F1チームも欲する日本製部品の高精度、絶対品質 – 人とくるまのテクノロジー展2023
新潟発の部品製造メーカーである株式会社 青海製作所では、自動車をはじめ、医療や半導体、光学機器、宇宙開発といった分野の関連部品を主に扱っている。
その製造技術は確かなもので、なんとモータースポーツの最高峰であるF1やmoto gpにも採用されるほど。
人とくるまのテクノロジー展2023の展示ブースでお話を伺ってみた。
少しF1について書いてみよう。
F1は自チームでレーシングカーを開発、製造する事から、どのチームも世界中の企業から多くの支援を受けている。
ただそこで使われる部品に対しては、一般乗用車とは比較にならない程、厳しい要求がある。
安定した性能の発揮はもちろん、まず壊れてはいけない。
また過剰品質もNGで、それなら少しでも軽くしてほしいと言われる。
以前、こんな話を聞いた。
昔は1レース終えた時点で壊れるのを理想としていたが、今は、次に部品交換可能になるまでの品質で良しなんだとか。
真偽のほどは定かではないが、もしこれが本当なら、F1に採用される各部品メーカーは、非常に厳しい課題に直面する事になる。
レース中、マシンには加速中で約6G、コーナリング中でも5G前後かかるとも言われている。
ちなみに一般スポーツカーが1G前後との事で、いかに尋常じゃない負荷に襲われている事がわかるだろう。
そんな中で部品を壊さず、劣化を最小限に抑え、目標とする距離まで安定した性能を発揮させなければならない。
それには、とても高水準な部品製造技術が求められる。
世界中の企業が採用してもらおうと鎬を削るなか、あるF1チームが目をつけたのが今回紹介する青海製作所で、インジェクションやミッション、水素ユニットなどにも使われる高圧バルブを供給している。
契約のため採用チームや詳細は教えてもらえなかったが、超微細加工と品質保証、超短納期対応、豊富な加工実績、1個から試作OKという同社の強みを生かして製造された部品は、F1の世界でも高い評価を受けているという。
選ばれる決め手となったのは何か?
それは、日本製への信頼にあるのでは?と担当者が語ってくれた。
昔から日本で製造された製品、部品は品質が良く、なかなか壊れないと世界中で驚かれてきた。
その神話は今も根付いており、失礼な話だが、日本製というブランドだけ欲しいというバイヤーもいるほどだ。
とはいえF1はそう甘くはない。
実績も保証もなく、もちろんブランドだけで採用もされない。
それは、日本のものづくり神話に胡坐をかかず、昔からコツコツと磨いてきた青海製作所の誇る加工技術と、厳格な品質検査を経て送り出された部品が認められたからに他ならない。
一部メディアでは、ものづくり大国という称号を過去のものと扱うところもあるが、青海製作所のように健在ぶりをアピールする企業もまだまだあるようだ。
【取材/文】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力】
株式会社 青海製作所
公益社団法人 自動車技術会