新開発ウェットカーボンでエアロパーツを開発するバリス
タイムアタックやモータースポーツ、ストリートカーのドレスアップパーツとしてもカーボン製エアロパーツメーカーとして大人気のバリス(VARIS)。
ここ東京オートサロン2019の出展ブースでは、新たに開発したウェットカーボン素材を用いたエアロパーツを展示していた。
それは、これまでのVSDC(VARIS Semi Dry Carbon Manufacturing)製法を長年の試行錯誤でさらに磨きをかけて進化させたもので、その名もNEO-VSDC(仮称)製法という。
これは、良質なカーボン繊維や硬化させる樹脂、接着剤などを選別して使用する事で、ドライカーボンに匹敵する軽量、高剛性なパーツを作ることができるというもの。
写真のパーツはレクサスLC500用だが、NEO-VSDC製法で作られたカーボンボンネットは、鉄製ボンネットに比べ4.5kgの軽量化を実現させている。
実際に持たせてもらったが、まるで軽い鉄製ボンネットを持ってるかのようでしっかりした感触があり、妙な安心感さえあった。
へたなドライカーボンよりしっかりしてるかもしれない。
一度、ドライカーボン製品と比較してみたいものだ。
バリスと言えば、昔からウェットカーボン製法を採用しているのが特徴。
織り込んだカーボン繊維を専用の樹脂で固めて自然乾燥させるやり方だが、こちらのほうが特別な設備もいらず低コストで作ることができる。
それにより販売価格も抑える事ができるので、我々一般ユーザーにとってはありがたいところだ。
その対局にいるのがドライカーボン製法で、カーボン繊維と専用樹脂で馴染ませたプリプレグシートを型に貼りつけ、オートクレーブという焼き窯で焼いて圧着、硬化させていく手法を取る。
一般的に、ドライカーボンのほうが剛性も高く軽量に作ることができる。
F1やスーパーGTなどのレーシングカーで車体に採用されているのは、もっぱらドライカーボンのほうだ。
もちろんウェットカーボンも、高剛性で軽量に仕上げることは出来る。
だがその製法上、品質にムラが出来やすく、製造する職人の技術に左右されてしまう。
市場に出回っているウェットカーボン製品の評価が別れているのは、こういった点にあるのだろう。
とは言え、ウェットカーボンのほうが様々な車種、デザインの開発がし易く、製法技術を磨いていけば品質の高いパーツを製造する事ができる。
そこでバリスは技術を磨く事を選択。
そうして試行錯誤の末、完成したのが今回のNEO-VSDC(仮称)技術となる。
ウェットカーボンのデメリットを、自社技術を磨く事でカバーする選択をしたバリスの先見の明はさすがと言える。
ここまでやられると、ドライカーボンを選択する理由が薄れてきそうだ。
【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
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VARIS