型にはまらない鋳物屋と豪語する株式会社コイワイ。
創業当時から磨いてきた鋳造技術と3Dプリンタを組み合わせる事で、新世代の物作りに対応すべく進化を続けている。
人とくるまのテクノロジー展2023ではその実績の一端をはじめ、大型ながら薄い肉厚の鋳物も製造する、画期的な高延性砂型鋳造法が紹介された。
今やSDGs時代。
自動車部品製造企業では、試作から開発、製造過程で発生する様々な無駄、エネルギーロスを減らす取り組みが盛んだ。
その一つにスピードの向上があるが、コイワイでは、CAEによる鋳造解析と世界最速の砂型用大型3Dプリンタ技術を活用した試作モデル製造と、独自の高速量産技術でそうした要求に応えている。
現在までに船舶用エンジンのマニホールドやオイルパン、自動車用ターボチャージャーのコンプレッサーカバー製造などで実績あげているようだ。
また、昨今の自動車開発で需要が高まる薄肉大型部品に対しては、独自の高延性砂型鋳造法が編み出された。
従来のやり方では、例えば4mm厚以下の鋳物製造では湯回り不良や収縮巣などが起きやすく、高延性を得る事が非常に難しかったが、コイワイではそうした課題を克服。
3mm厚でも湯回り不良を発生させず、収縮巣やガス欠陥、歪みを大幅に抑える事に成功している。
これにより、薄肉大型鋳物でも高い強度と高延性を得られやすくなった。

サンプルのフレームとバッテリーケース。ダイカスト材と比較して、それぞれ14.4%と18.9%という伸びを達成している。
この他、低歪み高強度アルミニウム合金や耐熱アルミニウム合金といった材料も開発する等、従来の鋳物屋の常識に捕らわれず、次世代に向けてコイワイは取り組んでいる。
ぜひ、他の技術と比べてみてほしい。
【取材/文】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力】
株式会社コイワイ
公益社団法人 自動車技術会