行いながら対応されている。

車好きの中にはラジコンカーを楽しまれている方も多いので、ラジコンカーを走らせにいくついでに愛車の相談を持ち掛けるのもいいだろう。
きっと、フレンドリーでご近所からも親しまれている代表の”藤ヶ崎”氏や社員さん、常連の方々が笑顔で迎えてくれるはずだ。

【取材・文・写真】
編者(REVOLT-IS

【取材協力 – 問い合わせ】
カーショップWORKS

編者

REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。