You are here
Home > EVENT > SUPER GTになくてはならない技術でいずれ世界も – 東レ・カーボンマジック

SUPER GTになくてはならない技術でいずれ世界も – 東レ・カーボンマジック

20180526_人と車のテクノロジー展_東レ_スーパーGT_共通モノコック

毎年激戦の様相を呈してきてる日本のモータースポーツ”SUPER GT”

その中のGT500クラスで覇権を巡って争うホンダ、トヨタ(レクサス)、日産に対し、車体の核となるカーボン製共通モノコックシャシーを提供しているのが、日本の繊維・素材メーカー”東レ”の子会社である東レ・カーボンマジックだ。

幸運にも、今回訪れた人と車のテクノロジー展にて、その共通モノコックをじっくり拝見する機会を得ることができた。
担当者からいくつかお話しを聞きながら、その全容に触れてみたいと思う。

20180526_人と車のテクノロジー展_東レ_スーパーGT_共通モノコック_01

ドイツツーリングカー選手権(通称DTM)との将来的な統合、交流戦を視野に2014年に導入された車体レギュレーション。
その中の一つが、この共通カーボン製モノコックシャシーの採用である。
DTMの車体レギュレーションとの共通化、安全性の向上、メーカー間の開発競争やコスト抑制がその目的であるが、市販車要素が色濃かった日本のGTレース創世記に比べ、共通モノコックにパイプフレームで前後オーバーハングを形作り、車の形をした外皮を被せるその手法は完全にレーシングカー制作そのものとなっている。

20180526_人と車のテクノロジー展_東レ_スーパーGT_共通モノコック_02

この共通モノコックが使われ始めたのが2014年。
驚いた事にこの2018年現在でも、このモノコックに使われている技術、カーボン素材も変わっていないという。
もちろん東レ・カーボンマジックが手を抜いたわけではなく、規則で、一度認可を受けたモノコックへ変更を加える事は許されていないのだとか。
技術者としてはちょっと面白くなさそうだ。
近年は素材を取り巻く環境も大きく変化しており、今の技術と最新素材、新たに編み出された工法を使えば、より高剛性かつ軽量、低コストなモノコックシャシーが作れそうに感じるのだが。

だが開発コストの面から考えると妥当な規則ではある。
2013年以前までは車体も含めてチューニングや開発を進められていたのに、2014年からは車体側を触る事が出来ないため、開発領域がそれだけ制限される。

もちろん共通モノコックが変われば開発は一からのやり直し。
時間も金もいつも以上かかるため、新たなカーボンモノコックシャシーの導入は慎重にすべきなのだろう。

20180526_人と車のテクノロジー展_東レ_スーパーGT_共通モノコック_05 20180526_人と車のテクノロジー展_東レ_スーパーGT_共通モノコック_03 20180526_人と車のテクノロジー展_東レ_スーパーGT_共通モノコック_04

東レ・カーボンマジックが提供する共通モノコックシャシーを核に開発された3車。
ホンダ・NSX
レクサス・LC500
日産・GT-R

可能な領域で地道なマシン開発を行ってきた結果、ラップタイムがどんどん向上していっている。
先日開催された第3戦鈴鹿サーキットでは、GT500エントリー車両全社がコースレコードを更新する事態に。
そんな状況下では、モノコックにかかる負荷はかなり厳しいものになっていると推察する。
年々あがるタイヤ性能や空力、ダウンフォース量を考えると、以前に比べてモノコックの剛性が落ちやすくなっているのではないか?
モノコックの設計時点で将来的にかかる負荷も十分に考慮されただろうが、それでも開発基準は2014年当時のもの。
ここまでタイムが上がってくると想定できただろうか?
もちろん剛性が落ちたらモノコックの交換はしているだろうが、とても高額であるため、そうおいそれと交換はできない。

そんな年々厳しくなるモノコックへの要求だが、今現在では製造による大きなトラブルはない模様。
品質も目立ったバラつきは見られないようだ。
これこそ日本の物作り技術。
年々増してくる要求にも、過去の基準で作った物で十分に対応して見せている。
昨年、日本の各製造メーカーで日本品質に疑いを持たざるえない不祥事が出てきたが、東レ・カーボンマジックのこれまでの実績を見るかぎり、まだまだ日本も捨てたものではないと感じる。

2019年に検討されているDTMとの交流戦では、海外から訪れる多くの関係者が、東レ・カーボンマジック制作のモノコックシャシーに触れる事になるだろう。
今現在、DTMで使われている共通モノコックは他メーカーで製造されていると聞くが、もし東レ・カーボンマジックの評価が高まれば、ヨーロッパのツーリングカー選手権で日本製モノコックが一気に採用されるかもしれない。
そして世界戦実現となれば、そのシェアはより広がる可能性もある。

モータースポーツから日本の物作りを見直してもらう。
そんな時代が来るかもしれない。

【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)

【取材協力 – 問い合わせ先】
東レ・カーボンマジック

編者
REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。
Top