改造車の車検NGは過去の話か?公認車検について
改造車と聞けば一般的に違法な車、車検に通らないイメージが強いが、それも公認車検を通す事で解決できる。
以前は手続きの難しさから敬遠されていたが、今回紹介するTICといった機関の尽力により、近年は公認車検取得も身近になりつつある。
またいくつかのチューニング・カスタムパーツも、TICで所定の手続き、書類作成、試験行い問題がなければ、次回以降は車検がクリアになるケースも出始めている。
TICとは一般社団法人TIC 自動車試験検査協会の事で、改造車、チューニングカー、カスタムカーの車検がスムーズに通せるようサポートを行う団体だ。
主な業務として、社外パーツ、チューニング・カスタムパーツを道路運送車両の保安基準に基づいているかの試験、保安基準適合が認められたものについて証明書の発行、写真のような独自開発の車検合法パーツの販売、どうやれば公認車検が取得できるかの相談、公認車検自体の請け負いといったものがある。
例えば、保安基準適合証明書を発行していないメーカーの製品、海外のメーカーや競技用パーツに多いが、TICに試験を依頼して証明書を発行してもらえれば、次回の車検は無事にクリアとなる。
こういった事例とかかった費用はTICのWEBサイトに掲載されているが、費用は意外と高くない。
愛車を長く乗るための先行投資と思えば、安いほうだと思う。
今でも全国各地から様々な問い合わせや作業依頼が舞い込むほどで、それだけ公認車検への関心と需要が高いようだ。
では、実際に公認車検を取得できるレベルはどのようなものなのか?
2019ノスタルジック2Daysで見た、公認車検取得(取得予定含む)の車を2台見てみよう。
この箱スカ、実はフレーム、内装、エンジン、ミッション、足回りといった車体構成のほとんどを日産シルビア(S15)用で制作されている。
作ったのは広島県福山市のカーショップ“K’s BLAST (ケーズ ブラスト)”。
旧車を長く楽しめるよう、”旧車のボディに、パーツが豊富な車の車体を組み合わせる”をコンセプトに制作された。
車体が丸々変わるという事は、車検証の記載が変更になるという事。
当然、新たに車検を取り直さねば公道を走れない。
今回はあえて車検未取得な状態を展示し、今後TICの協力を得て公認車検取得の作業を進めていくという。
ちなみにケーズブラストでは、同様のコンセプトで、S30フェアレディZのボディにS2000の車体を組み合わせた車を制作しており、これもTICの協力で公認車検を取得している。
今回は2回目という事もあり、以前よりは事がスムーズに運びそうだ。
今回紹介したケーズブラストは、主に自動車修理や板金塗装、旧車レストアを手掛けている。
旧車レストアに対しても長年の経験から培った独自のノウハウがあるようで、この箱スカのボディも、錆の進行抑制にこの特殊防腐処理剤”rust blockade”を施している。
錆びの上でも密着し、錆びの元となる空気、水、ガソリンも通さないとかなり効果がある様子。
気になった方はぜひ問い合わせてみてほしい。
こちらは多くのチューニングカーファンならご存知の、S30フェアレディZなどL28型エンジンをS14シルビアに載せ替えたもの。
制作は茨城県筑西市の谷島自動車だが、こちらもTICの協力で公認車検を取得している。
一口にエンジン載せ替えと言っても、いざ車検を通す際、載せたエンジンにより対応が変わってくる。
同じ型、同じ排気量のエンジンならそのまま車検を通せるが、違う型式、違う排気量のエンジンだとやはり車検証の記載が変わるため、事前の構造変更申請が必須となる。
なにより、地方自治体の違いにより厳しく審査されるケースもあるらしく、その場合は、入念な準備と下調べをしておく必要が出てくる。
今回のL28型エンジンへの乗せ換えも、TICの協力がなければ、車検取得までにかなりの時間と労力を割かねばならなかったかもしれない。
改造車を公道で胸を張って乗りたい。
そう思うオーナーさんは多いだろう。
近年、車検制度が複雑になり、また地方によりグレーな解釈も多く、一カーショップでは対応しきれないケースも出始めている。
結果的にそれが、公認車検へのハードルを高くさせている要因にも繋がっていると思う。
公認車検取得をもっと身近で手軽に行えるようにするためにも、TICのような専門家の存在が、今後益々重要視されてきそうだ。
TICの公認車検取り扱いショップは全国にあるので、公認車検を検討したい方はお近くのショップへお問い合わせを。
【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力 – お問合せ】
K’s BLAST (ケーズ ブラスト)