JTCCマシン開発中のとあるお話


1990年代後半、白熱した戦いが繰り広げられていたモータースポーツJTCC
そのカテゴリーが始まる前、加熱するマシン開発中にこんな事があったという。

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※本写真はイメージです。本文と直接関わりのあるものではありません。

JTCCは、当時大成功を収めていたBTCC(イギリス・ツーリング・カー・チャンピオンシップ)等をお手本として発足。
国内メーカーの中では、既にイギリスで走らせているマシンがあればその勉強に着手。
そこから得られたノウハウを元にJTCCマシンの開発を進めていた。

ただ、イギリスやヨーロッパで走らせているマシンを持たないメーカーや、ツーリングカーレース自体が初めてに近いメーカーでは、マシン開発にかなり苦戦を強いられたと聞く。
そこで外部のレース経験豊富な人材やレーシングチーム(いわゆるプライベーター)に協力を仰ぎ、一部開発テストを任せるなどしながら、開幕までになんとかマシンデリバリーをしようと奮闘していた。

ここからはJTCCへ参戦するメーカーAと国内のレーシングチームN(以降はチームNとする)として話を進めていく。
チームNはモータースポーツの経験豊富な老舗プライベートチームで、様々なカテゴリーで何度か優勝した実績を誇っている。
そんなチームNへ、メーカーAは自社マシンでのJTCC参戦を打診。
当時、マシン開発に苦戦していたメーカーAとしては、実績あるチームNの協力で少しでもマシン開発を進めていきたいと考えていたようだ。

とあるJTCC開幕前のテストにて。
メーカーAは直系チーム(ここではチームSとする)と、チームNが用意したマシンでテストを実施。
ドライバーはそれぞれのチームで契約した者を用意しており、さっそくコースインし、周回を重ねていった。
そうして順調にテストも消化し、後半には両チームでタイムアタックを実施。
その結果は、なんとチームNのマシンが速い。
チームNではマシンを独自に分析、改修を行っていたのだが、それが結果に結びついたようだ。

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本写真はイメージです。本文と直接関わりのあるものではありません。

これでJTCCでもなんとか戦える目途が立ったが、いざJTCCが開幕すると、そこにチームNの姿はなかった。
ここからは一方だけから聞いた話となってくるが、先のテスト後に突然JTCC参戦が白紙に戻ってしまったとの事。
どうも、プライベートチームのマシンが速かった事を面白く思わない方々がいたのが原因の様子。
チームNとしても積極的にマシン開発に協力する姿勢だっただけに、白紙にされた事をとても残念に感じていた。
そうして開幕に登場したのはチームSが開発してきたマシン。
その後も結果が出ず苦戦のレースが続いていたが、もしチームNが自分達で開発したマシンでレースを戦っていたらと思うと。。。。モータースポーツに”たられば”は禁物だが、ついそんな事を考えてしまう。

実際、モータースポーツの現場では過去に似たような話を聞いている。
例えば、自分達でチューニングしたエンジンを載せてレースを戦っていたが、メーカーとの契約でメーカー支給のエンジンを使わざるえなくなったところ調子を崩して成績が落ちてしまい、慌てて自分達の手掛けたエンジンに戻したとか。

やはりモータースポーツを戦う上では餅は餅屋。
そこにしかない経験やノウハウが必須であるという事か。
現在は、プライべーターが自分達でマシンを開発して戦う全日本選手権レースが見られなくなってきているが、メーカーに協力する裏方として活躍されているという話も聞いている。
そういった事がメーカー側にフィードバックされ、市販車開発や各モータースポーツカテゴリーにデリバリーされるマシンやエンジンの開発に生かされているようだ。

ただ。。。ここからはSuper GTでのif話だが。。。予算やしがらみ関係なくプライベーターにSuper GT – GT500を戦えるマシンを開発してほしいと依頼したら、どんなマシンが出来上がってくるだろうか?。。。と。
このご時世で厳しいのは百も承知だが、今一度プライベーターの創意工夫で優勝争いが見れる全日本選手権レースが見たいもの。
御殿場を始め全国には、まだまだ素晴らしい技術を持つレーシングガレージやプライベートチームがひしめいているのだから。

【文 – 写真】
編者(REVOLT-IS

編者

REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。