トヨタWRCチームの船出 – 東京オートサロン2020
次こそWRCダブルタイトルの獲得を!!
昨年2019年はWRC復帰後、25年ぶりのドライバーズタイトルを獲得。
その前年2018年はコンストラクターズタイトルを獲得しており、常勝チームとしての階段を順調に上り始めている。
そうして迎えた2020年はラリージャパン復活の年ともなるが、そこでトヨタガズーレーシング・ワールドラリーチームはWRC体制発表会の場として、ここ東京オートサロン2020会場を選んできた。
WRC体制発表会と言えば例年、イギリスで開催されるオートスポーツ・インターナショナル・ショーで全チーム合同で開催されてきたが、今年はトヨタがキャンセルしたこともあり合同発表は中止。
ライバル、ヒュンダイもWEB上での体制発表に留めている。
海外での正式なお披露目は、1月23日から開催されるWRC第一戦ラリー・モンテカルロでとなりそうだ。
あえて日本の地をWRC体制発表の場として選んできたトヨタ。
今や自動車の売れ行きは日本国内よりも海外のほうが圧倒的であり、そんな世界の自動車市場で戦うトヨタとしては日本に拘る理由はなかったように思えるが、そこには、”今まで車に興味のなかった方にたくさん知ってもらいたい”、”日本でのラリー認知度をより上げていこう”、”WRCラリージャパンをより盛り上げていきたい”、そんな関係者の思いがあったように感じられる。
日本にも多くいるWRCファンとしては、今回の事は本当に嬉しい限りだろう。
【ドライバー】セバスチャン・オジェ(フランス)
一番強いチームで戦いたいと新天地トヨタへ移籍したとオジェ。
シトロエンからキャリアをスタートし、その後フォルクスワーゲンに移籍して開花。
以降、連続チャンピオンを獲得するなど様々な記録を残し続けてきた。
その連続チャンピオンの記録もトヨタのオイット・タナク(現ヒュンダイ)のチャンピオン獲得で途絶えてしまい、その時トヨタの強さをまざまざと見せつけられたようだ。
ここで世界チャンピオン記録を更新できるよう頑張っていきたいと、力強く語ってくれた。
【コドライバー】ジュリアン・イングラシア(フランス)
実はオジェ、ジュリアンのペアは2010年に札幌で開催されていた第1期WRCラリージャパンにエントリーしており、当時の所属チームであるシトロエンのC4WRCを駆り総合優勝を飾っている。
そのジュリアン、もりぞーさんと同じく負けることが嫌いな性分でそれなら勝てばいいだろ!という気持ちで今年も”頑張ります”と日本語で応えてくれた。
【ドライバー】エルフィン・エバンス(イギリス)
一昨年から頭角を現してきたエバンス。
昨年などは優勝争いに食い込む速さを随所に見せつけており、その活躍がマキネン代表の目にとまったようだ。
ヤリスWRCを初めて乗ったときは、非常に反応の良いマシンで自分とも相性が良さそうな印象を持ったという。
新チームで新たなチャレンジとなるが、これだけ強いマシンを与えられたので、精一杯戦っていきたいと語ってくれた。
【コドライバー】スコット・マーティン(イギリス)
様々なラリーを経験してきたというスコット。
ヤリスWRCは速さと強さを見せており、チームの強さもあるので、そんな環境で戦える事を光栄に思っている。
新チームで挑む今年のWRCは開幕戦モンテカルロから大きなチャレンジとなりそうだが、二人で力を合わせて今シーズンを戦っていきたいと意気込みを示してくれた。
【ドライバー】カッレ・ロバンペラ(フィンランド)
昨年、下位カテゴリーのWRC2プロクラスで、シュコダのファビアR5を駆り圧倒的な速さでチャンピオンを決めたロバンペラ。
どのモータースポーツでもそうだが、誰もが驚かせる若手登場となればワークスチーム関係者は次代のエース候補にと青田買いを始めてくる。
このロバンペラもマキネン代表の目に留まり、以前からトヨタワークス入りが噂されていたほど。
今回、念願のワークス入りとなったわけだ。
やはり緊張しているのと、今まで乗っていたマシンとは様々な面が違っており学ぶことが山のようにあると言う。
周囲のサポートを受けて慣らしていきながら、今シーズン頑張っていきたいと語ってくれた。
【コドライバー】ヨンネ・ハルットゥネン(フィンランド)
アドレナリンが次々と放出しそうなくらい今シーズン開幕を楽しみにしているというハルットゥネン。
