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京工繊、同志社が学生フォーミュラ初となる風洞での空力測定 ~ 富士エアロパフォーマンスセンター

国内外の大学、専門学校の学生達がゼロからレーシングカーを開発し、競技で覇を競う学生フォーミュラ。
近年は空力を考えたマシンも多く登場しているが、CFDや机上の計算に頼った開発ばかりで、実際の効果は走らせないとわからないという状況が続いていた。
そこで、誰でも気軽に風洞実験が行える富士エアロパフォーマンスセンターに協力を依頼。
国内で初めてとなる、学生フォーミュラマシンの風洞実験を企画してみた。

20230723_学生フォーミュラ_風洞試験

さっそく全国の学生チームに利用を提案したところ、真っ先に手を上げてくれたのが関西支部学生フォーミュラ委員会。
関西、中国地区のチームからなる同委員会だが、「ぜひやりたい!!」と連絡があり、すぐに参加チームの公募やスケジュール調整に入ってくれた。

紆余曲折のすえマシンを持ち込む事になったのは、昨年の覇者である京都工芸繊維大学のチームGrandelfinoと、同志社大学のチームDUFPの2チーム。
他にも多くのマシン持ち込み希望があったようだが、製作スケジュールの都合で相次いで断念。
それでも、見学だけでもしたいとそちらの参加希望者が殺到してしまい、結果、当初予定の倍以上である40名以上の大所帯がセンターに来訪する事となった。

そうして迎えた当日。
両チーム、なんと今年仕様のマシンを持ち込んできた。
その様子を写真でまとめてみた。

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グランデルフィーノ(京都工芸繊維大学)のマシン
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DUFP(同志社大学)のマシン
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当日は、センター親会社の(株)日本風洞製作所CEOのローン氏も駆けつけてくれた。
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ローン氏には、訪れた学生達へ風洞システムの解説もして頂いた。
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搬入後のセッティング風景。
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センターの方から試験について説明を受ける。
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まずはグランデルフィーノから。ドライバー代わりにダミー人形を着座。
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同じくグランデルフィーノで、今度はドライバーが着座。
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セッティング直後に行う基準計測では、このように外に出て見る事ができる。
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こちらDUFPのセッティング直後。
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DUFPは、最初からドライバーを座らせて計測開始
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計測室での様子。 本番計測中は全員、この中で待機する事になる。
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計測の合間に行われたマシンのセッティング変更。
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こちらはタフトを使った試験の様子。 棒の先に糸がついており、その動きで気流の状況を目視する。
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さらにスモークを使った試験も実施された。

センター側がオープンフォーミュラの試験経験が少ない事、普段より気温や湿度が高いなどの条件が重なり、いつもより事前準備や1回の計測セッションに多くの時間を取られてしまったが、当日参加した学生達は出力されるデータに皆、興味津々。
中には風洞実験をやるのが憧れだったという学生もいたりで、チームメンバーと雑談を交えながらホットに意見を交わしていた。

ここで、チーム毎に行った試験パターンをまとめてみた。

Grandelfino
基準形態:(標準セッティングのままでドライバー無し)
基準形態2:(基準形態の条件で風速のみ変更)
形態3:(基準形態2の条件でドライバー着座)
形態4:(基準形態2の条件でアンダーカバーを外す)

DUFP
基準形態:(標準セッティングのままでドライバー着座)
形態2:(基準形態の条件でリアウイングの高さをアップ)
形態3:(携帯2の条件でリアウイングのトップフラップを寝かせる)

具体的な数値はここで紹介できないが、どちらも狙った効果が出せている箇所もあれば、実測してみて初めて状況が確認できた箇所もあった様子。
エアロを改善したい、設計をやり直したいという声もあったが、大会も間近で静的審査に向けた書類準備も大詰めな中、出来る事は限られてくる。
どこまでアジャストしてくるか?
大会へ足を運ばれる方は、ぜひ写真と見比べてみてほしい。

そして見学者の反応だが、実際に目の当たりにして明らかに顔色が変わっていた。
思っていたより多くの項目を実測できる事が理解できたようで、マシンを持ち込みたかった、いつかマシンを持ってきたいと残念がる声もあった。

実は海外でもあまり例のない、学生フォーミュラの風洞実験。
それだけに学生達のモチベーションは高まっており、今後は関東や中部地区のチームでも予定されている。
これを機に、マシン開発のさらなるレベルアップを期待したいところ。

【取材/文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
富士エアロパフォーマンスセンター
自動車技術会関西支部 学生フォーミュラ委員会
Grandelfino京都工芸繊維大学
DUFP同志社大学