学生フォーミュラ – 名城大学 名城レーシングチーム新体制発表会
学生フォーミュラ 2024年大会に向け、全国のチームではマシン製作が加速している。
そんな中、名城大学から参加の名城レーシングチームが、幸田サーキットyrp桐山で新体制発表会を催した。
学生によるこのようなイベントは国内では珍しいが、それだけに、今期に掛けるチームの意気込みが感じられた。
まずはアンベールされた今年のマシン。
当初は走行の予定だったが、いくつか問題が発生したためシェイクダウンを行えておらず、残念ながら断念。
そのため、エンジンレスのフレームへ足回りを取り付けた状態での披露となった。
とはいえ、早期シェイクダウンにそれ程拘っていない様子で、今年はあえて走行テストを多く行わず、初期テストで徹底的にトラブルシューティングしたうえで大会に臨むという。
続いてはチーム紹介。
各開発部門、担当ドライバーが次々と発表された。
チーム リーダー | チーム マネジメント | エアロ 班 | フレーム 班 | エンジン 班 | サスペンション 班 |
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津原 佳弥 | 高口 大将 | 八木 大樹 | 片倉 敬介 | 河合 颯希 | 三好 統也 |
山中 秀馬 | 与語 大登 | 長尾 真洸 | 高橋 潤成 | ||
岡田 祐 | 本山 功基 | 高木 輝哉 | 野村 亮太 | ||
花村 寛哉 | 木村 初輝 | 樋口 夕汰 | 長谷 侑喜 | ||
茨木 北翔 | 有馬 正喜 | 斎藤 啓 | |||
宮本 魁真 | |||||
岡田 詩子 | |||||
川上 凌馬 |
各セッションを走るドライバーについては、レーシングシミュレーターを活用しての選考を実施。
そのうえで、マシンの各機構を熟知しているメンバーを据えたり、戦略上の観点から少数に絞る、学生フォーミュラでは例のないリザーブドライバーを置くなど、独自の試みが見られた。
大会でのオペレーションに、ぜひ注目頂きたい。
ではここで、チームリーダー津原氏のインタービューをお届けする。
— 今日、無事に体制発表会を迎える事が出来ました。今のお気持ちを聞かせて下さい。
まずは、ご協力いただいたスポンサー様、関係者の方々にお礼申し上げます。
当初の予定では体制発表会までにシェイクダウンを完了させる予定でしたが、活動場所で作業が自由に行えないといったトラブルや設計・製作の遅延が重なり、接地のみという形になってしまったことについて悔しく思います。
また、チームとして初めての試みであったためトラブルも多かったですが、今後の活動のためのよい経験となったのではないかと考えています。
— 大会に挑む今期の体制、メンバーを見て、どのような感想をお持ちでしょうか?
昨年の主要メンバーが 10 名程度であったのに対して、今年度は 2 年生が加わり 20名強となりました。
そのためチームをまとめる難易度は昨年よりも高くなったと感じております。
ただ、実働メンバーが多ければやれることの幅は広がるので、 後輩への教育や指導にも力を入れていきたいと考えております。
ドライバーについては発表があった通り、今年度からドライバーラインナップを大幅に変更しております。
エースドライバーの高口が、次の大会で学生フォーミュラドライバーを引退することから、新ドライバーには、運転技術をしっかり受け継いでもらいたいですね。
— 会場がスカイエキスポに変わりますが、それによるチーム作り、マシン作りで何か違ったアプローチをしましたか?
コースも変更されるということで会場見学に参加し、路面状況などの確認を行いました。
また、ここ数年の会場周辺の天候や、コースの予想も行っています。
そして今年は、従来行われていた同じコースでの試走会が出来ないため、新コースに短時間で慣れる必要があります。
そのためドライバー選考においては直前までコースを伝えず、決められた時間内でどれだけコースに適応できるかという点も、評価ポイントとしました。
— 今年のマシンの特長、自信のある箇所、見てほしい点を教えて下さい。
基本的に、昨年のマシンベースのバージョンアップとなりますが、今年度のマシンコンセプト「Quick & Light」を達成すべく、車両重量 175kg を目指しています。
各部では、リアウイング翼端版の小型化やベルクランク、リアバルクの形状変更、インジケーターの視認性向上のため、タコメーターLED を既製品へ変更しました。
さらに整備性向上のため、電装部品の取り付け方法も見直しています。
— 最後に今年の大会目標と意気込みを聞かせて下さい。
目標としては、総合優勝を掲げています。
昨年は過去最高順位である総合 5 位を獲得しましたが、まだまだ反省が多いです。
今年はそうした反省を生かしながら、より高みを目指していきたいと考えています。
それだけでなく、常に上位にいられるチームの基盤作りも必要と考えています。
特に弊チームでは、引継ぎや振り返りが苦手という傾向があるため、無駄に時間を使ったり、前年の反省が生かし切れない事があります。
その点、他の強豪チームはしっかり行っていると思いますので、今後は力を入れていきたいですね。
もちろん、メンバーのやる気も重要な要素です。
これからも頑張ってもらいたいと思います。
ところで今回の発表会では、来場者に楽しんでもらうべく様々なコンテンツが用意された。
- 支援スポンサーによる出展ブース
- レンタルカート走行体験
- トヨタGR車両の走行体験
- マイカーでのサーキット走行体験
- 特別スポーツ走行
- レーシングチーム「無限」のレースエンジニアによる特別講演
- BBQ&サーキットキャンプ
これらは、学生フォーミュラを通して車やサーキットを楽しんでもらいたい、多くの交流を持ってもらおうという思いから企画されたもので、なかなかの盛り上がりを見せていた。
【取材・文】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力】
名城レーシングチーム
幸田サーキットyrp桐山
多賀稔晃(鈴鹿サーキット公式レースアナウンサー)