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旧車部品復刻で日本車文化を盛り立てたい – 日清紡精機広島

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自動車用ブレーキキャリパーやブレーキ、クラッチのマスターシリンダーやレリーズシリンダー、吸排気系バルブなどの自動車部品を開発、製造する広島県の日清紡精機広島株式会社では、2019年より旧車部品の復刻製造に乗り出している。
その第一段として着手したのが、写真のコスモスポーツ向け部品。
クラシックカーファンに反響を巻き起こしている。

日清紡精機広島の歴史は、1952年に設立された辰栄工業(株)に遡る。
以降、地元の自動車メーカーマツダの子会社として、多くの自動車部品を手掛けてきた。
その間、マツダと苦楽を共にしながら様々な浮き沈みを乗り越え、経営基盤が変わるなど紆余曲折を経て今日に至る。
名前は変わったものの、培ってきた技術は今も受け継がれており、昨年開催のオートモーティブワールド名古屋では、樹脂と立体配線・機能を一体化する技術を展示。
次世代車開発に向けた取り組みも、積極的に進められている。

そんな日清紡精機広島が旧車部品製造に乗り出したのは、ある日届いたコスモスポーツオーナーズクラブからの依頼が切っ掛け。
その内容は、コスモスポーツ用ブレーキマスターシリンダーや関連の金属部品を100セット製造してほしいというもの。
オーナーズクラブの情熱を感じとった日清紡精機広島は、その依頼を快諾。
残念ながら当時の製造インフラは残っていないものの、クラブ員に部品提供をお願いして3Dスキャナーでリバースエンジニアリング。
見事に復刻させる事が出来た。

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写真では少し見えづらいかもだが、手前側のマスターシリンダーが復刻されたもの

その成果に、依頼元であるコスモスポーツオーナーズクラブは大変喜んで下さったようで、その後も別部品の製造依頼が続いているという。
そうした経緯から”旧車部品の製造は大きな売り上げが見込みにくいものの、これをする事で社内技術の伝承になる”、”長年同じ車を愛して下さるファンを支え、ブランドや文化を後世に伝えていく事に繋がる”と事業化に踏み出した。

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これまでに日清紡精機広島で復刻された部品群
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これまでに日清紡精機広島で復刻された部品群

現在までに、先のコスモスポーツ用ブレーキマスターシリンダーやクラッチレリーズシリンダー、クラッチマスターシリンダーをはじめ、主に以下の部品製造実績がある。

RX-7:エアコントロールバルブ
ロードスター:ブレーキマスターシリンダー、クラッチレリーズシリンダー、クラッチマスターシリンダー
ボンゴ:ロードセンシングポジショニングバルブ
タイタン:ホイルシリンダー
T2000:シリンダーパーツ

また国内だけでなく、海外の日本の旧車ファンにも注目。
近年の輸出需要の増加から、海外の支援にも力を入れたいとアメリカの日本車限定クラシックカーショー「JCCS(Japanese Classic Car Show)」へも協賛。
現地インポーターを通して部品供給を開始している。

課せられる高額な税金、EVシフトが進む昨今だが、”日本車文化を守ろう”、”後世に受け継いでいこう”と、自動車メーカーと関係の深い部品製造企業も徐々に名乗りをあげつつある。
その第一歩となったのは、自動車ファンのちょっとした行動から。
同じく旧車部品を求めている方は、まずは同志を多く集め、その声を届ける事から始めてみよう。
日清紡精機広島でも、マツダ車だけでなくメーカー問わず、多くの問い合わせを待っているそうだ。

【取材・文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
日清紡精機広島株式会社