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ホンダテクニカルカレッジ関西の挑戦 – 学生フォーミュラ2022チームプレイバック

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3年ぶりなリアル開催が叶った”学生フォーミュラ”。
物作りを学ぶ学生達の”甲子園”とも言うべき本大会へ各チームどのように臨み、どのような結果が得られたか?
今回はホンダテクニカルカレッジ関西からエントリーのFormula SAE部をピックアップしてみた。

こちらは2021年4月に発足したチームで、今年から本格的に活動開始。
もちろん大会出場も初めてで、本大会にはノウハウや経験の少ない中で臨んでいる。

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こちらが製作された学生フォーミュラマシン。
エンジンはホンダバイクCRF450RX用エンジンを搭載。
ミッションもバイク用のIパターンで、チェーンドライブで駆動される。
レーサー用でセンサーがないため、独自にカム角センサーを装着して制御している。
マシンコンセプトがマスの集中化との事で、ドライバーが座るシート角度を出来るだけ立たせながらもポジションを後方へ寄せ、エンジン位置もドライバーの背後へ寄せたレイアウトとなっている。

タイヤはフージャーの10インチ。
ブレーキも一般的なアウトボートタイプ。
今回はスキッドパッドで速いタイムを出す目的で小回りが効くよう、サスペンションジオメトリーの見直しに合わせて扁平率が変更されている。
ドライバーからはクイックな回頭性になったと感想があがっており、タイムにも反映されたという。

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アルミフレームとスチール製ロールフープとの接合部アップ
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スチールパイプとアルミパイプの接合サンプル

車体はアルミで組まれたスペースフレーム。
レギュレーション上、メインフープなどはスチール製となっているものの、これにより大幅な軽量化を達成している。
スチールとアルミを結合させる難題があったが、アルミパイプのインナーにスチールパイプを圧入し、それぞれに穴を開けてアルミ製のピンで串刺しにするように差し込み、外側を溶接する事で対応している。
ただ場所によっては、逆にスチールパイプのインナーにアルミパイプを圧入、今度はスチール製のピンを差し込み溶接、固定した所もある。

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独自制作のアルミ製IAと試験で使われたIA

衝撃吸収構造たるIAも独自に制作したアルミ製のもの。
独自制作を選択したチームには試験の実施と、試験方法と結果をまとめたレポートの提出が求められる。
それだけに時間と手間がどうしてもかかってしまうが、このチームは経験が少ない中でそれをやり遂げている。
もちろん審査はパス。
貴重な経験が得られた事だろう。

では大会結果を見てみよう。
事前に行われた書類提出、シェイクダウン証明提出、オンラインによる静的審査、動的審査では以下の結果となった。

ESA/ESO, SES, IAD, ESF, and FMEA:ペナルティ無し
デザイン審査:53位
プレゼンテーション審査:58位
コスト&製造審査:17位
シェイクダウン証明:承認
アクセラレーション:26位
スキッドパッド:13位
オートクロス:26位
エンデュランス:27位
燃費:計測なし
総合:34位

まず静的審査だが、やはり全体的に経験不足が響いた格好。
例えばプレゼンテーション審査では、資料作りや自分達の車両をどうアピールしたらいいか暗中模索な状態になっていたという。
審査中も、審査員の話と噛み合わない場面もあったようだ。

さらにシェイクダウン証明提出後の試走会では、エンジンオイルの減少によるオーバーヒートでエンジンブロー。
大会まで2週間しかないという状況の中、なんとか部品をかき集めて組み直すという一幕もあり、それでもなんとか車検、動的審査へ進める事に。
エンデュランスまで安定して走行出来ていたものの、ドライバー交代時にエンジンがかからないという不運に見舞われ、あと少しで目標の完走というところで無念のリタイアとなってしまった。

経験不足と不運に泣いた本大会ではあったものの、アルミ製のフレームやIAなどという独自開発要素もあっただけに、初参加ながら動的審査まで進めたのはお見事。
基本に沿い、目標を絞ったマシンコンセプトにしたのも良かったように思う。
なにより実際に走行が出来た事で多くのデータが持ち帰れたはずで、今年の失敗、ミスを振り返って分析、対策を立てていけば、来年はもっと上の順位を狙えるだろう。

【取材・文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
ホンダテクニカルカレッジ関西Formula SAE部
自動車技術会