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灼熱のラストエコパ ~ 学生フォーミュラ2023レポート1

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例年より1週間以上早く開催された今年の学生フォーミュラ日本大会。
奇蹟的に台風など悪天候にもぶつからず、期間中は全てドライコンディション。
なんと猛暑の中で進行された。
経験の少ない状況に学生達はどう挑んだか?
さらに4年ぶりの海外勢の参加、EV勢の躍進、来年の会場移転が決まり今年は最後のエコパ開催と、トピックスの多かった本大会をまとめてみた。

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まずは今年のエントリー状況を見てみよう。
内訳は以下の通り。

国籍参加チーム数(2023年)参加チーム数(2022年)
日本5155
中国10
インドネシア10
タイ10
ICV(ガソリンエンジン)クラス:54チーム

国籍参加チーム数(2023年)参加チーム数(2022年)
日本1914
インドネシア10
中国10
台湾20
EVクラス:23チーム

今年にかけて撤退したチーム、辞退や統廃合したチームも見られたが全体的に増加傾向。
また、ICVからEVへ移行したチームもいくつか見られた。
本大会でも来年のEV移行を表明するチームが出てきているため、この傾向は強まるものと見られている。

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例年より1日早く、月曜日から始まった学生フォーミュラウィーク。
内訳として月曜日~水曜日が車検と練習走行のみに当てられ、木曜日からそこへ動的審査が加わるスケジュールで進められた。

注目は月曜日。
この日は、EVのみの車検日として割り当てられていた。
ICVクラスと比べてEVは車検項目が多い事、久しぶりの現地開催となった昨年は多くのEVチームが車検不通過となる事態となったため、恐らくそれに配慮したのだろう。

だがいらぬ心配とばかりに、始まってからは多くのEV、ICVチームが順調にパス。
これは昨年の反省を踏まえてか、大会まえにチーム合同で行われた模擬車検や勉強会などの成果が出たものと思われる。

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気になったのが、強豪チームがなかなか全車検項目を通過できなかった点。
水曜日10時の段階で早々とクリアしたチームがいる中、動的審査開始となる木曜日もいくつか車検対応に追われていた。

ちょうど騒音試験の現場に居合わせる事が出来たが、所定の条件で110db以下の排気音となればOKだが、111、111.6dbと際どい数値は出るものの何度やり直しても規定を下回る事ができず、一旦ピットへ引き返すチームも。

その後訪れたブレーキ試験でも、苦戦を強いられている場面に遭遇。
こちらは走行からのブレーキング時に4輪ロックする事が絶対条件だが、数回やっても1輪だけバツとなるなど上手くバランスが取れず。
苦肉の策として、タイヤに水を撒いてバランスを取ろうとするチームも出てきていた。

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いよいよ始まった動的審査。

早々に車検をパスし、練習走行でも十分に走りこんだチームが快調に走り始める中、EV総合優勝に燃えるFormula Team FEM名古屋大学)がアクセラレーションで堂々のトップタイム(日本新記録)を記録。
スキッドパッドが4位、オートクロスでは10位となっていたが、静的ではデザイン、プレゼンテーションで1位を獲得しており、コストが27位だったものの総合優勝の可能性を十分残していた。
参考元:名古屋大学FEM 世界レベルのEV開発への挑戦

ただオートクロス最後のセッションにて急に遅くなった事、走りが乱れ始めた事が気がかり。
4輪インホイールモーターの2つにトラブル?の噂もあったが、果たしてエンデュランスはどうなるか。。。

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昨年の覇者、Grandelfino京都工芸繊維大学)はオートクロス、アクセラレーション走行後にマシントラブルが発生。
修復のためピットに戻されたが、その修理に時間がかかりスキッドパッドになかなか現れない。
実はパーツ交換が必要だったものの予備が無く対応に苦慮していたところ、KART京都大学)が保有していた予備パーツがぴったり合ったため、それを購入して急ピッチで修理完了。
すぐさまスキッドパッドへマシンを運びこみ走行開始。
少ない時間の中でスキッドパッド、その後のオートクロスともども堂々のトップタイムを叩き出し、王者の貫禄を見せつけた。
ただアクセラレーションは9位、静的ではコスト審査が1位だったものの、デザインとプレゼンテーションがそれぞれ4位だったため、総合優勝を決めるのはエンデュランスの結果次第となりそうだ。
参考元:【京都工芸繊維大学学生フォーミュラ】さらなる高みへ、高度な長期開発

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さらにいくつかのチームを観察していたが、オートクロスでは4チーム連続リタイアという場面に遭遇した。
当初は猛暑の影響では?と疑ったが(例えば燃料のパーコレーションなど)、かたや電装系、かたや燃料が吸わなくなったからでは?と各チーム原因の想定がいまいち一致せず。
エンデュランスへの参加権があるチームは調査を進めるとの事だが、果たしてどうなるか。。。

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白熱する動的審査エリアから離れ、企業ブースに戻ってきた。
今年の学生フォーミュラには200社近い企業がスポンサードしているが、その目的の多くが自社技術のPRや人材の育成支援、そして若く即戦力ある人材の獲得だったりする。
ちなみに大会スタッフには、こうしたスポンサー企業から派遣された社員も大勢含まれており、各社、いかに学生フォーミュラを重要視しているかが窺いしれる。

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ブースを回ってみると、どこも訪れた学生や企業間の交流に積極的な様子で、挨拶だけでなく、例えばフレームやモノコック設計、部品の管理や扱いについて意見交換を交わしている所もちらほら見られた。

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参加チームが軒を連ねるピットを歩いてみたが、当日の予定を終えた所は他チームへ積極的に訪問。
マシンを見学しつつ互いに意見交換を交わしていた。

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中には、スーパーフォーミュラやスーパーGTを戦う現役モータースポーツ関係者の姿も見られたが、恐らくこちらも、良い人材の獲得を視野に入れているのだろう。
OBの姿を見つけた学生が、自チームのピットへ引っ張っていく姿も見られた。

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そういえばピットエリアには、シェイクダウン証明に間に合わなかったチームもいくつか現地入りしており、翌年の大会に向けて模擬車検を受けるなど盛んに情報を集めていた。
ただ現地入りしなかったチームの中には、ケジメなのか最後までマシンを完成させて非公式なシェイクダウン証明を撮ったところもあり、この差が来年どう表れるか興味深いところである。

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こちらは、静岡県が行ったその名も「まるごと”しずおか”」の出展ブース。
主にエコパのある掛川市袋井市、隣接する菊川市が中心となって地元の名産品を展示販売したり、モータースポーツファンにはお馴染み、袋井市に拠点を構える(株)タジマモーターコーポレーションをはじめ、浜松の(株)Takayanagi、磐田の(株)ジー・ゾーン、駿東郡長泉町に技術センターを構える(株)メタテクノが、次世代モビリティなど自社製品を展示していた。

名産品の置かれたブースでは、袋井市名産の茶葉を使った冷たい水出し茶が多くの方に振る舞われ、来場者の喉と渇きを潤していた。
猛暑続きだった今年の学生フォーミュラにおいて、このお茶に救われた方も多かったのではないだろうか?
このような温かいおもてなしも、残念ながら今年で最後に。。。

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【取材・文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
公益社団法人 自動車技術会
KAERU JOURNAL
ガクエフジェーピー