ヤフオクで車高調を検索してみる。
すると「ラルグス」という名前を多く見かける事だろう。
「ラルグス」は国内のチューニングパーツメーカーで、その創業は2006年に遡る。
これまでに車高調整サスペンションやストラットタワーバーを始め、スタビリンクなど多くのチューニングパーツを開発、リリースしてきた。
主力製品である車高調だが、他メーカーと比較して車種ラインナップがとても幅広く、そのためチューニングしたくても設定ない車のオーナーや、低価格帯の製品を好む方から一定の評価を得ている。
編者もその中の一人。
愛車であるFTOのダンパーがヘタってしまい交換を考えていたものの、当時は選択肢がなくてこれを選んだ経緯があった。
その性能だが、当時の感想は「安物だからこんなもんなんだろうな。。。」というレベル。
乗り心地が悪く、固くて跳ねる、そしてヘタりが早い。
減衰力設定をめいいっぱい弱くしてなんとか妥協レベルという感じだった。
またオーバーホールを依頼した時に不愉快な対応をされた事もあり、もう次は別の車高調にしようと本気で検討し始めていた。
近年はFTO用車高調もラインナップする海外パーツメーカーが出始めており、日本でも手に入りやすくなった事も、その考えを後押ししてくれた。
しかし2017年の今年、編者の中のラルグスに対する評価が180度変わってしまった。
予想通り車高調がヘタったため、もう違うメーカーの製品にしようとチューニングショップRevolfe S.A.に相談を持ち掛けたところ、予想外の返事を頂いた。
”最近のラルグスはやる気だよ”
”凄く営業さんが頑張っている”
”そういう事なら、今の不満をその営業さんに伝えてみるから、考え直してみない?”
それならばとその後、Revolfe S.A.を仲介しながらラルグス営業担当者とも相談を重ねたところ、2kgのバネレートアップとタイヤ変更で不満は解消されるじゃないかという結論に落ち着いてきた。
正直、ここまで親身に対応してくれるとは思わず驚きを感じていた。
また車高調のオーダーをかけたところ、当日中に”Revolfe S.A.”へ納品があったという連絡を聞いてさらに驚いた。
まるで違うメーカー営業と相手をしているかのようで、そのやる気具合が編者にもひしひしと伝わってきた。
そうして装着した車高調。
結果は大正解。
跳ねが粘りに変わり、しっかりと路面を捉えるようになった。
とても面白いハンドリングで病みつきになるくらい。
減衰設定もハード目に寄せているが、とても乗り心地がいい。
あのラルグスが。。。これなら一年でヘタっても全然不満はない。
価格以上の価値は十分にあると思った。
そんなラルグスの2017年、一言で言えばアクティブ。
これまでの通販主体の”受け”や”待ち”の状態から、積極的に販売店を周り、スタンスネーション等の各種自動車イベントへもどんどん出展してPR活動を展開している。
その活動内容も、ただ展示や自社製品の宣伝をするだけでなく、販売店や一般ユーザーから積極的に意見を聞いたりアンケートを取っていきながら、製品企画へフィードバックしていこうとしている。
こと、チューニング・カスタムパーツ業界においては、市場のリサーチやマーケティングを軽視するところが多い。
自分達の考えに固執するあまり、今後の未来予測も考えられない傾向にある。
以前のラルグスもそんな流れにあったが、”このままではいけない”とばかりに危機感を持った社内の有志が声をあげ、幹部陣を説き伏せながら今の体制を築きあげていったという。
市場のリサーチ、マーケティングと言ってもやり方は色々だが、一番手軽で多く行われているのが、ネット上の声を無作為に拾っていく事。
その理由の多くは、デスクの前でいつでも作業ができる事と、現場へ出向く必要がなくコスト削減にも繋がるから。
しかし編者は、そのネットだけに傾倒するやり方に疑問を持っている。
ネット上に溢れる声が全て正しい情報とは限らず、デマも多く溢れている。
全てのユーザーがネットになんらかの情報を全てあげてくれるわけではない。
相手の反応がネットでは見えないため、その情報が相手が本当に訴えたい情報なのかも判断がつきかねる。
細かく情報をあげるユーザーもいれば、主語もなく大雑把な情報だけあげるユーザーだっている。
こういった点から見ても、ネットの情報だけでは正しい企業判断が出来るとは言い難い。
編者はこんな時代だからこそ、メーカーはリアルなコミュニケーションも積極的に行うべきと思っている。
リアルだからこそ得られる情報、リアルだからこそ肌身に感じられる情報が必ずあるはずなのだ。
その事に気が付いたラルグス。
今回お話を伺ったスタンスネーション当日でも、前を通りがかる方、興味深く眺めている方へ積極的に声をかけながら、多くの来場者とお話しよう、声を聞こうと奮闘されていた。
まだまだ手探りの段階なので。。。と謙遜しながら笑顔で語ってくれたラルグス営業の方々。
しかし編者は、ラルグスがこの姿勢を長く貫いていけば、良い意味で面白い事になりそうだと確信めいたものを感じている。
【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力・お問い合わせ】
ラルグス