レースカー制作やモータースポーツを通した次世代技術者育成
人とくるまのテクノロジー展2021取材記事。
今回は、JMIA(日本自動車レース工業会)会員企業でもある栃木県立宇都宮工業高校の次世代技術者育成についての取り組みを紹介する。
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栃木県立宇都宮工業高校では、産学連携によるレース活動での人材育成の共同研究に取り組んでおり、生徒達の手でレース用部品の設計・制作からレースカー制作に携わったり、ピットクルーとして実際にレースに参加するなど活動している。
その思内活動内容を以下にまとめてみた。
【JAFーF4レース】
参加チームからの依頼でマシンに使われる部品の設計、制作を行う。
またハンマーレーシングチームやスーパーウィンズレーシングチーム、ダンロップタイヤサービスの協力で、ピットクルーとしてレースに参加。
【EVフォーミュラ】
過去にF3レースを戦ったマシンをベースに、EVフォーミュラカーを制作。
動力源は充電式単三乾電池を1000本。
駆動するモーターユニットを制作(制御にはワンボードマイコンのArduinoを使用)。
平均時速30㎞/hで、航続距離15㎞を達成した。
【N-oneオーナーズカップ】
地元企業との人材育成共同研究として、N-oneオーナーズカップへ参加。
出場車両へのロールケージの取付けや、車両デザイン等を行う。
レースにもピットクルーとして参加。
【二輪車レース活動】
地元企業との人材育成共同研究として、二輪車レース用部品等の製作やレースに参加。
車両の部品を設計・製作や、トライアルバイクの移動式セクション(障害物)の設計・製作まで行う。
レースにもピットクルーとして参加。
ここまで見ても、かなり多岐に渡って活動されている事に驚かされる。
それだけ技術者育成の場として、重きを置いているのだろう。
確かに自動車レースなどのモータースポーツでは、技術や応用力だけでなくチームワークやコミュニケーションも学べるし、なにより仕事の成果が結果としてすぐに表れる。
些細なミスがレースを落とす原因になったり、ドライバーの命を脅かす要因にもなりかねず、現場では厳しさと緊張感に包まれる事もしばしばだ。
それだけに、そのような環境は技術者育成に最適と、いくつかの自動車専門学校では生徒のレース派遣や実際のレース運営、マシン作りを授業に組み込んでいる。
そうした経験を経て卒業した生徒の中には、自動車ディーラーや整備工場、レーシングチームでは即戦力となっていたり、自動車メーカーでは開発チームの一員として第一戦で活躍している者もいる。
もちろん宇都宮工業高校の卒業生達も、次代の車社会を担って活躍している。
日本のものづくりの衰退も叫ばれている昨今。
次代の若者達の奮起に期待するとともに、我々中堅層や経営者、年配世代も、こうした若者達が自由に意見し、最大限に力を発揮できる基盤作りに奮起したいところだ。
【文】
編者(REVOLT-IS)
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栃木県立宇都宮工業高校
JMIA 日本自動車レース工業会
人とくるまのテクノロジー展事務局