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4A-GEであえて油温計を見せない選択

20210314_4AGE_エンジン

数年前のフレッシュマンレースにて、あえて油温計を隠してレースを戦わせていたチームの話を聞いた。
車はAE101、AE111のトヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノ。
その理由を伺ってみると、4A-GEエンジン特有のエキマニ裏にオイルフィルターを配置するレイアウトに起因しているようだ。

20210314_メーター_サンプル
※写真はイメージです。

話を始める前に、まず油温について簡単に説明しておく。

エンジンオイルにはその性能が十分に発揮する温度域というものがあり、冷え過ぎても上がり過ぎてもいけない。
その温度域を外したままエンジンに負荷を掛け続けていると、オイルの劣化が早まり潤滑や洗浄といった性能が低下していく。
その影響でエンジン内部のダメージが蓄積されていき、最悪ブローとなる。

今ではエンジンやオイルの技術進化で必要性が薄れてきた暖気運転だが、こういう事情もあり、昔はリモコンエンジンスターターを付ける方もいた程。
そうした事から油温管理はとても大事で、街乗りより高い負荷に晒されるレース中は、特にシビアになる必要がある。

それなのに、なぜ油温計を隠す必要があったのか?

20210314_4AGE_エンジン_01
※写真はイメージです。

油温を計測するセンサーを取り付ける際、一般的には、オイルエレメントとエンジン側マウント部との間に専用のセンサーアタッチメントをサンドイッチし、そこにセンサーを装着する。
4A-GEだと、赤枠の箇所にセンサーアタッチメントを取り付けていく事になる。

写真は社外エキマニだが、オイルエレメントと非常に接近している事がわかる。
これが純正だと、オイルエレメントの外側を周りこむようにレイアウトされる。

ご承知の通りエキマニは高温に晒されるため、そのレイアウトではエキマニの熱がオイルエレメントに伝わりやすい。
そんな場所へ油温センサーを付けてしまうとエキマニの熱まで拾ってしまい、その結果、油温計は通常より高い数値を表示してしまう事になる。

ここで最初の話に繋がってくるが、あるレースで、油温計は異常に高い数値を示していたものの気にせず戦ってこいと送りだしたが、ドライバーはアクセル全開にしていいのか無意識に不安に駆られてペースを上げられず、そのまま下位でレースを終えたという。
その後も同じような結果が続き、なんとかしなければと、苦肉の策として油温計に目隠ししてレースへ送りだしたところ、ドライバーは気にしなくなり、以降の成績は向上していったそうだ。

※現在はまた事情が変わっているかもしれないので、ここでは昔の裏話の一つとして読んでもらえたらと思う。

さて、4A-GEエンジンで正確な油温を見るのは厳しいのか?
ここで問題なのはセンサーの取り付け箇所なので、

  • オイルパンを加工してセンサーを付けるか、ドレンボルト一体のセンサーを取り付ける。
  • オイルエレメントそのものを影響のない箇所へ移設する。

といった方法で問題は回避できる。
またこれらの方法が無理でも、走行直後にまめにオイルチェックするように心がければいいだろう。

【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS

【エンジン写真協力】
まさきちさん

20210314_トヨタ_マークX_まさきち
まさきちさんの愛車トヨタ・マークX

タムラックスさん

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タムラックスさんの愛車ダイハツ・ミラ