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ポン選手に応えるLYZER VR386 – D1GP2018

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ドリフト競技の最高峰であるD1GP

今では海外でも多くのプロドリフト選手権が行われているが、日本人プロドリフト選手まだまだ強し!!といった感はある。
ドリフト発祥の地であるここ日本のD1GPも例外ではなく、これまでに多くの外国人選手が参戦しているが、未だ日本人選手の牙城を破るに至っていない。

だが、そんな状況もそう長く続かないかもしれない。

今回のD1GP2018第5戦 TSUKUBA DRIFT。
LYZER VR386(トヨタ86)を駆ったバンコク(タイ)のポン(Daychapon Toyingcharoen)選手が、ついに外人勢初の追走決勝まで勝ち上がり、見事準優勝を得ることとなった。

そんなポン選手と、準優勝したLYZER VR386を見ていきたい。

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長年乗り続けてきたフェアレディZから、今年はR35GT-RのVR38エンジンを積むトヨタ86へ乗り換えたポン選手。
昨年までの走りは”綺麗”、”上手い”、”手堅い”、といった印象を編者は持っていたが、今年の走りはさらに”迫力”、”攻め”といった要素がプラスされたように感じた。
実際関係者の話からも、何か吹っ切れたような、さらに思い切りのいいドライビングをするようになったという。

元々素晴らしい運転技術を持つポン選手
長年、日本のD1GPへ参戦は続けているものの、ミスや不運が重なり上位入賞にはなかなか手が届かなかった。
だが近年は追走にも残れるようになり、関係者からもD1GPでの評価が高まりつつあった。
そこへ満を持してのVR386の投入。
これまでの殻を破った事で、追走優勝もいよいよ現実味が増してきた事だろう。

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そんなポン選手を優勝へ導く切り札とも言えるこのマシン。
制作は、数多くのチューニングカー制作で高い実績を誇るDo-Luck(ドゥーラック)
エンジンルームには、スワップされた自慢のVR38DETTエンジンが誇らしげにマウントされている。
エンジンスワップ自体はチューニング業界では日常的に行われる手法だが、とはいえ水平対向4気筒エンジン向けに開発されたトヨタ86に、VR38DETTというV6ツインターボエンジンがよく積めたものだ。

とは言え、エンジンを積みかえたら即速くなるわけでもなく、優勝が確約させるわけではない。
トヨタ86は、あくまでNAの水平対抗4気筒エンジン搭載車として設計、開発されており、冷却系、潤滑系、電装系、駆動系、重量バランス、ボディ剛性、足回りやタイヤといった要素は、全てそのエンジンを使う事を前提で最適になるように構築されている。

そこへ開発者が意図しないエンジンを載せるのだ。
当然最適だったバランスは崩れてしまう。
乗せ換えるエンジンに合わせてバランスが取れるよう、各部を再構築しなければならないのは当然と言えるだろう。

確実に重く、よりフロント寄りに高くなった重心とも上手く折り合いをつけなければならないし、エンジンのパフォーマンスを十分に生かし切り、そして壊れないギリギリの耐久性を見極めながら、各部を対策、補強していかなければならない。
なによりVR386に載るエンジンは、Do-Luckの手でパワーは1000馬力近くまで絞りだされてる。
車体作りやセッティングには、かなりの苦労を強いられたことだろう。

もはや、一から別の車を作るに等しいこれら一連の作業。
もちろん取扱説明書なんて存在はしない。

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プロドリフト車両にはお馴染みとなってきたリアの大型冷却ファン
リアラジエター形式なのがよくわかるショットだ。
この形式もD1GP車両でトレンドになりつつあるが、ことVR386に限って言えば、この形式しかありえなかったのかもしれない。
巨大なVR38DETTエンジンに占領されたエンジンルームに、ラジエターや冷却ファン、ポンプ類の居場所を作ることは難しかっただろうし、ただでさえフロント寄りな重量バランスを少しでも解消しなければ、トラクションの向上は見込めなかったはず。

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今回の筑波大会では、いくつかのD1車両がリアウイングを外して出走していた。
LYZER VR386もその中の一台。
ここ筑波サーキットでは、足回りをよく動かす、メカニカルグリップを重視したほうが相性がいいのかもしれない。
ただVR386場合、車両特性を考えると可能な限りトラクションを稼ぎたいはずなのだが、D1GPのタイヤ本数制限、猛暑の路面コンディションも考慮したのかも。
参考までに、ウイング付きと比較できるようにしておく。

ちなみに、本大会で優勝したRE雨宮 RX-7も同じくウイングレスだったことも付け加えておく。

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室内に目を落としてみる。
プロショップらしく綺麗にまとめられている。
ハンドブレーキやシフトレバーの位置もドライバーに合わせて最適化されている。

またここからは見えにくいが、助手席側足元にはドライバッテリーがマウントされている事がわかる。
バッテリーはリアトランクへ置くことがチューニング界隈ではポピュラーだが、競技車両であること、冷却系システムでトランクが占領されていることで、設置場所はここに落ち着いたのかもしれない。

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ヒューズ類も綺麗にわかりやすく設置されている。
電装系パーツメーカー”イグニッションプロジェクツ”の製品か?
奥側には、V-CAM BOXと書かれた表記も見られる。
見やすい位置への機器の設置や、こういったラベル表記が細かく書かれていると、何がどこにあり、どこと関係してるかがわかりやすい。
今回目立った遅れやトラブルがなかったVR386だったが、こうした細かい作りこみや配慮が生きているのかもしれない。


ポン選手LYZER VR386の組み合わせ。
これから続くエビスラウンド、最終戦お台場ラウンドでは要注目と言えるだろう。
特に近日開催のエビス。
毎年残暑が厳しい中での開催で知られているが、筑波サーキットで猛暑下のデータはたっぷり取れたはず。
かなり期待が持てそうだ。
ぜひ生でその走り、そのマシンをチェックして頂きたい。

【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)

【取材協力】
D1GP公式

編者
REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。
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