R35GT-Rの温度変化をサーモルカメラで見る
一般的に自動車は、走行中、停止中問わず、ラジエーターに風を当ててエンジンを最適な温度に保つようにしている。
では風を当てた際、どのような温度変化が発生しているのか?
そこで富士エアロパフォーマンスセンターの協力の元、サーモルカメラを使ってその様子を撮影してみる事にした。
まずは使った機材と車両を紹介する。
サーモルカメラだが、今回はInfiRayのXinfrared T2S Plusを用意した。
これはスマートフォンに装着して使うもので、以下の特長がある。
- 写真と動画が撮影して、スマートフォン内に保存できる。
- 同価格帯の競合他社製品と比較して、解像度やフレームレートが高め。
- 位置を指定する事で、その付近の最高温度と最低温度、平均温度をリアルタイムで計測できる。
- 電源はスマートフォンから供給される。
- スマートフォンとカメラを固定する、専用のガングリップタイプのマウントが付属する。
そして車両は、富士エアロパフォーマンスセンターでお借りした日産のR35 GT-R。
外装には、チューニングショップ「トップシークレット」のエアロパーツが装着されているためノーマルとは違うが、温度変化の度合いそのものを見るのが目的なので、このまま進めていく。
まずは計測前準備。
風洞天秤に車両を載せてエンジンを始動。
一定時間アイドリングして、冷却ファンが回るまでエンジンを暖めておいた。
またセンター側も、バンパー付近に温度センサーを装着して独自に計測する事とした。
そこから計測を開始。
風洞を起動してから約3分間、風速15m(時速54km)の走行風を当ててみた。
映像でも表れている通り、特にフロントダクト周りでオレンジだった箇所が、段々と紫色に変化しているのがわかるだろう。
これだけでも、走行風が冷却に重要な役割を果たしている事が見てとれる。
また、今回は都合により温度数値の同時計測は行わなかったが、センター側の測定結果を見せてもらったところ、開始時点は約40℃、3分後では28℃前後と10℃近い変化を記録していた。
結果を見るに、車の停止中は冷却ファンが作動するとはいえ、やはり走行風による冷却に勝るものはないといったところか?
今回は日の当たらない屋内での計測だったが、屋外での長距離ドライブやサーキット走行直後だと、また状況が変わってくるはず。
機会があれば、そうした条件下での計測も試してみたいと思う。
【取材/文】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力】
富士エアロパフォーマンスセンター
(株)日本風洞製作所