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マツダ・ハッチバック車の歴史とこれからの車

20180812_オートモービルカウンシル_マツダ_3ドアハッチバック

オートモビルカウンシル2018での自動車メーカー”マツダ”ブースでは、”マツダ・コンパクトハッチバック・ストーリー”なる展示が行われていた。
そこには「ファミリア」、「ランティス」、「アクセラ」、そして次世代のハッチバック車デザインを担うマツダ 魁 CONCEPT(マツダカイコンセプト)が鎮座しており、多くの来場者を楽しませていた。

多くの方々に愛されてきたマツダのコンパクトハッチバック。
そうした車達を世代ごとに見ていきながら、その生まれた時代の変化で車はどう変わってきたか?
これからどのようになっていくのか?
当日伺ったお話を元にまとめてみた。

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当時、若者を中心に大ヒットを記録したファミリア。
昭和大衆車の代表的な一台である。

とても解放感があり、垢抜けた感じのするそのデザイン。
軽快な走りが楽しめるその車体性能。
広々とした室内。
ワゴンのような使い勝手の良さ。
当時、高級車にしか採用されていなかった電動サンルーフやカーAV機器を採用するなど、大衆車という枠内に多くの魅力的な要素を詰めこんできた。

今ほど衝突安全基準が厳しくなかった時代。
その時代に作られた車らしさが随所に見られる。
わかりやすいところでは、窓ガラスの大きさといかにも薄そうなボディだろうか?
これだけ視界が開けていると、ドライバーや乗員も気持ちよく乗っていられそうに思える。
車も、今のものと比べてかなり軽そうだ。

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このファミリアは、WRC世界ラリー選手権で戦っていた1.6リッターターボ4WD仕様。
海外のラリードライバー所有だったものを、今回のイベントのためにわざわざお借りしたという。

この車の開発を担ったのは、当時のマツダラリーチームの拠点だったマツダ・ラリーチーム・ヨーロッパ
WRCトップカテゴリーがグループAに変わる1987年前後から本格参戦。
ライバルの2リッターターボ勢に対し1.6リッターターボというハンデはあったが、当時賞賛されたベストハンドリングを武器に計3勝を達成した。

グループAは、市販車の性能や素性の良さが勝利に色濃く表れるカテゴリー。
ファミリアによるWRCの勝利は、その車の素性の良さを表していると言えるだろう。

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バブル崩壊後、マツダの新たな車作り、次の車体基準を生み出そうと開発されたランティス。
4ドアクーペと呼ばれた個性的なスタイリングが目を引くが、特筆すべきはやはりその車体作り。

当時、国内メーカーでは珍しいドイツのニュルブルクリンクサーキット(オールドコース)でテストされた逸話を持つが、そこで得られたデータを元に開発されたこのランティスは、その優れたボディ剛性から、高い安定性と操縦性を車に与える事となった。
その拘りは、本来積載性が優先とされるリアトランク内にストラットタワーバーを標準装備とした事からも伺える。

そしてこのボディには、当時の次世代安全基準も先取して設計に組み込まれた。
主だったところでは、前後オーバーハングを潰れやすくしたり、ドア内部や各所にインパクトバー、インパクトボックスを配している点。
どれも衝突時の衝撃から車室内の変形を抑える事が目的で、その効果を、当時話題となった衝突実験CMで見られらた方も多いはず。

安全性も走りの性能も、これまでのマツダ車基準をより高い次元へ押し上げたと言えるこのランティス。
現在に至るマツダ車作りの概念は、この車から始まったと言える。

20180812_オートモービルカウンシル_マツダ_アクセラ_01

ランティスから始まった車作りの新たな概念。
それを元に開発された第1段が初代アテンザであり、この初代アクセラだ。

ファミリアの後継機種としての役割を担ったこの車。
世界戦略車として、当時の主流に乗りボディは3ナンバーサイズへ。
それでもファミリアやランティスで磨かれたコンセプトは、この車にたっぷり受け継がれている。
個性的なデザイン、使い勝手の良さ、高い実用性、走りの性能、高い安全性。
これまで培ってきた技術を、見事に昇華させてきた。
惜しむらくは、ファミリアに見られたような窓ガラスの割合が減ってきている点。
近年に至るまで解放感は年々減ってきているような印象だが、これは、厳しくなりつつある衝突安全基準に適合させるためもあるという。

