ブーストアップ90マーク2で伝説とのドリフトを楽しむ
チームTENSION。
神奈川、静岡を中心としたメンバーで構成されたドリフトチームの一つで、結成から25年近くの歴史を持つ。
今回紹介するのはそのチームメンバーの一人。
90マーク2を駆るGOさんだ。
お話を伺ったのはバリドリ天国のイベント会場。
本イベントは2輪、4輪の走りの祭典で茂原ツインサーキットを舞台に年2回開催されている。
チームTENSIONも、GOさんをはじめ毎回多くのメンバーが参加しており、熱いドリフトで観客を沸かせてくれている。
GOさんは以前ピンクの100系トヨタ・チェイサーで参加していたが、その走りの感想を一言で言うと技巧派。
例えばフリー走行前半は、車の調子を見たりセッティング変更の確認に徹しながら比較的に抑えめに走るものの、良い感触が掴めると、後半は徐々にペースが上がり、アクションも派手になってくる。
そうなると角度もスピードも大迫力になってくるのだが、それでいて車に無理を強いているようにも見えず、走りは毎周安定している。
そして事前の危機回避能力もかなりのもので、編者がGOさんを見始めてからクラッシュ現場を見た事がない。
いつも安心して観ていられた。
そんなGOさん。
なんと昨年、この90トヨタ・マーク2に乗り換えていた。
これには編者も含め多くの方が驚いたのだが、その理由がマイペースでドリフトを楽しむGOさんらしいものだった。
話はGOさんが免許取りたての頃に遡る。
ドリフトをやりたくて最初に選択したのが4ドアのR32スカイライン。
当時はシルビア、180SXが主流で、自分もその中で同じように走れるようになりたいと頑張っていたという。
そんな時、雑誌に掲載されていたあるドリフトチームの姿が目にとまった。
今も現役で多くのドリフト好きに慕われ、皆からはレジェンドと尊敬されているそのチーム。
当時から走りだけでなく車体も鬼キャン仕様でバッチリきめており、そのスタイルにGOさんはすっかり惚れ込んでしまった。
中でもチームメンバーの90チェイサーに強い憧れを抱いたそうで、それまで乗っていた32スカイラインが調子悪かった事もあり、どうせなら憧れに近づきたいと、同じ90系でも自分好みの90マーク2に乗り換える事を決意した。
だが当時の90マーク2は中古相場価格が270万ほど。
これは難しい金額だなと悩んでいたところに、モデルチェンジで100系のマーク2/チェイサー/クレスタが発売開始された。
そんな時に憧れの90チェイサーのオーナーさんが100チェイサーに乗り換えたという話を聞きつけ、100チェイサーの新車価格が90マーク2の中古相場価格とそれ程大差がなかった事から、なら自分も憧れと同じ車でと100チェイサーへの乗り換える事にした。
余談だがGOさんと編者が知り合った頃は100チェイサーを2台所有してて、その時に購入したチェイサーがその内の1台。
現在は赤色で塗られており、今でもメインカーとしてドリフトから街乗りまで乗られている。
話を戻そう。
現在も、所属するドリフトチームTENSIONに入りさらに腕を磨き続けてきたGOさん。
走りも認められるようになり、団体ドリフトやツインドリフトでもレジェンドや多くの方々と走り合えるようになってきた。
そんな時、レジェンド達がブーストアップ仕様という条件で作った90/100系の車による団体ドリフトを見る機会があった。
コンセプトは、お金をかけずブーストアップでこれだけ走れる事を見せたいというもの。
その走る姿がとてもカッコよく、それでいて皆がとても楽しそうに見えたという。
なんであんなに楽しく走れるのだろ?
それなら自分も同じ90のブーストアップ仕様に乗ってみたい。
そんな思いがフツフツと沸き始めた。
そして、ちょうどピンクの100チェイサーの車検切れが迫っていた事も後押しとなり、乗り換えを決意。
なかなか希望する車が見つからなかったが、ある日偶然良い話が舞い込み、念願の90マーク2を手に入れることとなった。
さてこの90マーク2。
徹底的に拘りぬいてやろうと外装、特にフェンダー周りなどレジェンドの方々のサポートを受けて仕上げられており、色もレジェンドの駆る車に近い色をと赤系統でまとめられている。
そしてブーストアップ仕様のエンジン。
以前のピンクの100チェイサーはフルタービン車両だったが、その違いはどうだったか?
基本的にパワーが低下したような感じはなく、以前の100チェイサーより運転に余裕が出てきたのとの事。
何より横に飛ばした時の飛距離も出ているようでとてもコントローラブル。
走っててとても楽しく、その事に嬉しい衝撃を受けたという。
以前、90系から100系に乗り換えた方がまた90系に戻った話をいくつか聞いたが、意外と上述の理由も関係しているかもしれない。
乗り換えた当初はセッティングと走り方に試行錯誤していたが、今では理想とする走りのイメージに近づきつつあるようだ。
ここバリドリ天国でも、一緒に走るレジェンド達の胸を借りるとばかりに、団体ドリフトの一翼を担っている。
自分の車で憧れの人、憧れの車と一緒に走れるのが本当に嬉しい。
そう笑顔で話してくれるGOさん。
ドリフトを心から楽しんでいる様子が伝わってきた。
【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力】
GOさん
チームTENSION