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次世代レーシングカー開発に取り組む物作り企業達 – 人とくるまのテクノロジー展2023

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人とくるまのテクノロジー展2023にて、モータースポーツカテゴリの一つ「FIA-F4」選手権の2024年シーズンを戦うフォーミュラカーが公開された。
これには日本自動車レース工業会に加盟する各企業が開発に携わっており、各々が持つ技術、得意分野が随所に生かされている。
まさに、日本の物作りを結集させたレーシングカーと言ってもいいだろう。

今回はそのマシンと他の展示物を見ながら、関わった各企業を紹介していく。

FIA-F4の詳細はこちらをクリック。

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東レ・カーボンマジック(株)
マシンのシャシー設計、開発を担当。
さらに、グループ企業のカーボンマジック・タイランド(株)がボディカウルを担当した。
カーボンコンポジットを使った各種素材や製品開発を主としており、スーパーGT、GT500クラスや日産リーフベースのEVレーシングカーのシャシー製造をはじめ、前身の童夢カーボンマジック時代を含めると、レーシングカー開発では豊富な経験を持つ。
近年はモータースポーツだけでなく、自動車やバイク、航空・宇宙業界にドローン、医療、鉄道、スポーツ、その他産業機器向けでも、自社技術を生かした製品開発に取り組んでいる。

ムーンクラフト(株)
※WEBサイトはトラブルのため現在閲覧不可となっている。Twitterは稼働中のため、当面はそちらを参照の事。
ヘッドレストを担当。
モータースポーツファンの間では”空気が見える男”、”違いがわかる男”でお馴染み、由良拓也氏が率いるレーシングカーコンストラクター。
1975年の創業以来、数多くのレーシングカーを開発し続けており、日本を代表する一つに数えられている。
また他分野にも手を広げており、あの東京オリンピック2020で使われた競技用カヤックの開発でもその名を見る事ができる。

【(株)サンアイ】
Halo(ヘイロー)とサスペンションアームを担当。
同社は長年、自動車レース業界に携わっており、主にレーシングカーの部品製造やメンテナンスを手掛けている。
機械加工から溶接まで行える工場を保有。
これまでの経験から、レーシングカーに必要とされる要素とそれに対する同社製品の役割を熟知しており、特に部品トラブルで、レーシングドライバーやチームスタッフに危険が及ばないよう意識しつつ、状況に合わせて最適な部品を提供し続けている。

新興工業(株)
ステアリングパーツを担当
同社では、自動車のエンジンや駆動系、トランスミッション、ステアリング、ブレーキ、モーター系といった各部品の製造で実績がある。
レーシングカーでの使用にも応えられる高品質、高精度な部品製造も対応でき、さらに次世代型電気自動車向けのインホイールモーターを開発するなど、時代に合わせた取り組みも行っている。
その他、自動車部品製造で磨いた知見、技術を生かして農業や産業機器向けの部品製造も行うなど、他方面でも事業展開されている。

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(株)SCT
ボディカウルを担当。
同社は、FRPの成形加工を得意とする企業で、L-RTM工法やインフュージョン成形法、低圧RIM成形法といった独自技術を使い、複雑な成形を施したり、高強度かつ軽量で低コスト、量産にも向く製造法を確立している。
公開済みの実績としては、医療機器向けのカバーや寝台、産業機器の収納ケース、自動車用のCFRP製ボンネットやGFP製シートの製作がある。

そして今回は、画期的なコアフレーク転写シートで話題の材料メーカー「米島フエルト産業(株)」や「(株)トヨタカスタマイジングデベロップメント」との協業で試作した、天然繊維素材を使ったリアウイングと固定治具も展示してきた。
これにはビニルエステル樹脂とBcomp社の亜麻繊維、米島フエルト産業のバルサコアフレークが使われており、高いバイオマス度と必要十分な剛性、軽量化を達成している。

