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大阪大学 のリベンジ – 学生フォーミュラ2024レポート

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大阪大学 吹田キャンパスを拠点に学生フォーミュラに参加する 大阪大学フォーミュラレーシングクラブ(以下、 OFRAC と呼称)。
2010年、2018年に総合優勝した実績を持つ強豪チームだが、ここ数年は優勝争いはおろか、動的審査の完走もおぼつかない状況が続いている。
そうして迎えた2024年大会。
愛知スカイエキスポで復活を遂げられるかに注目が集まった。

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泉大津フェニックスでのテストセッションの様子

昨年よりメンバーが少ない中でのスタートとなったOFRAC。
予算も限られ不安もあったが、メンバー一人一人が能動的に、協力し合いながら動いてくれた事で、ほぼ予定通りのスケジュールで進行出来たという。
その成果もあり、今年度のマシン「OF-24」は4月という早い段階で完成。
シェイクダウンを早期に済ませ、ホームコースの泉大津フェニックスで多くのテストを消化しながら、熟成が進められた。

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この時のカラーリングは暫定仕様

基本的に前年型のアップデート仕様で、独自のカーボンモノコックシャシーは今年で3年目となる。
その外観を見ると、若干落とされたフロントノーズ先端とフロントウイング、リアウイングの形状変更が目を引く。
リアウイングはマウント形状も見直されており、高さも若干低められているようだ。
同チームは、昨年の大会終了後に 富士エアロパフォーマンスセンターで風洞実験を行っており、今期の開発ではそこで得られたデータも活用されている。

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ホイールベース、トレッドは昨年型と同等ながら、前後重量配分をフロント寄りに変更。
エンジンも昨年と同じ KAWASAKI ZX636G ながら、パワーウエイトレシオは動的審査参加チーム中トップという数値に。
その他、サスペンションも話題のエボサスを廃止。
ダンパーもオーリンズへ変更するなど、昨年得たデータを元に実践的な開発がなされている。

出来る事は100%やり尽くしたというOFRAC。
今年は静的審査の総合3位入賞、動的審査の完走とオートクロスの6位以内入賞を目標に掲げていたが、果たしてどのような結果となったか?
さっそく見てみよう。

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静的審査(※カッコは2023年の順位)

  • プレゼンテーション:4位(21位)
  • デザイン:6位(5位)
  • コスト:8位(6位)

静的総合:4位(4位)

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動的審査(※カッコは2023年の順位)

  • アクセラレーション:12位(6位)
  • スキッドパッド:27位(27位)
  • オートクロス:2位(-位)
  • エンデュランス:13位(-位)
  • 効率:9位(-位)

動的総合:12位(33位)

総合:8位(28位)

ご覧の通り、当初の大目標である完走を6年ぶりに達成。
さらに総合トップ10入りと上々の結果を収めた。

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まず静的審査だが、目標順位に届かなかったものの参加台数が増えた中で昨年と同じ順位をキープ。
反省点はあるがほぼ想定通りの結果だったようで、チーム内では来年に向けた良い基盤になったと評価している。
動的審査はアクセラレーション、スキッドパッドとも順位は下ながら去年よりタイムアップ。
総合2位に躍進したオートクロスも、一時は京都工芸繊維大学に迫る速さで会場を沸かせてくれた。

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そうして迎えたトップ6によるエンデュランス。
二人のドライバーが交代しながら20周を走り、その総合時間で順位が決まる事になるが、OFRACにとっては実に6年ぶりの出走となった。
まずは最初のドライバーが順調に走り始めたが、あまりペースが上がらないのと時折失速するような挙動が見られた。
当初、確実な完走を狙ってのペース配分かと様子を見守っていたが、二人目のドライバーに交代してからは酷くなりさらに失速。
完走も危ぶまれる事態となり、ついには周回遅れと判定され、後続のマシンが追い越すまでコースサイドで停まるよう指示が出される事に。
過去、エンジン不調のマシンが停止した際、再発進できずリタイヤというケースもあったため、この時も発進できるか誰もが固唾を飲んでいたが、ドライバーの気合いかメンバーの思いが通じたか無事発進する事が出来た。

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最終日は午前中、雨に見舞われたものの、OFRAC出走時にはドライコンディションへ

この時の状況を聞いたところ、やはりやばいと感じていたようで「絶対にマシンをゴールに運んでやる!」、「出来る事を全てやってやる!」とクレバーなドライビングに終始。
再発進も祈る気持ちでギアを繋いだという。
不思議な事にそれ以降、周回ペースが上がりラップタイムも向上。
当初の不調が嘘のような力強い走りを見せ、マシンを無事ゴールまで送り届けた。

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ゴール後、両ドライバー、チームメンバーとも大仕事をやりきったような笑顔で喜びの声をあげ、プレッシャーの中、ここまでチームを引っ張ってきたリーダーは「頑張ってきた事が実を結んだので、今は安心と、ここまでやってきて良かったという気持ちが入り混じっています」と語ってくれた。

ここで、昨年まで OFRAC メンバーとして活躍したある OB の方からコメントを頂いたので紹介する。
「まずは皆にお疲れ様!おめでとう!よくやった!を言わせて下さい。
チーム目標の達成を第一とし、それに向かって全員がやるべき事をやってきた事が今回の結果に結び付いたと思っています。
去年、自分達が遂げられなかった完走を果たしてくれた後輩達には感謝しかないですし、彼らを誇りに思います」
「もちろん今回も反省点はいくつかあるでしょう。静的審査だけでなくアクセラレーションもスキッドパッドもまだまだいけるはずです。そうした結果を糧に来年はさらに上を目指して欲しいですし、いつか再び総合優勝できるチームに返り咲いて欲しいなと思います」

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一仕事終えた安心感からか、こんな光景も

チーム一丸という言葉がぴったりなOFRAC。
大会期間中、時々チームの様子を見ていたが、印象的だったのがメンバーの動き。
一人一人が声掛けをはじめ、積極的に行動している様子が見られた。
走行のない日も朝早くから全員が会場入りしており、ピットはいつも熱を帯びていた。
マシン整備や各審査に向けた準備、リハーサル、打ち合わせなどが入念に行われており、まるで出来る社会人の仕事ぶり、もしくはプロのモータースポーツを見ているよう。
これが、本気で目標を達成するチームのあるべき姿なのだろう。
失礼ながらとても驚かされた。

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オートクロス賞、MathWorks賞を受賞してご満悦

チームは既に、2025年大会に向けて動きだしている。
貴重なデータを得た事で、来年はさらなるステップアップを狙ってくるはず。
新たな取り組みの噂も聞かれるなど、今からとても楽しみに感じる。

【取材・文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
公益社団法人 自動車技術会
OFRAC