トヨタガズーレーシングで戦える事を光栄に思っており、チーム全員で良い成績を残していけるよう戦っていきたいと語ってくれた。
【ドライバー】勝田貴元(日本)
昨年2019年のセントラルラリー愛知・岐阜で、日本のファンにヤリスWRCの走りを見せつけて総合優勝を飾った勝田。
下位カテゴリーで好成績を残し始めたことで急遽ヤリスWRCでの参戦プラグラムが増えた状況から見ても、育成プログラムでの勝田の成長は関係者の予想を上回っているように思える。
そんな勝田の今季は、全14戦中8戦にヤリスWRCで参戦するようだ。
充実した参戦体制、WRC最終戦としてカレンダーに組まれているラリージャパンでの活躍に否が応でも周囲の期待が高まるが、そんな勝田は我を見失わず、今年もさらなる経験を積んでいくことを目標としていくという。
そしてラリージャパンでは多くのファンの方の前で力強い走りをお見せしたい、ぜひ観戦に来てほしいと語ってくれた。
【トヨタガズーレーシング・ワールドラリーチーム代表】トミ・マキネン(フィンランド)
ドライバー引退後、地元フィンランドでプライベートチーム・ワークショップのトミ・マキネンレーシングを立ち上げて後進の育成などに努めていたが、あるイベントでもりぞーさんと邂逅して二人は意気投合。
それから自身のチームを母体に新たなトヨタワークスのラリーチームを作りあげてきた。
さて、明けましておめでとうございますからコメントが始まったマキネン。
これまでのテストでかなりの強さを見せているので、チーム全員はとても笑顔で、モチベーションはとても高いと言う。
過去4年それぞれ違う気持ちで戦ってきたが、1年ごとに成績も徐々に上がり良い流れになっている。
2020年もまた違った気持ちで開幕戦からスタートを切れるだろうと語ってくれた。
【トヨタガズーレーシング総代表】豊田章男(日本)
レギュラードライバー陣を一新した今年のトヨタガズーレーシング・ワールドラリーチーム。
昨年までのチームをファミリー的と称する豊田氏だが、それに対し今年はと言うことで語られたのが、誰がいつ勝ってもおかしくない布陣を整えられたとのこと。
昨年までの勝利の多くはチャンピオンのオイット・タナク(現ヒュンダイ)が獲得していたが、チーム全体の総合力は今一歩だったことは否めない。
それが最終戦までコンストラクターズタイトル争いがもつれた要因にもなっている。
だが今年のドライバー陣ならば、コンストラクターズタイトル争いでも優位に進められると踏んだのだろう。
ライバルのヒュンダイには二人のチャンピオン経験者と、毎戦優勝争いに絡んでくる実力派ドライバーがいる。
ダブルタイトル獲得には、総合力の強化は必要不可欠と判断したに違いない。
WRC復帰後から、総代表も驚くほどの活躍と力を付けてきたトヨタガズーレーシング・ワールドラリーチーム。
今年は4年目のシーズンを迎えることになる。
ドライバー陣による総合力強化も加わり、よりアメイジングでエキサイティングな戦いをファンの皆様にお見せできるはず。
豊田氏は自身を持って語ってくれた。
さて2020年1月23日からのWRC開幕戦ラリー・モンテカルロの開催は数日中に迫ってきており、トヨタを始め各チームとも多くのテストをこなしている。
その中には日本期待の勝田貴元の姿もある。
新生トヨタガズーレーシング・ワールドラリーチームの活躍に大いに期待しよう。
最後に、ラリージャパン開催に向けた豊田章男(もりぞー)氏から車好き、WRCファンへのメッセージを掲載しておく。
”トヨタガズーレーシング・ワールドラリーチームの一つの特徴は、どこの国の道を走っても、そこにチームや各ドライバーの国旗、旗がたなびいている事にあります。
その光景が日本の道でも見れる事を期待しております。”
”街を大きな音を立ててラリーカーが速く走ります。
彼らはプロですので、安全に心がけます。
大きい音をたてても楽しいよね!と言える世界を皆さんで作りあげて頂きたいと思っております。
日本の皆さんの大きな声援、応援をよろしくお願いします”
【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
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TOYOTA GAZOO RACING
TOYOTA
東京オートサロン事務局