20210404_BNR32_日産スカイラインGTR_レストア_文化_BHオークション

名車スカイラインGT-Rを後世に残していくレストアプロジェクト

東京オートサロン等でクラシックカー、チューニングカー、スーパーカーといった名車オークションを展開するBH AUCTIONでは、先ごろ新たなプロジェクトとして、NISMOが始めたレストアサービス「NISMO restored car」のプロモーションパートナーとしての取り組みを行ってきた。
その一環として、2021年3月1日から3月31日まで、NISMO初のフルレストアモデルとなる「NISMO restored car R32 SKYLINE GT-R」プロトタイプ「0」号車のロングタームオークションと特設ショールームでの一般公開が実施され、多くの自動車愛好家の注目を浴びる事となった。

さて、今回のプロモーションとオークションを主催したBH AUCTIONには、時代の名車達に相応しい価値を作りだし、後世に受け継いでいこうという事業理念がある。
例えば、過去に多くの伝説や偉業を成し遂げてきた車が1万円で売られているのと1億円で売られているのとでは、どちらにその凄さと重み、貴重さ、偉大さを感じ取れるだろうか?
また、フェラーリF40あたりが10万円で売られているとしたら、あなたはどう思うだろう?
十中八九、安い車を疑ってかかるだろうし軽薄な思いを抱くに違いない。

一般の中古車ディーラーが行っているオークションと違い、BH AUCTIONが行っている事は美術品のオークションと似通っている。
恥ずかしながら、オークションに対して浅い知識しか持ち合わせていなかったが、理念やその仕組みを調べていくと、単なる金儲けというより、価値ある車を、その価値に相応しい価格で購入した理解ある方が持ち続け、後世でその価値のわかる方へ受け継いでいくサイクルが見えてくる。
何よりその時点の価値で購入した車に対し、下手に弄ったり社外パーツへの交換をしようものならその価値を下げてしまう。
そのため、自然とその価値を維持しようとする意識を生み出す事にも繋がってくる。
これこそ、名車オークションの真の意義なのかもしれない。

20210404_BNR32_日産スカイラインGTR_レストア_文化_BHオークション_01
ショールーム内。
こちらがNISMOがレストアを手掛けたプロトタイプ「0」号車。
20210404_BNR32_日産スカイラインGTR_レストア_文化_BHオークション_06
ショールーム内には、第二世代GT-R伝説を築いたグループA車両も参考展示されていた。

そんなBH AUCTIONがプロモーションした「NISMO restored car R32 SKYLINE GT-R」プロトタイプ「0」号車のロングタームオークション。
予想以上に多くの入札が入ったようで、具体的な落札金額は提示されなかったものの、¥45,000,000 ~ ¥55,000,000という予想落札金額内で落札されたとアナウンスされた。
実に、当時の新車価格の10倍近い金額が付けられた事になる。

20210404_BNR32_日産カイラインGTR_レストア_文化_BHオークション_02

大変な価値が付けられた今回のBNR32スカイラインGT-R。
一般的なレストアとは違い、様々なモータースポーツシーンで活躍するNISMOの提案するレストア理念が存分に生かされている。
それは、見た目だけ元通りにするのではなく、性能も新車時の状態に近づけていこうというもの。
それに従い、以下のようなメニューで作業が進められる。

・車体を完全に分解。
・フレーム測定と修正、劣化したボディパネルの補修。
・ボディの捻じり剛性の測定。
・古くなったシーリングや古い塗膜を剥がし、脱脂を行ったうえでの再シーリングと再塗装。
・エンジンのオーバーホールとエンジンベンチでの測定。
・駆動系のオーバーホール。
・劣化したブッシュ類やアーム類、足回り、ブレーキ、油圧ユニットなどの各補器類の点検、オーバーホール、新品交換。
・ECUなど電装系の点検、劣化箇所の修理、クリーニング。
・インテリア補修と生地の張り替え。
・テストコースでの実走テスト。

各工程とも、多くの日産レースマシンや車を手掛けてきたNISMOの職人の手で、一台一台が細かく丁寧に拘りを持って作業される。
生産ラインで許容される精度もとことん突き詰められており、工程によっては、量産車の生産ラインでは行えない箇所まで手が入るとか。
そのため、新車当時以上にコンディションやフィーリングも高く仕上がるという。
また希望者にだが、NISMOのコンプリートエンジン(S2エンジン、R2エンジン)へも載せ替え可能なオプションメニューも用意されている。
もちろん、NISMOが作業した証となる特別な内容証明書や、シリアル番号が掘られたプレートも付いてくる。

20210404_BNR32_日産スカイラインGTR_レストア_文化_BHオークション_0320210404_BNR32_日産スカイラインGTR_レストア_文化_BHオークション_04

こうして手間暇かけてレストアされた「NISMO restored car R32 SKYLINE GT-R」のプロトタイプ「0」号車。
記念すべきレストア第一号であり、NISMOでは、この車を今後のレストアに向けた基準車(土台)と定めている。
希少価値の高さは言うまでもないだろう。
レストアの基準が確立した事で今後の様々な方向性を検討しており、いずれさらに洗練された「1」号車だったり、その性能を底上げした「2」号車が生まれる事も期待できる。
BH AUCTIONでも登場してくるかもしれない。
こうしたNISMOのレストア車が数年後にどれだけの価値となっているかが、非常に楽しみだ。

20210404_BNR32_日産スカイラインGTR_レストア_文化_BHオークション_05
ショールーム内には、レストアの様子を撮られた写真なども展示されていた。

ところで、今回のレストアについて詳しく知りたい方は、現在発売中の雑誌「ジェントルマンドライバーズ 09」の付録「NISMO restored car R32 SKYLINE GT-R BOOK」をぜひ読んでみてほしい。
開発陣やレストアを担当した技術者や日産/NISMOにゆかりのレーシングドライバーのインタビュー記事、レストアの詳細な工程、グループAやN1耐久での戦いの記録、歴代スカイラインGT-Rコンプリートカーの歴史、そしてGT-Rを彩る素敵な写真まで織り交ぜてあり、コレクターズ本としても非常に見応えあるものとなっている。

【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS

【取材協力 – 問い合わせ先】
BH AUCTION
NISMO

編者

REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。