そんな初代アクセラは、ヨーロッパの走りにうるさい方々から大変高い評価を受け、当時のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーで2位、日本車の中では1位を獲得している。
日本とは比較にならないほど車文化が浸透しているヨーロッパ。
そしてヨーロッパには人気のハッチバック車を作るメーカーが多数あり、その長い歴史から、車とはどうあるべきか、車作りとはどういうものかを熟知している。

ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーの受賞は、そうした車文化の先人達にマツダの車作りが認められた事になる。

そしてその効果は、国内セールスにも表れてきた。
生産開始して3年弱で国内生産累計台数が100万台突破。
これは、当時のマツダ車の過去最短記録である。

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ここで、当日ご説明頂いたマツダ担当者から、ファミリア、ランティス、アクセラのドア内側、サイドシルの端の部分をぜひ比較してみてほしいと言われた。
なるほど、近年に至るまで分厚くなっている。
アクセラに至っては、見るからに頑丈そうだ。
これをご覧になられてる方々も、ぜひ自分の愛車と他車を比べてみてほしい。

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2010年より掲げられている”魂動デザイン”
運転の楽しさ、走る喜びを全面の押し出したZoomZoomブランド
低燃費エンジンに始まるスカイアクティブ・テクノロジー

近年様々な話題を提供し、コアな自動車愛好家だけでなく、多くの方々の関心を奪ってきたマツダ
そんなマツダも、次世代に向けて新たな車作りに着手している。
その成果の一つが、今回展示されていたマツダ 魁 CONCEPT(マツダカイコンセプト)だ。

”魂動デザイン”第2ステージとなる一台で、次期アクセラと噂されているこの車。
搭載が予定されている次世代ガソリンエンジン”スカイアクティブ-X”に関心を奪われがちだが、この車のデザイン、ボディ作りもとても魅力に溢れている。
筋骨隆々という言葉が当てはまりそうな立体的で躍動感を感じるそのボディは、光の当たり方で様々な表情を見せてくれる。
特にボディサイドのキャラクターラインが滑らかで本当に美しい。
なによりルーフとリアフェンダーが一体となったプレスラインが、この美しさをより引き立てている。

きっとこの車も、ファミリア、ランティス、そして初代アクセラと受け継がれてきたハッチバック・コンセプトをより進化させて盛り込んでくるはず。
今から登場が楽しみで仕方がない。


ところで、ブースにいらっしゃるどのマツダ社員さんも、まるで同じ車好きと会話しているかのように、楽しみながら説明されていたのが印象的だった。

お客様の話を聞くのがとても参考になるし、なにより嬉しいとは、とある社員さんの弁。
長年マツダ車を愛して下さっているのはもちろんの事、その愛情の深さには開発者冥利に尽きるという。

なにより、お客様と開発チームの思いが乖離している事に気付かされる場合もあるため、お客様の目線に寄り添っていかなければと、あらためて気を引き締めていきたいとおっしゃっていた。

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最近のマツダは、WEB上でも様々なコンテンツを展開したり、写真のようなオシャレな冊子を作って配布しているというお話も伺った。
閲覧してみると、ただの車紹介カタログではなく、車開発や技術のバックグラウンドストーリーに、車に関わる様々な文化や楽しみ方の紹介、提案といった内容となっている。
読み進めていくと、制作者の”車とある生活をもっと楽しんでもらいたい”、”お客様と一緒に車を盛り上げていこう”という気持ちが伝わってきた。

こうした人達が今のマツダを支え、マツダの車を作っているのだ。
そりゃ悪い車が出来るはずがないな。
そう感じずにはいれなかった。

【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS

【取材協力 – 問い合わせ先】
マツダ(MAZDA)