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九州工業大学 KIT-Formulaの2023年 ~ 学生フォーミュラ

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今年の学生フォーミュラ2023の戦いの模様を、参加チームの中からピックアップしてお送りする。
今回取り上げるのは、九州工業大学 戸畑キャンパスからエントリーのKIT-Formula
昨年はベスト車検賞1位と日本自動車工業会会長賞を受賞、総合でも21位となったが、果たして今年の結果はいかに?

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軽量化と低重心化に取り組んだという今期のマシン。

昨年型と比べてホイールベースと前後トレッドは同一ながら、エアロの影響からか全長が伸びており、全高も高め。
車重は若干重いが、前後重量配分はフロント寄りへ変更されている。

搭載するカワサキ ZX636Eエンジンのパワー、トルクに大きな違いはないが、本来持つパフォーマンスをパフォーマンスを最大限に発揮する改良が施されている。

まずエキマニには、金属3Dプリンタで製作したインコネル製を装着。
マフラーも独自設計だが、音量規制をクリアしつつも気持ちの良いサウンドが実現するよう、管内部にハニカム構造の薄膜を取り入れるといった工夫が盛り込まれている。

吸気系では、3Dプリンタで製作したリストリクターアダプターを装着。
素材にはカーボンが添加されたナイロン6という樹脂が使われており、強度も十分に確保した設計がなされている。

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マシンのシェイクダウンは、4月の早い時期に行われた。
そのメリットを最大限に生かすべく、以降は九州支部走行会などでテスト走行を重ねながら、引き続きマシン開発や静的審査に向けた書類作成、現地大会への準備などを進めてきた。

懸念はエアロ面。
元々リアウイングを装着していたものの、問題の発生とその解決が間に合わず、やむなく大会では外して臨む事に。

マシンバランスの悪化が懸念されたが、そこはチームの力でなんとか補正。
ドライバーから、”後は俺たちでなんとか出来る”とコメントが出るまでに仕上げてきた。

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まずは、動的審査前週に行われた静的審査の結果を見てみよう。
※カッコは2022年の順位

  • プレゼンテーション:26位(24位)
  • デザイン:14位(10位)
  • コスト:2位(14位)

今年はシングルナンバーでの総合順位獲得を目標に掲げており、そのためVプロセスに力を入れて取り組んできたという。
結果から見るとプレゼンテーション、デザインで順位は落ち込んだものの、昨年より参加台数が増加したぶんを考えるとまずまずといったところ。

注目はコスト審査。
提出されたレポートと事前審査が高く評価された事で、コスト順位のトップ6を決めるコスト監査対象に選出。
現地で詳細な監査を受けた結果、なんと2位を獲得した。
1位のGrandelfino(京都工芸繊維大学)とはトータルで2.5ポイント差だが、プライススコアでは倍以上の得点を稼ぐ快挙を達成。

ピットでは喜びの声があがっていた。

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次は動的審査の結果を見てみよう。
※カッコは2022年の順位

  • アクセラレーション:5位(5位)
  • スキッドパッド:12位(30位)
  • オートクロス:13位(20位)
  • エンデュランス:15位(20位)
  • 効率(燃料または電力消費量):22位(21位)

【総合結果】
12位(21位)

昨年、ベスト車検賞1位を取ったチームだけに、今年の車検は水曜10時という早い段階で全てクリア。
翌日の動的審査に向けて、プラクティスを十分行う事が出来た。

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カワサキ4気筒エンジンの咆哮を響かせながら挑んだ結果、アクセラレーションは去年と同じ順位でまとめつつも、スキッドパッド、オートクロス、エンデュランスではタイムを大幅に更新してきた。

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中でもオートクロスではチームの歴代最速タイムを叩き出す等、リアウイングがない事を感じさせない、アグレッシブで見事な走りを見せてくれた。

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惜しくも目標には届かず個々で悔しい気持ちはあるものの、総合順位を9つもあげただけに、チームとしては満足いく結果だと評価している。

集合写真ではチームメンバー全員、すがすがしい表情を見せてくれた。

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既に、チームの目線は2024年へ向けられている。

大会翌日、チームは空力の知見を得るために富士エアロパフォーマンスセンターを訪問。
施設見学とセンター職員による説明会、エアロ開発に向けた質疑応答などが行われた。
そこでチームメンバーはかなり刺激を受けたようで、来年のマシン開発に向けて意欲を燃やしていた。

【取材・文】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
KIT-Formula(九州工業大学)
公益社団法人 自動車技術会
富士エアロパフォーマンスセンター