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帝京大学学生チームの挑戦 – 学生フォーミュラ2022プレビュー

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3年ぶりの開催が迫る学生フォーミュラ2022
今回、帝京大学からエントリーするチーム「TFP帝京フォーミュラプロジェクト」のご厚意で製作中のマシンを拝見する機会を得た。
現代の若者が取り組む物作りとはどのようなものか?
その一端を見てみよう。

物作りを学ぶ学生達の甲子園、箱根駅伝とも言うべき「学生フォーミュラ」だが、新型コロナの影響で3年のブランクが空いてしまった。
オンラインによる静的審査(コスト、プレゼンテーション、デザイン)や記録会が行われたりはしたが、競える場から遠ざかってしまった事で、活動継承やモチベーション維持が困難だった所もあったと聞く。
メンバーの多くが初めて参加というチームもあるようで、そうした背景からも本大会での波乱が予感される。

そんな大会へ挑む「TFP帝京フォーミュラプロジェクト」。
掲げたマシン開発コンセプトは「Give A Trophy To Amature」。
直訳すると”アマチュアにトロフィーを贈る”となるが、これは、アマチュアドライバーが運転しやすいマシン作りをしようという意味が込められている。
公式Twitter
チーム紹介動画

各部を見てみよう。

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車体はスチールパイプによるスペースフレーム。
GFRP製シートはドライバー専用設計で目線は低め。
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プッシュロッド式ダブルウィッシュボーンサス。
ダンパーレイアウトはハの字配置。
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前モデルと新設計のアップライトとを比較。
バネ下重量を削りつつも剛性アップが図られている。
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バネ下重量の軽減と高剛性を両立させるため、試行錯誤が重ねられた。
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マシンに装着される日立アステモ製ブレーキパッド。
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搭載するエンジンはホンダCBR600RR用599cc直列4気筒(PC40E)
内径20mmのエアリストリクター装着が義務付けられているため、市販用から低い回転数でピークパワーを絞り出せるようチューニングされている。
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エンジン搭載位置にも拘っており、オイルパンも新造されている。
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エンジンパワーはチェーンドライブで駆動輪に伝達される。
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レギュレーションを遵守しつつ、マシンに合わせて最適化されたエキゾーストシステム。
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3Dプリンタで作成されたステアリングホイール。
多くの試作モデルを経て現在の形に。
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ステアリングホイール背後にはユニークなワイヤー式パドルシフトを装備。
信頼性も高そうだ。
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独自製作のアルミ製オルガン式3ペダル。
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部品製作に活用されたFLASHFORGEの3Dプリンタ(Creator3 Pro)。

素人目線で恐縮ながら、低重心化とバネ下重量の軽減に拘りつつも過度な冒険はせず、各部がバランス良くまとめられたマシンに思える。
いくつか調整幅が設けられており、セッティングだけでなく想定外の事態にも柔軟にアジャスト出来るという。
実際、とても乗りやすいようでドライバーからも好評との事。
拝見した車載映像を見てもリズミカルでレスポンス良く、気持ちよく走らせている印象があった。

3年ぶりの開催となる学生フォーミュラ本大会。
まずはしっかり確実に走らせる事を第一とし、どんな状況でも柔軟に対処出来ればいいのではないか?
「TFP帝京フォーミュラプロジェクト」のコンセプトから、そんな傾向が感じ取れた。
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ここでメディア的な話を一つ。

インターネットやSNS全盛な今、報道もより多くの方にRTやいいね、クリックしてもらえるよう、表題や写真も映えを重視する傾向にある。
そのため目新しいアイテムや新機軸を投入するチーム、走りの成績、クラッシュといった、”映える”ネタにどうしても注視しがちになる。

しかし学生フォーミュラは、あくまで次世代の日本社会を担う若者を育てるのが目的。
例え目新しさや目立つ事はなくとも学生達には初体験な分野も多かったはずで、個々で考え、悩み、失敗を重ねながら取り組んできた独自のストーリーがあるはず。
そういった面を掘り下げ、社会へ拡散していく事が使命なのではと考えている。

技術的な知識では他媒体に劣る当メディアだが、それでも学生フォーミュラの事、それに関わる若者達の頑張りをしっかり伝えられるよう、本大会の取材に臨みたいと思う。

【取材・文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
TFP帝京フォーミュラプロジェクト