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帝京大学宇都宮キャンパスの挑戦 – 学生フォーミュラ2022チームプレイバック

20221009_帝京フォーミュラプロジェクト_学生フォーミュラ_JSAE

3年ぶりなリアル開催が叶った”学生フォーミュラ”。
物作りを学ぶ学生達の”甲子園”とも言うべき本大会へ各チームどのように臨み、どのような結果が得られたか?
今回は帝京大学宇都宮キャンパスからエントリーの学生フォーミュラチーム”TFP帝京フォーミュラプロジェクト”をピックアップしてみた。

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帝京フォーミュラプロジェクトクトのピット前。
取材だったり他チームが見学で訪れる光景も

メンバー構成は主にシャシー、パワートレイン担当に分かれており、作業状況によって柔軟にサポートし合う体制となっている。

普段は帝京大学内の実習工場棟で活動を行っている。
ここは設備が充実しており、ちょっとした部品工場顔負けな様々な工作機械や作業スペースを揃えている。

そこで制作された今年のマシン「TFP-22」は、「Give A Trophy To Amature」というコンセプトテーマの元に開発された。
これは”アマチュアレーサーにトロフィーを”という意味だが、初心者でも優勝トロフィーが取れるような、扱いやすいマシンにしようという開発目標が込められている。

20221009_帝京フォーミュラプロジェクト_学生フォーミュラ_JSAE_02
動的審査出走前。
奥に帝京フォーミュラプロジェクトのマシン

では大会結果を見てみよう。
事前に行われた書類提出、シェイクダウン証明提出、オンラインによる静的審査、動的審査では以下の結果となった。

ESA/ESO, SES, IAD, ESF, and FMEA:SES ペナルティ無し
デザイン審査:35位
プレゼンテーション審査:37位
コスト&製造審査:41位
シェイクダウン証明:承認
アクセラレーション:19位
スキッドパッド:20位
オートクロス:33位
エンデュランス:13位
燃費:13位
総合:18位

2019年、そして静的審査のみとなった2021年から大幅に順位をあげた帝京フォーミュラプロジェクト。
全ての審査項目をペナルティ無しで完遂、完走を果たした事から”日本自動車工業会会長賞”を得る事となった。

まず静的審査について。
全体的にどのメンバーも制作と並行して書類作成を行っており、未経験がたたり暗中模索な日々が続いたため、当初立てていたスケジュールから遅れが出始める状況に。
それも影響してか、コンセプトや利益モデルを上手く資料に落とし込めず、審査中は審査員から多くの指摘を頂いてしまったという。
ただ自分達の悪い点が明確になったので、来年は指摘内容を元に見直しを図り、スケジュール遅延が起きないよう確認回数を増やすなど工夫していきたいと語ってくれた。

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抜群の操縦性と安定感で快走を見せる

次に動的審査。
アクセラレーションとスキッドパッドでは時にヘビーレインとなる雨模様な中、開発コンセプト通りの操縦性の高さ
が効いてマシンはコントローラブル。
デフロック効果でトラクションも良く、パドルシフトのフィーリングがとても良かったため、ペダル操作やステアリングワークに集中できたという。
一部ドライビングミスに悔やむ場面もあったが、スキッドパッドでは一時、今大会で総合優勝したチームの0.1秒落ちに迫る勢いも見せてくれていた。

オートクロスでは路面が濡れていたうえ、一部コース上では流れこんできた細かな土砂が浮いている状態で路面コンディションが安定せず。
路面コンディションが読みにくい中苦戦はしたものの、ドライバーの奮闘でなんとか完走を果たしている。

エンデュランスでは採用した13インチタイヤの暖まりが遅く、ファーストドライバーが走り始めてからの1~2周はズルズル滑る感じ。
序盤は神経を使ったものの、後半はタイヤもエンジンも暖まってきたためマシンも好調に。
そしてバトンを受け継いだセカンドドライバーでもそれは変わらず、オートクロスからコンディションが改善された事もあり、思い通りにマシンをドライブ出来たという。
そうして無事完走。
歓喜に沸いたチームメンバーの表情が忘れられない。

マシンコンセプト通り、素晴らしいマシンを作りあげてきた帝京フォーミュラプロジェクトだが、ドライビングミスや路面状況に足を引っ張られたり、マシンもまだまだ改良の余地を残している。
既に目線は来年に向けられており、ドライビングの練習はもちろんの事、マシンでは車重をもう少し軽くしたりステアリングの重さの軽減、10インチタイヤの導入も検討したいと語ってくれた。

【取材・文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
TFP帝京フォーミュラプロジェクト
自動車技術会