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ソーラーカーチャレンジに見る次世代の車作りの基礎 – 東海大学

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ソーラーカー。

一般には、太陽光線を得るソーラーパネルをたくさん貼り付けた屋根を装着しや乗り物を想像するだろう。
日本テレビ系の人気番組”鉄腕ダッシュ”のソーラーカー企画や、昨今のエコブームの影響で太陽電池を備える家庭もかなり増えた事もあり、ソーラーカーの認知度も昔に比べ上がりつつある。

そんなソーラーカーの競技車両を作り、世界チャンピオンを争うイベントがある。
2年おきにオーストラリアで開催されるブリジストン・ワールドソーラーチャレンジ

そこへ日本から参戦しているチームがある。
その一つ、モーターファンフェスタへ出展していた東海大学ソーラーカーチームの方にソーラーカーマシンの事を伺ってみた。

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まるで家の屋根のようなボディ形状。
そこに一面と敷き詰められたソーラーパネルが、これがソーラーカーである事を見せつけてくれる。
車体を構成するカーボンは東レ・カーボンマジックから、太陽電池とバッテリーはパナソニック、モーターはミツバ、名だたる老舗企業のサポートを受けて制作されている。

このマシンを開発、運営するのは、東海大学ライトパワープロジェクトのソーラーカーチームに所属する学生やOBをメインに構成されたメンバー。
各企業のサポートの元、日夜マシンの開発、アップデートに取り組んでいるそうだ。

東海大学のソーラーカーへの取り組みは古く、1996年まで遡る。
そこから今日に至るまで世界各国のソーラーカーイベントに出場し、近年では世界の強豪を抑えての表彰台、総合優勝を達成するまでになっている。
そうして得られたノウハウが、このマシンにもふんだんに盛り込まれているという。

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ソーラーカーなだけに、一般的にどうしても太陽電池やモーターに目がいきがちだが、ソーラーカーマシンの速さ、強さを決める要素として、車体作りに求めらる割合はかなり高いという。

確かによく考えたらそうだ。
技術はあがったものの、太陽からの充電にはムラがあったりするし、回生ブレーキ充電に頼れるものの蓄電量にも限界があるバッテリー、そして多大な過負荷をかけられないモーターという組み合わせでは、限られた電力を無駄なく効率よく使う事が必要となってくる。
車体の軽量化と空力特性向上はもちろんの事、どんな路面状況でも車体を安定させ、モーターへの過負荷を最小限にしながらタイヤを適切に接地させていかなければならない。

言葉にすると簡単だが、これが非常に難しい。

モーターもバッテリーもソーラーパネルも、高出力かつ航続距離を伸ばすなら大型化が手っ取り早いが、そうなると車体重量も増すし、重量バランスや空力特性にも悪影響を与えかねない。
車体も軽くしたのはいいが、その事で車体剛性が悪化してしまうと本末転倒だ。

剛性が悪くなるとサスペンションやタイヤの動きを阻害してしまい、空力特性や直進安定性の悪化や走行抵抗を増やす要因にもなってしまう。
かと言ってノーサスやただハードなだけのサスペンションも論外。
同じ結果を招くのが目に見えている。
これら、一見相反するそれぞれの要素をバランスよくまとめあげなければならない。
少ないエネルギーを効率よく使い、より軽く高剛性であり重量バランスも良くしていき、高い空力特性とどんな路面状況でも車体を安定させ、適切にタイヤを接地させていく。
さらにドライバーという要素も含めると、最適な解を見つけ出すのは容易な事ではない。
チーム内やメーカーとのコミュニケーションなどもあり、かなり頭を悩ませたはずだ。

実はこれらの事は、最近の量産自動車開発でもかなり重要となってきている。
どの自動車部品メーカーも軽量化に心血を注ぎ、エンジンやモーターといった機関開発も、燃費や消費電力量を重視しつつ、今まで以上のパワー&トルクが得られるよう高効率化、最適化を進めている。
そして駆動系開発も抵抗をより少なくする事を目指し、タイヤや足回りも燃費を重視した接地力でセッティングされたものが増えつつあるのだ。

見た目は全く違うものでも、自動車開発もソーラーカーマシンも求められる技術、考え方が同じという。
ソーラーカーマシン作りで鍛えられた技術と経験は、即戦力を求める企業からすれば、喉から手が出るほど欲しい人材に違いない。
学生達も、その気になれば即戦力のエンジニアへなる事だって可能だろう。

元々が物作りの楽しさを学ぶ、次世代エンジニアを育てようという趣旨で始まったソーラーカーのプロジェクト。
ここを巣立った学生達が、将来どんな物を作りあげてくれるかとても楽しみだ。

【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)

【取材協力 – 問い合わせ先】
東海大学ライトパワープロジェクト
東海ソーラーカーチーム(FB)

編者
REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。
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