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新城ラリーで見たWRCラリージャパン開催の可能性

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SUBARU TEAM ARAI(ARAI MOTORSPORT)新井 敏弘選手の総合優勝で幕を閉じた、全日本ラリー選手権第10戦 新城ラリー

本大会が開催された愛知県新城市。
そして同日、TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ第11戦が開催された愛知県豊田市は、現在、WRC世界ラリー選手権日本ラウンド開催会場として、大きな注目を集めている。
残念ながら2019年の開催は流れてしまったが、2020年の開催実現に向け、招致委員会関係者は、現在も精力的な活動を続けているという。

WRC開催地として選ばれるほどの現場とはどのようなものか?
どのような雰囲気なのか?
世界ラリーの開催に向けて懸念点はないのか?

そんな思いで、実際に新城ラリーを見て歩きながら色々考察してみた。

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会場に入ると、あちこちで現地スタッフの笑顔の歓迎を受けた。

そのまま歩いていくと、車関係ばかりでなく地元の名産品販売など太守多様な出展ブースが軒を連ねている。
その他にも警察、自衛隊もブース出展して来場者と積極的な交流を行ってて、まさに地域一丸でラリーを盛り立てようという雰囲気が感じられた。

そのメイン会場となった新城総合公園には、ラリーファンや家族連れまで、非常に多くの来場者が観戦に訪れた。
この場所は交通の便も良く、今回は天候が良かったことも集客に影響しているのだろう。

そういえば、地元自治体はラリーを観光資源の一つとして認知しているようで、道の駅ではポスターや案内版でラリー開催を大きく告知していたり、高速道路の最寄インターから指定駐車場までの案内標識が、非常にわかりやすく設置されていた。

駐車場までの細かい誘導も、あちこちにスタッフを配置して的確に誘導してくれたので、高速道路のインターチェンジの降り口さえ間違えなければ、特にナビの出番はなさそうだ。

駐車場からメイン会場へはバス移動となるが、その案内もわかりやすく、そんなに時間はかからない。
そのバスも行き先表示だけでなく、色で自分が乗るべきバスが判断できるようになっている。
なかなかの心配りだ。

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少し遅れての到着だったため、メインゲート前ではオープニングセレモニーが始まっていた。
目の前でカッコいい車や迫力の走りを見ようと、多くのギャラリーが集まっている。
これだけスタート前の競技車両に接近できるのも、ラリーならではだ。
サーキットなら専用パスを買わなければいけないところだが、ラリーの場合は無料。
いいポジションで見るには早い勝ちとなる。

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いよいよセレモニアルスタート。
新井 敏弘選手の駆るスバル・WRX STIを皮切りに、各クラスのラリーカーが勇躍スタートしていく。

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公園から各SS(スペシャルステージ)へ発進するラリーカー。
沿道の人達は、たくさん手を振ったり写真に収めたりしながら、思い思いでセレモニアルスタートを楽しんでいた。
ラリー参加者も、声援に応えようと笑顔で手を振り続けながら、SSへの挑戦前に気合いを入れなおした事だろう。

さて、セレモニアルスタートはラリーの名物と言っていい。
それだけに多くの人にラリーマシンを見てもらえたらと思うのだが、残念ながら最前列以降では良く見えず、芝生の丘にあがり、遠巻きに眺めるくらいしか出来なかった。
せめて2段くらいのスタンド席とかあれば、より多くの方にもっと楽しんでもらえると思うのだが。

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ラリーマシンが出払ったので、引き続き会場内を歩いてみた。

こちらはデモランイベントで用意された、全日本ダートトライアル選手権用のマシン。
ダートトライアルとは、文字通り土の上を走りながらタイムを競う競技で、今回用意されたマシンは、市販車を競技用にチューニングされた三菱ランサーエボリューションXと、競技専用マシンとして一から制作した三菱ミラージュの2台だ。
その迫力のスタイリングと激しい走りとサウンドは、多くのチューニング・カスタムカーファンを刺激させてくれた。

全日本ラリー選手権では、ラリーマシンではないものの、このような別カテゴリーのマシンをデモランで走らせてくれる場合もある。
ラリーマシンがいなくなった後の会場は閑散としがちだが、これなら来場者も飽きないだろう。

そしてデモランは助手席試乗もOKだったため、こちらもかなり行列が出来ていた。
ドライバーもノリノリでマシンを振り回していたため、同乗者は色々な意味で別次元な体験をしたに違いない。