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(株)トムス)
エンジンを担当。
日本のトップレーシングチームの一つで、現在もトヨタ系有力チームとしてスーパーGTやスーパーフォーミュラでも活躍中。
F3や各種入門、ステップアップカテゴリとなるフォーミュラカー向けエンジンも供給している。
トムスは今年度まで2リッター160馬力の「TZR42」エンジンを供給しているが、次のマシンからは20馬力アップの「TMA43」に切り替わる事となる。
尚、エンジン開発には「TRD(トヨタカスタマイジングデベロップメント)」も協力している。

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(株)ケン・マツウラレーシングサービス
モータースポーツを古くから支え続けてきたエンジン・チューナー企業であり、F1からF3000、フォーミュラ・ニッポン、CART、NASCAR、WEC(世界耐久選手権)、WRC(世界ラリー選手権)、F4、スーパーフォーミュラ、スーパーGT、JSB、WSB、MotoGPと、上げればキリがないほど、数多くのレーシングエンジン開発に携わってきた。
そうした背景と蓄積されたノウハウ、技術は多方面から高い評価を受けており、現在はトヨタ等と協力して水素エンジンを開発するなど、市販車開発にも多く関与している。

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(株)戸田レーシング
6速シーケンシャルトランスミッション、パドルシフト、ダンパーを担当
日本を代表するレーシングコンストラクターの一つであり、自社チューニングのエンジンや独自開発したダンパーや駆動系を、主にステップアップカテゴリ向けフォーミュラカーに供給し続けている。
近年はEV需要に合わせ、基幹事業の一つである各種試作、開発、試験の受託業務も拡充しており、ブースにはインホイールモーターと専用のテストベンチも展示された。

(株)アネブル
油圧や燃料系などのホース類を担当。
同社は、エンジン試験、評価の受託やエンジニアの派遣事業、試験車両の製作、国内外からの様々なモータースポーツ部品の調達や販売、アフターサポートを行うなど幅広い事業を展開している。
アネブルと言えば、スーパーGTファンの間ではヴィ―マックRD320Rのメインスポンサーで名前を聞いた方もいるだろう。
またTCR Japanのオフシャルパートナーを務めあげるなど、現在もモータースポーツへ積極的に関与し続けている。
その他では、学生フォーミュラに参加する学校を訪問したり独自に技術セミナーを開くなど、次世代の人材育成にと積極的に活動されている。

(株)KED
サブフレームを担当。
同社は試作車、特装車、カスタムカーから試験治具、車両部品の製造に、トミーカイラ車両のメンテナンスや専用パーツの販売、オリジナルパーツ開発まで手掛けており、主に少量生産のスポーツカーの試作や開発、制作を得意とする。
代表の方は童夢トミーカイラでスーパーGTのメカニックや部品制作、車両製作の経験を積んできており、同社ではそうしたノウハウを生かしたオリジナルカー開発を目指している。

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大和ラジエター工業(株)
ラジエーターを担当。
同社では、一般車からスーパーカー、ノスタルジックカーに至るまで、様々な熱交換器を開発、製造している。
また量産品だけでなく、小ロット生産や短納期にも対応する環境が整えられており、特注品やコア替えといったカスタマイズも請け負っている。
他にも、モータースポーツやサーキットアタックのようなハードな使用向けのラジエーター、インタークーラー、オイルクーラーを専用開発するダイワレーシングラボブランドも展開しており、同社保有のマツダRX-7(FD3S)を使って精力的に開発を続けている。

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ブリッド(株)
シートを担当。
モータースポーツやチューニングカー向けのセミバケットシート、フルバケットシート開発で不動の人気を誇る同社だが、一般向けでも商用車や長距離トラック、キャンピングカー用シートに、在宅ワークにも使えるゲーミングチェアやチャイルドシートまで手を広げている。
どちらかと言えば市販車への装着イメージが強く、フォーミュラカーへの採用は珍しいかもしれない。
それだけに、実際のレースを戦うドライバーの感想が気になるところ。

