カーボンニュートラルやSDGsの波にさらされる自動車開発では、バネ下重量の軽減も必須課題。
そこで、ブレーキの専門メーカーであるイタリアのブレンボでは、ブレーキディスクの軽量化に取り組んでいる。
また、特に日本で重要視される、ブレーキダストを低減した製品開発も研究されているようだ。
その数々を見ていこう。
まずは、ツーピースブレーキディスクのプレミアムカー専用シリーズ。
採用対象に合わせてフローティング、コンポジット、コーキャスト、デュアルキャストの4つのグレードが用意されており、独自の構造、技術により、従来モデルからの軽量化を果たしている。
一つ目のフローティングだが、ハット部がアルミニウム製となっており、従来より約30%の軽量化を達成。
本モデルは、固定ブッシュなディスクハブが、特殊な鋳鉄製ブレーキディスクに接合される構成となっており、熱応力を受ける事で弾性的に膨張するという。
そしてその現象には、ディスクの変形や亀裂を抑える効果があるようだ。
二つ目のコンポジットは、特殊な鋳鉄製ブレーキディスクにスチールピンで接続したアルミニウムハブが特徴。
単独での軽量化数値は公開されていないが、全シリーズ15~30%の軽量化を達成したと謳っているので、その範疇には収まっているはず。
三つ目のコーキャストは、ハイカーボン鋳鉄製ディスクとスチールハブを一体鋳造した構成で、従来から15%の軽量化を達成。
純正品と互換性があり、最も厳しいと言われるECE-90規格の認証を受けている。
四つ目はデュアルキャスト。
鋳鉄製ブレーキディスクとアルミニウム製ハブを組み合わせた構成で、従来より30%の軽量化となっている。
また熱変形に対しては、永久的に最大70%低減する効果もあるようだ。
こちらはグリーンナンスというコンセプトモデル。
過走行な車向けに開発された特殊鋳鉄ディスクとブレーキパッドで構成されており、これによりPM10を83%、PM2.5を80%削減。
合わせて耐摩耗性の向上により、従来より寿命が2倍になったという。
その他、環境に配慮した独自のUVコーティング技術を開発するなど、ブレンボに対しては、現在の社会事情に合わせた技術開発が早く、先行している印象を受ける。
実際はPRの差かもしれないが、それでも受ける印象の違いにより、優劣が判断される場合もある。
他社も、ウカウカできないだろう。
【取材・文】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力】
株式会社ブレンボ・ジャパン