ニッシンが挑む高性能アルミブレーキとカラーキャリパー開発
東京モーターショー2019の取材記事。
創業から66年の国内老舗ブレーキメーカーであり、二輪、四輪問わず、国内外へブレーキシステムを供給し続けている日信工業株式会社(以下、ニッシンと略す)。
現在は新世代向けに軽量高性能なアルミ製ブレーキの開発や、新たなシェア開拓として、カラーリングされたブレーキキャリパーの製品開発も行っている。
そのいくつかを見ていこう。
こちらがカラーリングが施されたブレーキキャリパー。
一般的にブレーキキャリパーと言えば、ホイールの影に隠れて見えにくい存在だが、カスタムカー乗りにとってはここも重要なドレスアップポイント。
スポーク系ホイールに変えてブレーキ自体を露出させ、ブレーキローターやキャリパーを大型にしたりこのようなカラーリングを施すことで、愛車の足元を際立たせるカスタマイズを行っている。
実際、カー用品店には、キャリパーを塗装する専用塗料まで販売されている。
だが下手なDIYや自家塗装だとすぐ剥げたりする事もあり、また汚れやキズも付きやすいため、色を維持させるのは結構難しかったりする。
だがそれをブレーキメーカーが、それも生産段階から着色するとあっては話が別。
このニッシンのカラーブレーキキャリパー。
素材はスチール製なのだが、そのスチール製キャリパーに塗装し、しかも3年以上持たせる技術を開発したという。
その3年という数字がポイントで、その先には自動車メーカーへの採用を視野にいれている。
現在はまだコンセプトの段階。
市場の反応が良ければ、量産化に向けて本格始動していく事になる。
このお話を伺った直後では愛車カスタマイズの方向は考慮されていないとの事だが、スチール製キャリパーへの塗装技術はその分野にとてもマッチングがあるように思える。
アフターパーツマーケットへの参入、もしくはブレーキキャリパーの持ち込み塗装サービスもぜひ検討して頂きたいと強く提案させてもらった。
こちらはオールアルミ製のブレーキキャリパー。
用途はハイブリッドカーや電気自動車向けで、主な目的はバネ下重量の軽減にある。
だが従来のスチール製と違いアルミは柔らかく、開発初期では、スチールと同様の剛性を持たせるのに苦労したという。
例えば、スチール製とアルミ製に対して同じ踏力を加えた場合、前者ではコの字が若干歪む程度でも、後者は見てわかるくらいハノ字になったとか。
そこから何度も試行錯誤を重ねながら、ようやく同等な剛性を確保するまでに至った。
先の開発で培った技術は、他の製品開発にも生かされている。
例えばサスペンションアームやナックルなど、軽くしたいが強度も必要とされる箇所にもその技術は積極的に活用されている。
【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力 – 問い合わせ先】
日信工業株式会社
東京モーターショー事務局