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群サイで峠最速タイムを狙う(ペン銀走 練習会)

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一昨年から盛り上がりを見せている”峠”を走る走行会イベント。
主に峠アタックやこちらでも紹介したペン銀走も行われる群馬サイクルスポーツセンター(通称、群サイ)、一部林道を貸切って行われる林道練習会、一般公道を閉鎖して行われる公道ヒルクライムなどあるが、昔から峠や公道で走りを磨いてきた方、公道で愛車を全開で走らせたい方、某走り屋漫画のリアル体験をしたい方など、目的は違えど多くの方が参加している。

さて今回、ペン銀走主催者のご厚意で群サイで開かれた練習走行会に1年ぶりに訪れる事ができた。
サーキットとは違った魅力を持つと言われる公認の”峠”タイムアタック。
今年の走行会を見ていきながら、改めてここを走る楽しさと難しさ、危険、それでもやめられない魅力について考えてみたい。

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公道にはエスケープゾーンはない。
コースアウトは即ガードレールの餌食か、そのまま崖下へ転落なんて事になる。
それは今回の舞台である群サイ内サイクリングロードでも同じであり、些細なドライビングミス、車両トラブルが命取りとなる。
そのためペン銀走ではドライバーズミーティングに多くの時間を割き、参加者側からも意見を求めたりしながら全員の安全意識を高めるよう努めている。
またコース内各所にコースマーシャルを配置したり、クラッシュした車をすぐに引き上げられるようクレーン付きトラックまで手配しているのもペン銀走ならではだ。

今回も取材という事でコース内に入らせてもらったが、”そこはよく突っ込むから危ない”とスタッフからアドバイスを受けつつ、何かあった時でも身の安全が確保できる状況を作り参加者の走りを見守らせてもらった。

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昨年のペン銀走と比べ変化があったのが3点。
トラックの荷台に参加者を乗せてコースを走りながらレクチャーする時間や、パレードランといった体験走行、慣らしセッションを設けていた。
これにより、参加者はコースの事前習熟にたっぷり時間をかけられるようになった。

またチームや仲間と追走で走りたい方、一人でマイペースで走りたい方向けに、スタート地点に追走列と単走列を分けて作り、適度な感覚でそれぞれをスタートさせていく方式を取るようになっていた。
これなら目の前のコースに集中できるため、経験の浅い方でも安心して走れるだろう。

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久しぶりに見た群サイの路面はやはり凄い。

路面のうねりが大きく高低差も激しい。
轍もいたるところにあり、アスファルトが剥がれた箇所にはコンクリートを流しこんで固めてあるところも。
また秋という事もあり、路面には落ち葉も散らかっていた。
これでは一定のグリップを得ることも厳しい。
あるラインでは食いつくが、別の所べつのラインでは滑りやすいなんて事になるだろう。

他にも路面温度の上がり方の違い、ラバーグリップの有無など、サーキット路面と違うところは多々ある。
どのようにアプローチするか?
なかなか悩ましいところだろう。

実は走行会終了後、このコースを街乗りペースで走らせてもらったのだが、あちこちで車が跳ねてしまいとても踏めたものではなかった。
また、ブレーキの感触に若干違和感が出始めたのでさらにペースを落とす事態に。

このようなコースを平均150kmで全開する参加者達。
ラリードライバーならそれ以上は踏んでくるという。
想像するだけで身震いがしてきた。

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そして始まった走行セッション。
どの参加者もそれぞれのペースで峠を攻めていく。

以前の記事でも触れたが、こういった荒れた路面のセッティング、特に足回りでは車高調の減衰を柔らかめにしたりサスペンションストーロークを上げる方向を取る。
サスペンションを積極的に動かす事で荒れた路面でも車体を安定させ、一定のグリップを得ようという方向性だ。
車高もどちらかと言えば高めにセットされる。
これは、高低差やギャップの激しいところでの車体の底づきを防ぐ狙いもある。
実際、へたな車高調よりも純正ダンパーのほうが走りやすかったという方もいるくらいなので、サーキットとはまた違った考え方が要求される。

だが、最速タイムを望む常連組はさらに進んだ考え方でセッティングを詰め、それに合わせたドライビングを実践している。
例えばこんな感じだ。

・コースのある区間、例えば路面コンディションの良いところに絞って最速で走れるようセッティングし、その他の区間は腕でカバーする。
・コーナーのイン側深くまでインカットできるよう、車高をより高めにする。
・サーキットのような基本的なライン取りに固執する事なく、車体の跳ねを予測したライン取りやブレーキング、跳ねたあとの姿勢を作るためのドライビングに徹する。

