2019年の東京オートサロン。
NATS(日本自動車大学校)学生達の手によるカスタムカーに目を奪われた方が多いはず。
今回、その中の三菱FTOベースで制作されたカスタムカー”NATS FTO Ver.RCS”の試乗取材の機会を得る事ができた。
卒業式間近のNATSで出迎えてくれたのは、企画、制作を担当したFTO班の学生達。
果たしてどのような話が聞けるやら…
話を聞く前に、あらためて車両コンセプトやスペックのおさらいをしておこう。
【車両名:NATS FTO Ver.RCS】
車両コンセプト:「1990年代の三菱自動車の情熱を今再び」をコンセプトに、自分達の考える究極のFTOを誕生させる。
主なカスタム内容:ギャランVR-4(EC系)のエンジンと駆動系(4WD)の移植をメインに、各部に三菱ランサーエボリューションなどの部品も活用しながら、FFから4WDにコンバートした。
ベース車両:三菱FTO(GSグレード)
年式:平成7年
型式:DE2A
[エンジン]
ギャランVR-4(EC系)用エンジンに乗せ換え
形式:6A13 (V6ツインターボ)
排気量:2498CC
パワー:280ps以上/5500rpm
トルク:363nm/4000rpm
[駆動系/伝導系]
ギャランVR-4(EC系)用に乗せ換え
[サスペンション]
ランサーエボリューション8用のラリーアート製車高調(フロント)
ギャランVR-4(EC系)用ブリッツ製車高調(リア)
[ブレーキ]
ランサーエボリューション8用のブレンボ(フロント)
ギャランVR-4(EC系)用(リア)
[タイヤ]
ナンカンAR-1(255/40ZR17)
[ホイール]
5次元プロレーサー Z1 10J-17 フロントオフセット(+25)/リアオフセット(+12)
[その他]
ランサーエボリューション6用フロントドライブシャフトとナックル装着
ランサーエボリューション6TME用フロントロアアーム装着
ランサーエボリューション10対応の社外メーカー製90L燃料タンク装着
リアにワンオフタワーバー装着
[外装]
オリジナルデザイン
[内装]
RECARO SPG,SR3,MOMOステアリング,カロッツエリア製オーディオ
まずは外装から見ていこう。
前置きインタークーラーが覗く迫力のフロントバンパー。
この車がターボ車である事を強調している。
サイドステップやピラー部分から連続するように、滑らかに成形されたワイドフェンダー。
各部に備えられたダクトはちゃんと開けられており、カッコ良さに加えしっかり機能するようになっている。
ボディパネルの多くはFRP製。
フェンダーもパテなどでデザインラインを形作り、ピラー部分との繋がり部分まで綺麗に整えられている。
これらのディティールが、オリジナルカラーとも相まって特別な存在である事を強調している。
元々ボディはノーマルで行く予定で、ここまで外装を弄るつもりはなかったとの事。
当初のイメージで組み上げつつあった頃、ノーマルでは物足りなさを感じて先生に相談したところ、急遽外装をやることにしたという。
そこからメンバー全員で話し合いながら、だいたい1カ月ほどで作りあげた。
元々2リッターV6エンジン(6A12)が搭載されていたエンジンルームに、2.5リッターV6ツインターボエンジンが違和感なく搭載されている。
エンジンマウントは新たに作り直し。
テスト走行でパイピングとファンベルトが干渉するトラブルがあったため、干渉を避けるために再配置や部品の作り直しも発生したという。
下回りを覗き見ると、ここにも試行錯誤の跡が見える。
プロペラシャフトはギャランVR-4用。
元々シャフト全長を短縮させる予定だったが、いざ合わせてみると無加工で上手く収まった。
ただジョイント部分に角度が付いてしまったので対応を検討したが、試しにこのまま走らせたら特に問題が出なかったので、とりあえずOKとした。
エンジンから繋がるエキゾースト、マフラー周り。
4WD化に伴いリアを駆動させるプロペラシャフトが通るため、マフラー配置をどうするかで頭を悩ませたという。
試行錯誤を繰り返し、なんとか写真のような形状で落ち着いた。
エキゾーストサウンドはとても気持ちがよい。
周囲はこれを”つちや管”と名付けている。
こちらは制作中の足回り。
4WD化にあたりリアデフやドライブシャフトの新設、ナックル類やサスペンションアームの変更、リアフレーム、リアメンバーの取り付け部など、大幅な改造が施されている。
ここもほぼ現物合わせで、バランスが取れるよう微調整が繰り返された。
東京オートサロンでは、トランクを埋め尽くすこの巨大な燃料タンクに目を奪われた方も多かったはず。
これは三菱ランサーエボリューション10対応燃料タンクで社外品のもの。
容量は90リッター。
ちなみに、FTO純正の燃料タンクが60リッターで三分の一ほど増えた感じ。
またレース用の給油口は存在せず、純正給油キャップ付きのダクトが設けられている。
こちらはオリジナルタワーバーのアップ。
リアのフレームを切断しているため、強度や剛性確保のためかなり太いものになっている。
そして奥に見える黒い棒状のものがロールバーで、タワーバーと連動するように接合されている。
先のタワーバーに連結されたロールバーがこの部位となる。
がっちりマウントされている。
制作中のボディ室内。
このショットで見ても、張り巡らしたロールバーの状態がわかって頂けると思う。
配線類は全て引き直し。
図面とにらめっこしながら、最適化を目指していった。
当初は灯火類が点かないなどのトラブルがあったが、それも直に解決。
他にもエンジンスワップに伴う対応も必要だったが、こちらは比較的スムーズに行えた。
組み上げられた室内。
ここはノーマルの面影を残しており、張り巡らせたロールバーも黒く処理され、なるべく目立たないようになっている。
ただ、ところどころに学生らしい遊びの要素が盛り込まれている。
各種スイッチ類も、ギミック好きにはオッ!と唸ってしまうだろう。
室内のリアショット。
ここを見ても、フレームを切った貼ったした苦労の跡が伺える。
さて、このFTOも見事に公認車検の取得に成功。
無事にNATS好例のカスタムカーテストキャラバンに繰り出す事が出来た。
車検からカスタムカーテストキャラバンでも色々あったようだが、それはまた別記事でご紹介させて頂く。
こちらのYoutube動画もぜひチェックして頂きたい。
最後に、ご厚意で構内テストコースをテストドライブする事が出来たので、その時の感想を記しておく。
乗った当初は、クラッチのミートポイントがかなり手前だったのとブレーキペダルの踏みしろが深く、なによりパワステがないため重いハンドルと格闘する事になり苦戦。
足回りも跳ねがちょっと気になった。
だが慣れてくると運転が面白くなり、自然と笑顔になってきた。
まるで大排気量マシンを運転しているかのようで、アクセルを踏んだだけ力強くレスポンスの良い加速が体感できた。
エンジンサウンドも心地よく、かなりやる気にさせてくれた。
ボディもどっしりとした安定感。
ステアリングもしっかりした手ごたえが感じとれたし、安心してドライブに専念できた。
もっと煮詰めて、よりしっかりしたリアルスポーツカーに仕上げてもらいたいところだったが、残念ながらこれが最後となる。
もったいない。。。また再び走れる機会、弄れる機会があればいいのに。。。本当に惜しいなと思った。
【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
【制作者 – 取材、写真協力】
NATS FTO班メンバー
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NATS(日本自動車大学校)