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日本大学理工学部の挑戦 – 学生フォーミュラ2022チームプレイバック

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3年ぶりなリアル開催が叶った”学生フォーミュラ”。
物作りを学ぶ学生達の”甲子園”とも言うべき本大会へ各チームどのように臨み、どのような結果が得られたか?
今回は日本大学理工学部からエントリーの学生フォーミュラチーム”円陣会”をピックアップしてみた。

円陣会は学生フォーミュラの第1回大会から参戦を続けている歴史あるチームで、今年で活動20年目となる。
なんと大学サークルとして活動開始したのが1952年と古く(戦後のアメリカによる日本占領がようやく解除されようとした時代)、歴史と伝統を受け継いで今日に至っている。
チームの陣容は3年生主体で、約35名ほどのメンバーで構成。
経験の少ないところは叩き上げで鍛えていきながら、活動に取り組んでいる。

やはりコロナ過の影響で、新人達には不慣れな作業を多く強いる事になったものの、それを乗り越え、本大会への出場を果たした。
逞しいチームメンバーになったと先輩も太鼓判を押している。

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こちらが制作されたマシン。

車体は学生達の手で制作されたスチール製のスペースフレーム。
ヤマハのバイクYZF-R6用600ccエンジンを横置きに搭載しており、チェーンドライブとLSDを介して駆動輪に伝達される。
ちなみにこのエンジンは、動的審査での目標順位を目指すなら高回転域での高出力高トルクが必要と判断され、選ばれている。

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足回りは前後ともダブルウィッシュボーン形式のプッシュロッドサスペンション。
アーム類も全て学生の手で設計、製造がなされており、車体の安定性やハンドリング性能、メカニカルグリップの向上に寄与している。

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個性を際立たせているエアロデバイスは、全て流体解析を用いながら目標となるダウンフォースを見据えて設計、デザインがなされている。
中でもダブルデッカーなリアウイングが目を引くが、ドライバーからフィーリングを聞くと、ダウンフォースの発生度合いはちょっと掴みづらい様子。
次年度に向けて見直しを図る可能性もあるようだ。

では大会結果を見てみよう。
事前に行われた書類提出、シェイクダウン証明提出、オンラインによる静的審査、動的審査では以下の結果となった。

ESA/ESO, SES, IAD, ESF, and FMEA:SES ペナルティ無し
デザイン審査:20位
プレゼンテーション審査:28位
コスト&製造審査:56位
シェイクダウン証明:承認
アクセラレーション:未計測
スキッドパッド:未計測
オートクロス:21位
エンデュランス:12位
燃費:12位
総合:19位

静的審査の中では、やはりコスト審査で大きく順位を落としたのが痛かった。
その他、デザイン審査など自信を持って臨んだものの満足いく結果が得られず、不満の残る結果に終わってしまった。

悪い流れは動的審査も続き、車検通過に難航。
残念ながらアクセラレーション、スキッドパッドへの出走は叶わなかった。
しかしここから挽回。
オートクロスへはギリギリパスして出走を果たし、最後に走った2019年大会から大きく順位をあげて完走。
エンデュランスでも、それまでの悪い流れが嘘のようにファーストドライバー、セカンドドライバーとも快走。
安定した走りでこちらも完走を果たした。

マシンを無事にゴールまで持ち帰った事、総合順位も昨年(静的審査のみ開催)から大きくあげた事で、チームとして満足いく結果にはなったが、事前の試走で確認したマシン性能では一桁順位を狙えるパフォーマンスを見せていただけに、スキッドパッドとアクセラレーションに出走出来なかったのが悔しいという声もちらほら。

これはどのチームにも言える事だが、3年ぶりのリアル開催という事もあり、大会未経験者の多さや活動の引き継ぎ不足による暗中模索な活動傾向が見られている。
今回、円陣会が苦戦した静的審査や車検の問題は経験不足も起因していた様子で、久しぶりの大会では仕方のない面もあるように感じられた。

しかし完走を果たし、貴重なデータを持ち帰れたのは大きい。
老舗チームはこのままでは終われないはず。
きっと今年の反省点を生かし、来年度はさらなる高見を狙ってくるに違いない。

【取材・文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
フォーミュラチーム”円陣会”
自動車技術会