前回もジムカーナセッティングのランエボが最速タイムを叩き出しており、その時も苦手な路面、跳ねる車体を腕でカバーしつつ、その車が持つトルク、トラクション、旋回性能をフルに生かせる区間では猛然とスパートしてタイムアップを果たしていた。

どのコーナーでもそこそこ安定した走りができるセッティングより、多少リスキーでも速く走れる方法をハングリーに探っていく。
どこを捨ててどこを生かすか?
自分の車、自分の得意な走りは何か?

それが群サイで最速タイムを叩き出すための一番のポイントと言えそうだ。

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残念ながら今回もクラッシュした車が何台かいた。
プロのレーシングドライバーでもクラッシュしてしまうほどの群サイのコース。
やはりどんどん攻めていくと、些細なバランスの狂いがこのような事態に繋がる。
廃車になった車もあったそうだが、ドライバーが無傷だったのが幸いだ。

ちなみにここは通称”織戸コーナー”と呼ばれているところで、速度がのった状態で跳ねてグリップを失い曲がる事ができず、そのままガードレールに突っ込んでしまったらしい。
これまでに何人ものプロドライバー、アマチュアドライバーがクラッシュしている箇所で、群サイでも鬼門とされている。

それにしてもペン銀走スタッフの事故処理はさすがだ。
なるべく車の傷や修理箇所が増えないよう気を配りながら引き上げ作業を行いつつ、クラッシュした参加者の心のケアも忘れない。
車の後処理や帰りの面まで、可能な限りサポートしてくれる。
本当はクラッシュして欲しくないが、クラッシュしても参加者に寄り添い助けてくれる。
ペン銀走の魅力を改めて垣間見た。

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峠はサーキットと違い、コンディションが不安定で多種多様なカーブとありえない高低差、路面の轍、ギャップが待ち受けている。
そんな場所を車の性能、ドライビングを駆使してクリアしていく感覚は、スポーツドライブ好きなら誰もが快感を覚えるだろう。
ガードレールにぶつかるリスクや崖下転落のリスクが迫る中、それを乗り越え、イメージ通りに走れたときに味わう気持ち良さは、スポーツで記録を更新した時のものに似ている。
それならサーキットでも同じではと思われてしまうが、様々な危険、スリルを味わいながら目標を達成していく様は冒険者のイメージに近い。

普段の日常を離れ、未知に立ち向かい冒険していく。
それが峠を走る魅力の一つなんじゃないかと、編者は考えている。

とはいえ、普通の一般公道でこのような走りは違法行為だ。
一般住民から苦情がきたり、警察に捕まっても文句は言えない。
仮にクラッシュして谷底に落ちたりしても、携帯電話が通じにくい山の中では助けだっていつくるかわからない。

だが群サイは違う。
そこは施設内のクローズドコースであるため、警察の介入や対向車の心配もいらない。
もちろん地域住民の苦情もない。
なによりクラッシュしても多くのスタッフ、仲間がすぐに助けにきてくれる。
これだけ峠を走るのに恵まれた環境はあるだろうか?
サーキットでは満足できず、峠や公道を走る事にこだわりたい方にはまさに打ってつけと言えるだろう。

もし群サイを体験してみたい方は、ぜひペン銀走を主催するぺん銀会を訪ねてみてほしい。
こちらは群サイだけでなく本庄サーキット筑波サーキットなどでも走行会を開いており、参加者に思いっきり楽しませようというユニークで斬新な試みを実施している。
そしてスタッフ、参加者関係なく仲が良く、お互いが積極的に協力し合い走行会自体を盛り立てていこうとしている。
そのためかマナーも良くて揉め事もなく、セッション中断中でも仲間同士で談笑し合うなど、とてもアットホームなのが雰囲気に包まれている。
実際、編者も初めて取材に訪れた際、多くの方々に暖かく迎え入れてもらえた。

次回、ペン銀会が主催する群サイでの走行会は12月1日
最速決定戦と称しているだけに、今回の練習会以上の熱い走りが見れそうだ。
峠の走りに自信のある方は、ぜひチャレンジしてみてほしい。

【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS

【取材協力 – 問い合わせ先】
ぺん銀会