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トヨタ東京自動車大学校の挑戦 – 学生フォーミュラ2022チームプレイバック

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3年ぶりなリアル開催が叶った”学生フォーミュラ”。
物作りを学ぶ学生達の”甲子園”とも言うべき本大会へ各チームどのように臨み、どのような結果が得られたか?
今回はトヨタ東京自動車大学校スマートモビリティ科からエントリーの学生フォーミュラチーム”TTCT-SFT”をピックアップしてみた。

チームメンバーは総勢41名程度。
結成5年目の若いチームながら、活動当初からEVでの挑戦を続けている事でも知られており、その経験の豊富さからか、EVへのコンバートを考える他校からも注目を浴びている。

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こちらが製作されたマシン。

昨年までの仕様をレギュレーションに合わせてアップデートする事に主眼が置かれており、性能向上より、大会での確実な完走を目標とした各部の最適化、効率化が図られている。
実際、モーターやバッテリー、インバーター類は昨年までの物を受け継いでおり、チーム曰く”特に目新しいものは使っていない”という。
この方向性はチームの運営方針によるもので、大会は、メンバー全員が電気自動車を学習する場と定義づけている。
これは学生フォーミュラの趣旨に通じるものであり、次世代EV技術者の基盤作りを担おうとしているように感じられた。

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今回新たに追加されたReady to Drive Sound対応ブザー

大きな変更があったのは、ブザーと動力バッテリーの2点。

ブザーは、今年から組み込まれた”Ready to Drive Sound”というローカルルールに対応するためのもので、走行準備完了状態になったら特定のサウンドを出さなければならない。
これもただ音が出ればよいわけではなく、以下のようにレギュレーションで定められている。
・ドライバー中心に2メートル以内で80db以上のサウンド。
・最短1秒、最長3秒の連続鳴動をさせる。
・認識しやすいサウンド。
・攻撃的に感じられる動物の声、歌のパート、サウンドは禁止。

チームではこの音の選択、チューニングに手こずったという。

次に動力バッテリー。
レギュレーションで内壁の高さが足りないとの指摘を受けたためその対応をしつつ、周囲を囲うボックス上の隔壁にいくつかダクト穴を設けている。
これは、エアを取り込んでバッテリーを冷やす狙いがあり、これにより、エンデュランスといった長時間走行でも安定した熱管理が期待できる。

では大会結果を見てみよう。
事前に行われた書類提出、シェイクダウン証明提出、オンラインによる静的審査、動的審査では以下の結果となった。

ESA/ESO, SES, IAD, ESF, and FMEA:SES ペナルティ無し
デザイン審査:36位
プレゼンテーション審査:18位
コスト&製造審査:33位
シェイクダウン証明:承認
アクセラレーション:23位
スキッドパッド:19位
オートクロス:34位
エンデュランス:16位
燃費:2位
総合:17位

昨年から大幅に順位をあげたTTCT-SFT。
EV部門でも2位。
さらに日本自動車工業会会長賞と省エネ賞2位を獲得している。

やはり3年ぶりの大会では先輩からの引継ぎが不十分だったりしたため、車検などもチームメンバーで試行錯誤しながら臨む事になったという本大会。

それでも長年培ってきたEV経験は大きいようで、静的審査ではデザイン審査で高い順位を得たり他項目でも減点なし。
そして多くのEV参加チームがシェイクダウン証明未承認となる中、こちらは順調に承認まで漕ぎ着けている。
車検でもいくつか修正指摘は受けたものの、大きな問題なく合格をもらっている。

その後の動的審査でも、天候不順や久々の大会で不慣れな面やトラブルが多く出てしまったが、目標としていたエンデュランスでの完走を達成。
チームとして満足いく結果になった。

こうした結果からも”我が道を行く”、”マイペース”という言葉が合いそうに思えた”TTCT-SFT”。
大会結果やマシン開発に振り回されず、あくまでEVをじっくり学ぶ事に重きを置いた事で方向性がシンプルになり、経験の浅い人でもEVという未知に取り組みやすい環境になっているように思えた。
これも学生フォーミュラの在り方の一つ。

ところで大会を経験してきたトヨタ東京自動車大学校のOB達は、今現在どのような活躍をしているだろう?
機会があれば、当時の話も交えて伺ってみたいと思う。

【取材・文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
TTCT-SFT
自動車技術会