東京オートサロン2018取材記事。
今回は、トヨタ東京自動車大学校を学生達が制作した個性あるカスタムカーを紹介していく。
もはや名物となった感もあるトヨタ東京自動車大学校の目玉車。
2018年の今年は、トヨタ・セリカをベースとした”JPN Car(ジャパンカー)”が鎮座していた。
コンセプトは日本の和。
ボンネットに描かれた金魚など、全体的に日本をイメージさせるものを凝縮して詰め込んでいる。
この車、見る角度によって、様々な日本の輪を見せてくれるのが面白い。
ルーフに聳え立つお城は、日本の和を象徴するものとして欠かせない。
まるでお菓子で出来た城にありそうな外観でなかなか可愛い。
城下には金魚が泳いでいる。
これはお堀をイメージしているのかもしれない。
日本の華道をイメージしたかのような華のグラフィック。
一見、プリントのように見えるが、全て手描きで描かれてて実に手が込んでいる。
使い古しの着物や帯を持ち寄って作成したシートカバーはアイディア物。
着物を着たドライバーとマッチングは良さそう(当たり前だが)
シフトノブのけん玉はつい笑ってしまった(笑)
日本の和、日本の夏といえば、伝統的な文化である花火。
ルーフ内側は、その花火をイメージした作りとなってる。
花火模様に切り取った先に埋め込まれているのは おはじき。
それを点滅させて素敵な花火模様を浮かび上がらせていた。
せっかくなので、その点滅模様を撮影した動画も掲載しておく。
トランクから覗くスペースは和室。
畳、竹に折り鶴、花瓶(生け花?)、ちゃぶ台、室内灯など、かなり徹底して作りこんでいる。
これには、外国人観光客も嬉しそうに写真を撮っていた。
畳職人さんも、まさかこういった使われ方でオーダーされるとは思わなかっただろう(笑)
次に紹介するのは、トヨタのハイラックスサーフをベースにしたオフロードカー。
個性的なフロントマスクと巨大なオーバーフェンダーが特徴のその車。
その名も”サーフクルーザー”だ。
力強さを感じさせる車体。
オーバーフェンダーは、全て鉄板を加工して制作しているそうだ。
タイヤは定番のYOKOHAMA。
恐らくサスペンションやアップライト部も手が入れられているはず。
力強さを上手く表現している。
サファリラリーやラリーレイドを走る車でよく見かけるロールバー。
オフロード車両を謳う車では定番のアイテムだが、これも車体に合わせてうまく形状を作りこんでいる。
欲を言えば、せっかくジオラマ風の展示なのだから、タイヤかキャンプ用の荷物を載せてほしかったところ。
先ほどのロールバーは、リアフェンダーまでしっかり伸ばされている。
ここまでやらないと、ロールケージもただ載せているだけのように見えてしまう。
制作者はよくわかっている。
そんな車を映えらせるボディカラーはグリーンを基調としたカラーリング。
オフロードカーだけに素人は迷彩色を選びそうだが、この配色はなかなか良い。
大草原をバックに走ると似合いそうだ。
室内はウッド長のカラーにまとめられており、至って落ち着いた雰囲気。
写真でお見せできないのが残念だが、ダッシュボード周りもステアリング含め木目調でまとめられている。
すぐにでもキャンプ場に繰り出してみたくなる。
自然との調和、オフロードのイメージを室内からも十分に感じられた。
次に紹介するのは、こちらの”GT27”。
往年の名車TE27カローラレビンを走り屋風にカスタマイズした一台だ。
年配の方が懐かしそうに眺めて行かれたが、近年、こういった旧車風カスタマイズが若者の間で大人気な事もあり、タイヤ・ホイールやフェンダー周りの造形など、興味深く拝見する若者もチラホラ見られた。
エンジンルームまで綺麗にレストレーションされている。
装着される縦置き2T-Gエンジンは、当時のトヨタ車ではポピュラーな物。
そして4連スロットルに備わる茶漉し状のフィルターは、当時の走り屋にはお馴染みの光景だろう。
ここはエンジンには悪いとわかっていても、少しでも吸入抵抗を減らそうと工夫をこらした場所であり、中には潔く、フィルター自体を外す車もあったほどだ。
当時のトレンドに沿ったボディライン。
テールランプも時代を感じさせる。
これも結構な人気アイテムだったダックテールスポイラーも、当時感を上手く演出している。
内装も綺麗に復元されていた。
今ではまず見られないシートや大径ステアリングに、シフトストロークの大きそうなシフトレバーが、懐かしさをこみ上げさせてくれる。
次はこちら。
近年、熱い盛り上がりを見せている全日本学生フォーミュラ大会。
全国の自動車系学校、自動車科、自動車部の学生達が、手作りのEVフォーミュラカーで覇を競う。
そんな大会へ、トヨタ東京自動車大学校は昨年から参戦を開始している。
ボックス状に非常に凝った作りのフレーム周り。
サスペンションは、フォーミュラカーやGTカーではお馴染みのプッシュロッド式ダブルウィッシュボーン。
水平マウントのダンパーも、モータースポーツファンにはお馴染みの光景だろう。
高電圧のバッテリーを使う車両だけに、安全面に対するレギュレーションは厳しい様子。
スイッチ類の配置も、目立ちやすく届きやすい位置に見受けられる。
運動性の向上を図るため、重たいバッテリーはより低い位置に配置されている。
なるほど、背後から見たフレームが殺風景に見えたのはそのせいか。
ここまでの作りこみは、中途半端では成しえない。
コンセプト作りから一台の車を設計、開発していくかのような手順を踏んでいるはずだ。
構造や応力・歪みの解析、強度計算、電力やモーターの消費電力といった、我々素人では頭痛がしてくるような様々な計算も行う必要がある。
これはなかなか厳しい。
きっと多くの失敗もあったはず。
だが、こうした事は社会では当たり前だ。
納期が迫る中、限られた条件、限られた資産を活用し、市場にあった最高の車を作り出さなければならないのだから。
学生フォーミュラで得た経験は、社会でも十分に生かされるはず。
【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力 – 問い合わせ先】
トヨタ東京自動車大学校