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学生フォーミュラ2018メカニクス

20181003_学生フォーミュラ_メカニック

大荒れの天候の中で開催された全日本学生フォーミュラ2018
今年初めて訪れたのだが、その車両レギュレーションが実に興味深い。

基本はオープンコックピットのフォーミュラスタイル。
一定の車両構造とタイヤサイズ、定められた安全装備の備えとドライバー脱出の安全規定。
ガソリンエンジンなら規定の排気量と音量、排気口の角度、規定のリストリクターの装着。
EVなら電力量と回生装置の制限。

ざっくりこういった具合に定められている。
これらが守られているなら、あとは自由にマシンを作成する事ができるのだ。

主だったところでは、エンジンの選択も単気筒から多気筒まで幅広く選択ができ、空力パーツ、リア周りの構造、サスペンション、ダンパーのチョイスやレイアウトも制限は特にかかっていない。
駆動系も、従来のデフギアの他にチェーンドライブもOKだ。
もちろん、コスト面などの審査もあるので湯水のようにお金を使って開発できるわけではないが、自由な発想を自分達のマシンに盛り込む事ができる。
選択肢が多いぶん、それらをまとめあげて正解を導き出すのは至難の業だが、これも学生達を鍛えるため。
非常にやりがいのあるレギュレーションとなっている。

そんな学生達が作ったマシン達を、リアやサイドから覗いてみた。
主にリアの構造、サスペンション、空力といった面から、その独創的なデザインをいくつか見ていきたい。


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パイプフレームで構成されたリアセクション。
サスペンションは、ダブルウィッシュボーンのプッシュロッド式のように見える。
水平気味にマウントされたダンパーは小さく見えるのだが、アップライトから伸びたシャフトでダンパーを直接減衰させるなら、このくらいがちょうどいいのかもしれない。
軽量化にも貢献するはず。

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こちらのマシン。
サスペンションはプルロッド式か?ダンパーは前方に向けマウントされている。
これならダンパーストロークを稼げそうだ。
速度域から考え、大型リアウイングは抵抗がありそうに思うのだが、パワーがあるなら話は別。
マフラーが上部に配置されているのは、重量バランスを考えてのものかもしれない。

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凝ったリア構造のマシン。
マフラーはストレートで排気効率は良さそうだ。
サスペンションはプッシュロッドのようだが、こちらはダンパーサイズが大きめで、気持ち斜めにマウントされているように見える。
空力を考えたアンダースポイラーとリアウイングはバランスが良さそうだ。
レギュレーション上、中央にジャッキアップポイントを接地しなければならず、とある空力設計者(学生)は、”これがなければもっと攻められるんですが”と、設計当初は頭を悩ませていたらしい。

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かなり軽量に仕上がっていそうなリア周り。
サスペンションはダンパーをV字に配したプッシュロッドのようだが、ここからのアングルだとダンパーストロークはありそう。
ウイングは付いているが、意外とメカニカルグリップも十分そうに感じる。

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普通にサーキットレースに出ていそうなほど、完成度が高く感じたこの一台。
リアウイングとアンダースポイラーのバランスも良さそうで、スポイラー内に無用な突起物が出しゃばらないようになってている。
ジャッキアップポイントも、アンダースポイラーの邪魔をしないギリギリの位置に設けられている。
マフラーが低い位置にマウントされている点もポイントが高い。
サスペンションのダンパー配置は、縦方向に斜めで取り付けられているが、アームの径を見る限り、恐らくプッシュロッド方式だろう。

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こちらは、ダンパーが水平にマウントされている。
プッシュロッドのようなサスペンション方式だが、リア構造は違うものの、その他は、本記事で最初に紹介したマシンと似通っている。
どちらもEV車という共通点があるところを見ると、EVでのスタンダードな足回りなのかもしれない。
EV車でのリアウイングの効果も気になるところだ。

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海外勢のマシンで多く見られたが、とにかく外観が完成度が素晴らしく高い。
てっきりプロのコンストラクターが製造したのかと錯覚するほど。
やはりリアウイングとアンダースポイラーの関係性、各メカの配置に至って、非常にトータルバランスに優れていたように思う。
CFD – 流体解析をかなりやってきたか?

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こちらのマシンも、車体底面を流れる空気を積極的に利用しようという意図からか、アンダースポイラーはかなり大型だ。
センターのジャッキアップポイントと、セットになったようなこのアンダースポイラー。
この状態だと車高が高めなように見えたが、下面を流れる空気の乱れを考えると、アンダースポイラーはもう少し下げたいところか。

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むき出しのパイプフレームなリア構造が多かった中、こちらはモノコック構造を採用。
これならサイドから流れ込む空気の流れも、ダウンフォースとして積極的に使えそう。
モノコックは車体剛性も高く、なによりモノコック内部はかなり広く空間が確保できるため、エンジンやデフ、ミッションなどの配置は理想に近い状態になっていそうだ。
ダンパーは、F1と同じくモノコック内に収まっているようだ。

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こちらもモノコック構造のようだ。
センター配置のアンダースポイラーが気になるが、出口上面には規定のジャッキアップポイントが。
空気の流れを阻害しないのだろうか?
ダンパーはモノショックに見えるが、トライアングル上に配置した青色ダンパーも見える。
減衰を請け負っているのは、青色ダンパーのほうか?

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チタンエキゾーストが綺麗なこちらのマシン。
その配置から、まるでバイクかレーシングカートのようだ。
サスペンションとダンパー配置が最後部寄りで、ちょうどタイヤのセンター、ドライブシャフトの位置に配されているに見える。
車体もコンパクトで、走行セッションではキビキビ走ってくれそうだ。


リア周りを見るだけでも様々なデザイン、メカニクスが垣間見えた学生フォーミュラ
モータースポーツ世界最高峰のF1マシンなどと見比べながら、あのデザインはきっとこうに違いない。。。などと思いを巡らせながら見てみると、モータースポーツがより楽しめるかもしれない。
また、来季以降の学生フォーミュラプロジェクトへ携わる諸兄には、写真から各学校フォーミュラチームの方向性、トレンドを探ってみてほしい。

次は、実際にインタビューさせてもらった学校をいくつか紹介したいと思う。

【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)

【取材協力 – 問い合わせ先】
全日本学生フォーミュラ

編者
REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。
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