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プレチャンバ―プラグ は燃費向上と排ガス低減を両立する- 人とくるまのテクノロジー展2022

20220604_NGK_点火プラグ_プレチャンバ―_リーンバーン

プレチャンバ―プラグ なる製品を開発中のNGK(日本特殊陶業株式会社)

これは、エンジンシリンダー内だけでなくプラグ本体でも燃焼を起こさせる事で、リーンバーンエンジンに起きやすい未燃焼ガスの発生を抑えようというもの。
今以上の低燃費化と排ガス低減が求められるガソリンエンジン開発において、この点火プラグは大きな助けになる可能性を秘めている。

20220604_NGK_点火プラグ_プレチャンバ―_リーンバーン_02
外観は普通の点火プラグと変わりないように見える

現在は、ガソリンの割合を少なく空気の量を増やすというリーンバーン(希薄燃焼)が主流。
直噴エンジンもこの類となる。

リーンバーンは燃費向上と排ガスに含まれる有害物質の低減に効果があるが、反面、混合気が着火しにくく(いわゆる失火状態)、有害物質を含んだ生ガスを外へ排出してしまう事になる。
各社、確実な着火と燃焼効率向上を目指して試行錯誤を重ねているが、その解としてNGKが導き出したのが、今回のプレチャンバ―プラグとなる。

20220604_NGK_点火プラグ_プレチャンバ―_リーンバーン_01

秘密は、発火部を覆う金属製の蓋。
半円状のその蓋をよく見ると、いくつか細かい穴が不規則に設けられている。

この蓋内部が副燃焼室の役割を果たすようで、中で一時的に燃焼させたガスを各穴からシリンダーへ送りこみ、混合気が充満するシリンダー体積全体を同時着火、いわゆる体積着火を促そうとしている。
これにより、ガソリンの割合が少なくとも即時着火できるようになり、燃焼速度が向上。
燃費の向上や生ガスの低減に繋げられるという。

ちなみに蓋の穴は共通ではなく、車やエンジンの仕様によって径や位置、数が変わる事を想定。
仕様に合わせて、理想の燃焼速度と全運転領域での最適化が追求できるよう配慮されている。

外観からもわかるように、従来のプラグホールでそのまま使用可能。
エンジンの設計変更や、補器類を増設する必要もない。

2段階燃焼とそれを機械的に行わせようとする観点から、エンジンフィーリングとレスポンスに段付きが発生しないか?、それに伴う振動の増加やプラグの耐久性低下といった懸念があるのでは?と感じたが、開発陣も承知のようで、現在も様々な角度から研究開発が進められている。

【取材・文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
NGK(日本特殊陶業株式会社)