ビルシュタイン拘りのローダウン車高調、純正形状ダンパー
東京オートサロン2020取材記事。
ダンパー開発の老舗であるドイツ”ビルシュタイン”の日本総代理店”阿部商会”からは、大幅な車高ダウンに拘ったダンパーから、純正形状、新開発のBMW3シリーズ向けの車高調まで幅広いランナップで来場者を出迎えてくれた。
こちらは、2019年にドイツで開催されたエッセンモーターショーで発表された新製品「EVO Performance Line」。
今春の日本での販売に先駆け、ドイツ本国からの要請で急遽、東京オートサロン2020へ展示する事が決まったという。
これまでのビルシュタインイメージとは違う、マッドブラックを主体としたカラーリングが施された本製品。
そのラインナップは3タイプだ。
まずはモータースポーツやサーキット向けの最高峰モデルであるEVO R。
こちらはアルミニウム製の単筒式で、減衰力を伸び側縮み側を個別に10段階ずつ調整ができる。
バネ下重量軽減による運動性能向上はもちろんの事、より車やドライバーの好みにあったセッティングに合わせられるようになっている。
街乗りは考慮しないヘビーチューニングカー、ナンバーレス車両、完全なコンペティションカー向けと言える。
次はEVO SE。
EVO Rからストリートでの乗り味やスポーツドライブ性能に寄せてきたモデルだ。
こちらは複筒式を採用。
亜鉛ニッケルコーティングで耐腐食性を向上させている。
さらにこのモデルは、近年の車に多く採用される電子制御システムに対応しており、プラグアンドプレイ(車体側との接続により自動で設定を行い、認識させていくシステム)で装着可能。
街乗りメインでたまにサーキットや峠のスポーツドライブを楽しむ層、ライトチューニングカー向けといったところか。
最後にEVO S。
EVO SEからさらにストリート向けセッティングとしたモデルで、構造は同じながらこちらは電子制御システム非対応。
ほぼ街乗りやドレスアップカー、車高調入門者向けという位置付け。
このようにそれぞれ違う特性を持つ3タイプを紹介したが、今回展示された「EVO Performance Line」シリーズには共通した機能がある。
それは専用スプリングと専用構造の開発により、最大70㎜のローダウンが実現できるということ。
もちろん、大幅車高ダウンで走行性能を劣化させてはビルシュタインの名折れと言うもの。
開発テストでは様々な減衰力、車高、スプリングレートや形状の組み合わせを試しながら、どのような車高でも、ビルシュタインの思想やその名に恥じない最適な走行性能を目指したものとなっている。
こちらは、NA6CEマツダ(ユーノス)ロードスター向けとして、純正形状ダンパーが展示されていた。
人気中古車の多くでは、レストアやリビルドが必要なものが増えつつある。
そこで重要となってくるのが純正パーツだったり補修用部品だが、ビルシュタインではその車に合わせた純正形状ダンパーをリリースする事で、愛車を長く大事に乗っていきたいオーナーのさん要望にも応えていこうとしている。
そのような方にとって大事なのはチューニングではなく、新車に近いコンディションだったり、その車本来のスタイルと乗り味を重視すること。
ビルシュタインは各自動車メーカーとの共同開発やOEM供給をした実績を持っている事からも、こうした純正形状ダンパーはまさにぴったりと言える。
そして最後紹介するのは、日本のビルシュタインテクニカルセンターで開発、生産されるBMW3シリーズの車高調整サスペンションキットだ
こちらは日本側で特に力を入れて開発しているもの。
スペックはグレードによって若干違うようで、
320i M-Sportだと、フロントは倒立単筒式でダウン量は10mmから30mm(ノーマル比)。
リアは正立単筒式でダウン量は同じく10mmから30mm(ノーマル比)。
320iでは、フロントは倒立単筒式でダウン量は20mmから40mm(ノーマル比)。
リアは正立単筒式でダウン量は同じく20mmから40mm(ノーマル比)となっている。
写真のような大径ホイールと低扁平タイヤを組み合わせた状態でセットアップを行っており、この状態で320i本来の前後重量バランスの良さと運動性能を生かしながら、とても快適な乗り心地と高い安定感を実現させているという。
話通りの性能なら、拘りを持つ日本のBMWオーナーも高い関心を寄せてくるに違いない。
【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
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ビルシュタイン
阿部商会
東京オートサロン事務局