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(株)双新電子
ステアリングとワイヤハーネスを担当。
急速に進む車の電装化やEVの台頭、新たなモビリティへの模索、効率の良いエネルギー利用が求められる昨今において、同社では電子部品やハーネスの試作、開発、製造を担うワイヤハーネス・電子デバイス事業と省エネルギー機器・次世代ビークル事業、EVやレーシングカー、試験車両などといった設計開発事業を展開。
長年培ってきたノウハウと技術力は、多大な負荷がかかるレーシングカーで採用されるほど確かなもので、多種多様なお客様の要望実現に貢献できるよう、常に最適化した製品や利用プランを提案してくれる。

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(株)イケヤフォーミュラ
ドライブシャフトを担当。
モータースポーツだけでなく、自動車チューニングなどアフターパーツ開発でも支持者が多い同社。
タイムアタックやドリフト、DIYユーザーにも好まれる足回りパーツ等をリリースしており、その性能の高さから多くのユーザーに好まれている。
近年はEV向けミッションや次世代型パワートレイン開発にも力を入れており、これまでにドグミッションベースの画期的なシームレスミッションや2段変速ミッションを発表している。

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(株)TAN-EI-SYA WHEEL SUPPLY
ホイールを担当。
同社では長年、TWSブランドの国産自動車用ホイールを製造し続けているが、Fモータースポーツをはじめ、ストリートやサーキット走行派、ドレスアップ派に至るまで幅広い支持を受けている。
素材はアルミだけでなく、マグネシウムとの合金も使用した製品もラインナップ。
製法は拘りの鍛造技術で、デザイン性だけでなく高い強度に加え、軽量高剛性という要素までも兼ね備えている。

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芝ライニングジャパン(株)
ペダルとブレーキを担当。
同社では、自動車部品の輸入販売を手掛けている。
主な取り扱いブランドは以下の通り。

販売だけでなく国内向けの開発やアフターサポートも担当するなど、主要なモータースポーツカテゴリを支え続けている。

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セキダイ工業(株)
フロント・アンチ・イントリュージョンパネル(前面進入防止パネル)を担当。
同社では、スチールはもちろん、銅や鋳物、アルミにマグネシウム、チタン、ステンレス、インコネル、PEEKといった各種素材の加工を得意としている。
これまで数多くの自動車やレーシングカーの部品を製造してきただけに、対象による各種素材のノウハウや加工技術は一見の価値がある。

近年多くの企業では、様々な素材の活用が研究されている。
高剛性、高品質、軽量化という相反する要素を求めるためだが、そうした現状において、同社のノウハウはかなり重宝しそうだ。

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(株)PEAKS
アライメントツールを担当。
同社では、各種自動車やレーシングカー向け部品の製造、加工にプレス金型の設計製作などを手掛けている。
多くのレーシングチームや近隣のガレージから頼られる存在で、急遽必要になった治具や、破損部品の製造依頼が舞い込む事も。
そのような緊急でも実践で充分使える部品を送り出している事から、レースで使う部品はこうあるべきという知見の豊富さが窺える。
近年は試験的に登山用ワイングラスを製造するなど、他方面への進出も模索している様子。

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(株)童夢
同社は日本を代表するレーシングカーコンストラクターで、これまでにF1やF3000、F3、GTカー、ルマン24時間など、数多くの自社製レーシングカーを手掛けてきた。
現在もSuper GTやTCRにF4、フォーミュラリージョナルのマシン開発やアフターサポートと幅広く活躍されている。
また、サスティナブルな天然繊維のコンポジット材料も手掛けており、数年前の発表以降、フォーミュラカーのカウルやダカールラリー車両へ採用されたりと、着実にシェアを伸ばしつつある。

【取材/文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
特定非営利活動法人日本自動車レース工業会
公益社団法人 自動車技術会