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JTCCマシン開発中のとあるお話

20210307_JTCC_ツーリングカーレース_モータースポーツ_裏話
※本写真はイメージです。本文と直接関わりのあるものではありません。

1990年代後半、白熱した戦いが繰り広げられていたモータースポーツJTCC
そのカテゴリーが始まる直前、マシン開発中にこんなエピソードがあった。

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本写真はイメージです。本文と直接関わりのあるものではありません。

JTCCは、当時大成功を収めていたBTCC(イギリス・ツーリング・カー・チャンピオンシップ)をお手本として発足。
国内メーカーの動きは様々で、中にはイギリスで走らせている自社のマシンを取り寄せて学習を行い、そこから得られたノウハウを元にマシン開発を進めていた。
しかしそうしたマシンを持たず、ツーリングカーレース自体ほぼ初めてというメーカーでは、かなり苦戦を強いられたと聞く。
そこで外部の経験豊富な人材やレーシングチームに協力を仰ぎ、一部テストを任せるなどしながら、開幕までになんとかマシンデリバリーをしようと奮闘していた。

ここからはメーカーAとレーシングチームN(以降はチームNとする)として話を進めていく。
チームNはモータースポーツの経験豊富な老舗プライベートチームで、様々なカテゴリーで何度か優勝した実績を持っている。
そこへ、メーカーAは自社マシンでの参戦を打診。
当時、マシン開発に苦戦していたメーカーAとしては、実績あるチームNの協力で、少しでも開発を進めたいと考えていたようだ。

とある開幕前のテストにて。
メーカーAは直系チーム(ここではチームSとする)と、チームNが用意したマシンでテストを実施。
ドライバーはそれぞれのチームで契約した者を用意しており、さっそくコースインし、周回を重ねていった。
順調にテストも消化し、後半には両チームでタイムアタックを実施。
その結果、なんとチームNのマシンが速い。
チームNではマシンを独自に分析、改修を行っていたが、それが結果に結びついたようだ。

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本写真はイメージです。本文と直接関わりのあるものではありません。

これでなんとか戦える目途が立ったが、いざ開幕すると、そこにチームNの姿はなかった。
ここからは、一方から聞いただけの話として読み進めて頂きたい。

なんと先のテスト後、突然参戦計画が白紙になってしまったという。
プライベートチームが速かった事を面白く思わない方々がいたためでは?と考えられている。

積極的にマシン開発に協力する姿勢だっただけに、白紙にされた事をとても残念に感じたという。
そうして開幕に登場したのはチームSが開発したマシン。
本番では結果が出ず、苦戦のレースが続いていった。

もしチームNのマシンでレースを戦っていたらと思うと。。。。モータースポーツに「たられば」は禁物だが、ついそんな事を考えてしまった。

実際、過去にも似たような話を聞いている。
例えば、自分達でチューニングしたエンジンを載せてレースを戦っていたが、契約でメーカー支給品を使わざるえなくなった。
しかし成績が落ちてしまい、慌てて元に戻したなんて事も。

やはり餅は餅屋。
そこにしかない経験やノウハウが必須であるという事か。
今では、プライべーターが自分達で開発したマシンで戦うレースが見られなくなりつつあるが、メーカーチームの裏方として引き続き手腕を奮っている話も聞いている。

ただ。。。ここからはif話だが。。。予算やしがらみ関係なくプライベーターにマシンを開発してほしいと依頼したら、どんなマシンが出来上がってくるだろうか?
このご時世で厳しいのは百も承知だが、今一度プライベーターの創意工夫で優勝争いが見れるレースが見たいもの。
御殿場を始め全国には、まだまだ素晴らしい技術を持つレーシングガレージやプライベートチームがひしめいているのだから。

【文 – 写真】
編者(REVOLT-IS