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4A-GEであえて油温計を見せない選択


何年か前のフレッシュマンレースにて、あえてエンジンの油温計を隠してレースを戦わせていたチームの話を聞いた。
車はAE101、AE111のトヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノ。
詳細を伺ってみると、4A-GEエンジン特有のエキマニ裏にオイルフィルターを配置するレイアウトに起因しているようだ。

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※写真はイメージです。

話を始める前に、まず油温について簡単に説明しておく。
エンジンオイルにはその性能が十分に発揮できる温度域というものがあり、冷え過ぎても上がり過ぎてもいけない。
その温度域を外したままエンジンに長く負荷が掛かっていると、オイルの劣化が早まり潤滑や洗浄といったオイル性能が低下していく。
そしてその影響でエンジン内部のダメージが蓄積されていき、最悪エンジンを壊してしまう事になる。
今ではエンジンやオイルの技術進化で必要性が薄れてきたエンジンの暖気運転だが、こういう事情もあり昔はかなり重要で、暖気運転目的にリモコンエンジンスターターを付ける方もいた程だ。
そんなエンジン性能を発揮させるうえでとても大事な油温は、街乗りより高い負荷に晒されるレース中ではその温度管理が特に重要なはず。
なぜ油温計を隠す必要があったのか?

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※写真はイメージです。

油温を計測するセンサーを取り付ける際、一般的には、オイルエレメントとエンジン側マウント部との間に専用のセンサーアタッチメントをサンドイッチするように取り付け、そこにセンサーを装着していく。
それが4A-GEエンジンだと、写真の赤枠の箇所にセンサーアタッチメントを取り付けていく事になる。
写真は社外エキマニが装着されているが、オイルエレメントと非常に接近している事がわかる。
これが純正エキマニだとオイルエレメントの外側を周りこむようにレイアウトされるが、ご承知の通りエキマニは高温に晒されるため、そのレイアウトではエキマニの熱がオイルエレメントに伝わりやすい。
そんな場所へ油温センサーを付けてしまうとエキマニの熱まで拾ってしまい、その結果、正常な温度のはずが油温計はそれより高い数値を表示してしまう事になる。

ここで最初の話に繋がってくるが、あるレースで、実際より油温計は高い数値を示すが気にせず戦ってこいと送りだしたものの、ドライバーは本当に踏んでいいものか無意識に不安に駆られてペースを上げられず、そのまま下位でレースを終えたという。
その後も同じような結果が続き、なんとかしなければと、苦肉の策として油温計に目隠ししてレースへ送りだすようにしたところ、ドライバーは気にしなくなり、以降の成績は向上していったそうだ。

※現在のフレッシュマンレース事情はまた変わっているかもしれないので、ここでは昔の裏話の一つとして読んでもらえたらと思う。

さて、4A-GEエンジンで正確な油温を見るのは厳しいのか?
ここで問題になっているのはセンサーの取り付け箇所なので、

  • オイルパンを加工してセンサーを付けるか、ドレンボルト一体のセンサーを取り付ける。
  • オイルエレメントそのものを影響のない箇所へ移設する。

といった方法で問題は回避できる。
またこれらの方法が無理でも、走行直後のオイルチェックでオイルの状態がおかしければ、その場でオイル交換をやる等の対策を行えば問題ないそうだ。

【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS

【エンジン写真協力】
まさきちさん

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まさきちさんの愛車トヨタ・マークX

タムラックスさん

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タムラックスさんの愛車ダイハツ・ミラ

編者

REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。