硬化が早く常温での長期保管可能なカーボン
人とくるまのテクノロジー展2021の取材記事。
今回は、DIC株式会社のCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)材料である速硬化炭素繊維強化プリプレグ「DICARBO® LFシリーズ」を紹介していく。
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本製品の特長として、従来のものよりハイサイクル&省エネルギー化が達成できる点があげられる。
材料は2種類あり、それぞれ、硬化時間が早い標準タイプとその名の通り低温硬化タイプとに分けられる。
標準タイプは、150℃の温度で硬化時間は1分ほど。
これは、速硬化タイプのエポキシ樹脂を使ったものに比べ、同条件で約三分の一短縮できた事になる。
また低温硬化タイプだと、同条件下では硬化時間はあまり変わらないものの、40℃近い低さで硬化できるものとなっている。
また、従来のエポキシ樹脂材料では長期保管だと冷蔵、冷凍保管が必須となるが、標準タイプでは常温でも同じくらいの期間で保管が可能。
低温硬化タイプでも、標準タイプの二分の一の期間ならば常温保管可能となっている。
例えば、エポキシ品を0℃保管で6か月保管できるとすれば、低温硬化タイプだと20℃前後の常温で3ケ月、標準タイプだと6ケ月保管まで対応できる。
さらに冷蔵、冷凍保管を行えばもっと保管期間を延ばせるという。
速硬化炭素繊維強化プリプレグ「DICARBO® LFシリーズ」。
生産性の向上はもちろんの事、これまで焼く設備や保管場所で制限のあった製造メーカーでも取り扱うといった期待ができる。
もちろん強度や軽さ、疲労特性といった要素は従来品と同等かそれ以上となっているので、早くからシャシーなどの構造体や、自動車アフターパーツ(エアロパーツなど)、ゴルフクラブのシャフトといった方面への応用が検討されている。
豊富なメリットを持つ本製品。
市場への普及は意外と早そうだ。
【文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
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DIC株式会社
人とくるまのテクノロジー展事務局