【東京オートサロン2022】旧車延命と環境保護を模索する各メーカー
東京オートサロン2022取材記事。
今回は旧車延命に向けた復刻部品の製造や、環境保護に向けた取り組みを始めてきたメーカーを紹介していく。
まず、一昨年よりToyota GAZOO Racingで進行中の「GR HERITAGE PARTS」プロジェクト。
2022年1月現在で復刻対象となっているトヨタ車は以下の通り。
- 2000GTスープラ(A70,A80)
- カローラレビン・スプリンタートレノ(AE86)
- ランドクルーザー40
要望の多さと製造インフラを考慮しつつ、準備が出来次第、順次製造、販売を行っている。
注目なのがビスやピン、ガスケット、ギア、そしてゴムブッシュといった細かい部品までラインナップされている点。
特に、ゴムブッシュのように型がないと製造困難なものの中には、新規に型を起こして対応したものもあるという。
NISMOで行われている「HERITAGE PARTS」プログラムでも言われてきた事だが、これまで、修理需要に見合った復刻部品がリリースされないという問題があった。
特に要望に上げられていたのが、前述のブッシュ類。
だいたいは製造する型が廃棄されているか、残ってても劣化が激しく使えない場合が多い。
そうなると型を新規に起こすしかなくなるが、果たして費用対効果が見込めるのか?という事情もあり、これまでなかなか踏み切れなかった。
それを実現した「GR HERITAGE PARTS」プロジェクト。
今後、存在価値が益々高まるだろう。
次にチューニングパーツメーカーのHKS。
会場では、リッター20kmの高燃費を叩き出す600馬力RB26DETTが話題だったが、これは、最新技術を用いて性能を向上させた旧車部品を生み出すプログラム「ADVANCED HERITAGE」との成果によるもの。
ある意味チューニングパーツと言えなくはないが、高出力と高燃費という相反する要素を両立させている点が興味深い。
次は当メディアでも何度か紹介しているレストアパーツドットコム。
数年前よりAE86や箱スカ、S30Zや510ブルといった旧車の新品ボディパーツの製造、販売を手掛けている。
製造にあたっては、海外のレストアパーツ専門メーカーとコラボレーション。
極上ボディから型を取り、日本基準な品質を追求しつつ進められてきた。
その成果は如実に現れており、品質だけでなく価格もこなれているとあって販売も順調。
トヨタからも、そのまま続けてほしいとお墨付きまで頂いたとか。
旧車オーナーの中で益々目が離せなくなりそうだ。
余談だが、京都の自動車ショップ カーランドでは、レストアパーツドットコム製のボディパーツを組付けてレストアしたAE86のレンタカーサービスを行っている。
外国人観光客にとても好評との事で、お近くに寄られたらぜひ試してみてほしいそうだ。
次はチューニングパーツメーカーのトラスト/グレッディ。
こちらでは「GReddy FACTORY」と称したカスタムオーダーサービスを展開している。
これは、これまでの知見を活かしてワンオフマフラーやドリ車、コンプリートカーを製作しようというもの。
中でもマフラー製作については、量産車用から保安基準適合品、競技用車両向けと様々な要望に対応してくれる。
尚、製造にあたっては、事前の現車確認で車を千葉の工場へ持ち込む必要があるとの事。
最後はエキゾースト・マフラーメーカーのFUJITSUBO。
こちらでは廃棄マフラーの回収プログラムをスタートさせている。
これは、不要になったマフラーを引き取り、自社内でリサイクル可能な素材へ生まれ変わらせるというもの。
その素材は新たな試作マフラーに使われたり、別の自動車部品や一般向け金物用品などへ用いられるという。
カーボンニュートラルやSDGsというワードが飛び交う昨今。
世界の企業に対し、環境保全を考えた節度ある製品開発が求められており、多くはその準備、環境を整えてきている。
もちろんチューニングパーツメーカーも例外ではない。
【取材・文】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力】
東京オートサロン事務局