”自分の速さはどれだけのものだろ?”、”愛車や自分がどれだけやれるか試してみたい”
そんな思いを抱く人は意外と多いのではないだろうか?そんな思いを汲み取ったのかはわからないが、アマチュア最速を決めてみようというガチンコのタイムアタックイベントがいくつかある。
今回紹介するスーパーバトルエボミもその中の一つ。
実際に、どのような人達がどのような車でアタックしているのか追ってみた。
本イベントは、毎年タイムの出やすい冬季シーズンに数戦開催しており、時間帯も温度が低めな午前中に限定している。そして場所は、タイムアタックの聖地でありベンチマークとしても最適な筑波サーキットのTC2000コース。タイムアタッカー側から見て最高のお膳立てが出来上がっている。
さらに最近では、さらなるタイムアップを果たしてもらうため、スーパー耐久レース等にも参加するプロのレーシングドライバー蘇武喜和選手のレッスンもついてきている。さらなるレベルアップを目指す方や、現在の走りに悩んでいる方にはもってこいだろう。
また参加者も全国各地から集まっており、プロのレーシングドライバーではないものの、各地のサーキットイベントで名を馳せるトップランカーがちらほら見える。ショップの手厚いサポートを受けている参加者もおり、その実力のほどが伺い知れる。
その本気具合は出走準備中の光景からも見て取れた。なによりタイヤウォーマー、ラジエターやインタークーラーへの強制冷却ファンまで持ち込んでいる方もいるのには驚いた。前人未踏のタイムを叩き出すにはここまでやらなければならないのか。もはやプロレースへ挑むのと同様の意識を持たなければいけないのかさえ思えてきた。
その思いは実際の走りを見て確信に変わった。
速い。私が思っていた速さのレベルと全然違う。流し撮りをするためカメラを構えていたものの、予想外の速さに何度も見切れてしまう。
もはやエンジョイサーキットの走りではなく(ドライバー当人達はあれでもエンジョイなのだろうが)、どの車も、危険な領域までめいいっぱいプッシュしてくる。プロレースの予選アタックさながらだ。
ただ速いだけではない。タイムを出しにいくまでのマネジメントもしっかり考えながら、各車周回を重ねていた。序盤にタイムを狙うために出走前の暖気を入念に行っていたり、クリアラップを狙うために何度かピットイン・ピットアウトを繰り返したり、後半のチャンスにかけてタイヤを温存していたり等、こちらもプロレースさながらの光景が展開されていた。
セッション完了。当日のトップタイムは56.991。またトップ15のほとんどが1分切りを果たしていた。
10年くらい前、某筑波スーパーラップ企画において、メーカーやショップが威信をかけて開発したデモカーを、これまたプロのレーシングドライバーにドライブを依頼して得られたタイムが58秒台。それも何度もトライ&エラーを重ねたうえで出たタイムだったはず。また、それよりさらに昔だと、1分切りも奇跡と言われていた。
それが今の時代、アマチュアドライバーで1分を大幅に切るタイムを叩きだせている。
技術の進歩、セッティングの進歩、タイヤの進歩、ドライバーの進歩、様々な要素があるだろうが、この数十年の間にかなりのレベルに行き着いたようだ。驚くばかりである。
これからまた寒い冬に突入する。次のタイムアタックシーズンの到来も間近だ。プロショップも威信をかけてデモカーに磨きをかけてくるだろうし、アマチュア・ドライバー勢も、さらなるタイムアップを狙って準備してくるだろう。50秒台前半が見えてくるのも、それ程遠くない事かもしれない。
【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力】
バトルエボミ隊