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ZENKAIRACING が風洞でスーパーFJを空力測定 ~ 富士エアロパフォーマンスセンター

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誰でも気軽に風洞実験が行える富士エアロパフォーマンスセンターに、いよいよレーシングカーが登場。
今回は、モータースポーツなどのドライビングシミュレーターを開発する(株)ゼンカイレーシングが、自社が保有するスーパーFJマシンを持ち込んできた。
実際にレースにも参戦するゼンカイレーシングだけに、センターでの風洞実験はどう感じただろう?
当日の模様をまとめてみた。

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マシンを持ち込んだのは、ゼンカイレーシング代表の林 寛樹氏と、スーパーフォーミュラも兼任する専属メカニックの兒島 弘訓氏のお二人。
お二人は以前、別のイベントで学生フォーミュラに参加する日大理工学部の円陣会メンバーと邂逅。
そこで彼らから風洞実験の話を聞いて興味を持ち、まずはどんな事ができるか?どんな結果が得られるか試してみようと、今回の挑戦に至った。

また、仲介役となってくれた円陣会メンバーの二人も、学生フォーミュラに向けた学習の一環で立ち会ってくれた。
※円陣会については、こちらの記事も参照されたし。

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こちらが今回、風洞実験を行うスーパーFJマシン。

スーパーFJとは国内の初級用フォーミュラカテゴリーであり、全国の主要なサーキットでシリーズ戦が開催されている。
マシンは統一規格の元、国内の3つのコンストラクターが開発、供給しているが、今回センターに持ち込まれたのは、自動車工房MYST製のKK-S Ⅱ。
もちろん、実際にレースで戦っているマシンだ。

富士エアロパフォーマンスセンターでは今年の開所以降、一般市販車の風洞実験をいくつか行ってきたが、本格的なレーシングフォーミュラカーは今回初めて。
そこで事前に入念な打ち合わせを行い、搬入、搬出含めた当日のスケジュールは余裕を持って組む事になった。

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スロープの高さは問題なし
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マシンサイズに合わせて天秤台の位置を調整中。

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無事セッティング完了

当初、風洞天秤へマシンを移動させるスロープが車高の低さで干渉しないか懸念されたが、事前打ち合わせとセンター側の準備もあってか、特に問題なく風洞天秤上へ設置完了。
さっそく計測へ入った。

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今回の計測メニューは、以下の4つ。

  • 基準形態:ドライバー無し、リアウイング最小角
  • 形態2:ドライバー無し、リアウイング最大迎角
  • 形態3:ドライバー着座(頭部位置高め)、リアウイング最小角
  • 形態4:ドライバー着座(頭部位置低め)、リアウイング最小角

※車高は持ち込み状態のままで変更なし。

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レーサーとしての顔も持つ兒島氏が乗り、形態3からの風洞実験に挑戦。

計測結果の具体的な数値は公開出来ないが、センター側のコメント、総評では次の通りとなった。

  • 揚抗比とダウンフォースで一番良い数値が出たのは形態2だったが、形態4のほうが若干ダウンフォース量が増加。ドライバーが座った事で車高が下がった可能性があり、その影響もありそう。
  • 形態3は揚力、抗力ともに悪化。
  • 前後のリフトバランスはリア寄りなため、フロントウイングに迎角が付けられると、リフトバランスの改善やトータルダウンフォースの増加が期待できる。

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計測室では、出力結果を元に林 氏が自社のシミュレータデータと比較を行っていたが、誤差がとても小さい事がわかり、センター担当者ともどもかなり驚かれていた。

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その後、計測結果を視覚化してみようと、今度はスモークとタフトを用意。
センター担当者だけでなく、ゼンカイレーシングのお二方も、前後ウイングやボディ各部を流れる気流や、ラジエーターダクトへ流れる気流を確認するなど、様々なパターンを試していった。

時間があれば車高調整による変化も確認する予定だったが、都合によりここで終了。
とても良い時間だったと、お二人とも大変満足されていた。

ちなみに、最初は半信半疑な表情をされていたが、具体的な計測数値とセンター担当者からの解説を聞くにつれて興奮気味にテンションが上がっていき、後半は楽しみながら風洞実験を行っていたのを付け加えておく。

今回の計測結果から、ゼンカイレーシング製品の各シミュレータデータはアップデートされている可能性もあるので、利用する機会があればぜひ風洞実験の事を尋ねてみてほしい。
編者もいずれ、東京都墨田区にあるというファクトリーに伺ってみようと思う。

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ゼンカイレーシングのお二人と円陣会、富士エアロパフォーマンスセンターの皆さんで記念撮影。

最期にセンターを利用した感想を伺ってみた。

  • モータースポーツ業界でも、満足に風洞施設を使った開発がやれない所も多いため、こちらの存在は大変ありがたい。
  • 従来のフルスケール風洞と比べてコストが格段に安く、利用に際しての敷居が低いのが良い。
  • 富士スピードウェイからも近くて便利。
  • 理想を言えばムービングベルト付きだが、入力パラメータや計測から得られる項目が格段に増えるため、そうしたデータを扱うエンジニアのスキルが高くないと、分析しきれない可能性がある。
  • ムービングベルト無しの風洞でも、全くやらないよりは確認出来る項目は多いので有用。
  • 基準や前提条件、目的を絞るだけでも有効に活用できる。
  • 新車の基準となる空力特性を調べるのにも、いいかもしれない。
  • 今度は別のマシンを持ち込んで試してみたい。

【取材】
編者(REVOLT-IS
【取材協力】
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