これらのマシンについては、別記事にてあらためて紹介する。

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お膝元である愛知県での開催、そしてWRCでの活躍も相まってか、Toyota GAZOO Racingの出展ブースは、メイン会場内では最大級だった。
トヨタ86やヴィッツをはじめ、貴重なGRMNモデルの展示などもありかなりの力のいれようだ。

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新城ラリーのもう一つの注目がこちら。
WRCを戦う、本番仕様のヤリスWRCがデモランを敢行したのだ。
以前のようなプロトタイプカーの展示とかではなく、今回は日本の本番のラリーコースを走るとてもレアな機会。
一目見ようと、車両展示やデモラン中はかなりの人で賑わっていた。
今回ドライバーを務めるフィンランドのユホ・ハンニネンもリラックスしており、気さくに記念撮影に応じるなどファンとの交流を楽しんだ様子。

こちらのヤリスWRCについても、別記事でデモランの様子を紹介したいと思う。

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他にも多くのメーカー、ショップが出展していた。
ラリーは市販車に共通するものが多いせいか、こちらでは、チューニングパーツや旧車用の補修パーツなどが展示しており、興味深そうに眺める人もちらほら。

ラリー系ショップは、ハードチューンやヘビーな修理が得意なところも多い。
もし愛車のパーツや修理方法がなく困っている方がいたら、こういったショップに問い合わせてみるのもいいかもしれない。

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周辺のラリーSSを走ってきたラリーマシンが戻ってきたのか、いよいよ公園内でのSSがスタート。
どこも人ごみで良い撮影スポットに恵まれず、今回はこういったアングルの撮影ばかりとなってしまったが、やはり間近で見るラリーカーの迫力は凄い。

ただいつもながら思うのだが、ラリーカーがスタートした事が場内アナウンスでわかりにくい事があり、今回も突然目の前を走り去るという事があった。
そのため撮影準備が間に合わず、もともと撮りたかったマシンを取り逃すこともしばしば。
今後は、SSスタート地点と場内アナウンスをもっとリンクさせてほしいと思う。

そういえば、今回はパスの都合上、一般の観客と同じ位置で撮影を行っていたのだが、マナーの悪い観客を何人か見かけた。
良い写真を撮りたい、もっと近くで見たいという思いからだろう。
公園側が綺麗に整備した植木エリア内に押し入り、そこで撮影や観戦をしていた客がいたのだ。
その中には家族連れも含まれていて、非常に残念な思いだった。

これはモータースポーツに限った事ではないが、昨今、周りがやっているから良いだろうというノリで、危険区域に入ったり禁止行為を行うというちょっとした事件が目立っている。
WRCラリージャパン開催ともなれば、日本だけじゃなく世界から観客が集まってくる。
今よりも増えるのは間違いない。

人が増えるとトラブルも増加する。
日本でのWRC開催に向け、観客のコントロールにも、今まで以上に神経を使う必要がありそうだ。

ただ傍から見ている感じでは、競技そのものはしっかり運営されているように見えた。
さすが伝統の新城ラリー
オフィシャルやスタッフの中にはラリー経験者が多いと聞く。
そういった人員配置も有効に働いているのかもしれない。

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そういえば、こちらは取材メディア専用の撮影エリアの一つなのだが、ご覧のように人がいない箇所がちらほら見受けられた。
今回初めての新城ラリー取材だったため、公園内を色々まわって撮影ポイントを探ってみたのだが、正直良い場所はかなり限られていた。
その影響が写真の通りと言える。
仕事で来ているメディアカメラマンとしては、ただラリーカーが撮れる、適当なスナップ写真が撮れればいいというものではない。
ラリーの雰囲気、新城ラリーである事、ラリーカーの迫力を撮らなければ仕事にならないのだ。

WRCラリージャパン開催時では、海外からもたくさんのメディアがやってくる。
そういった方々が日本でのラリーを素晴らしいものとして報道してくれるよう、メディアが好む撮影スポットを数多く用意しておくべきだろう。

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SSを走り終えたラリーカーが続々と集まってくる。
ここは、公園内の駐車場区画を占有して設置されたサービスパーク。
ここでラリーカーの修理や整備を行い、次のSSへ送り出すのだ。
レギュレーションで作業時間は決まっているが、そこはメカニックの腕の見せ所。
いかに効率良く、どこを最優先に作業していくかを瞬時に決め、メンバー間で連携して作業を繰り出していく。
そんな職人の技が間近で見れるのも、ラリーの見どころの一つと言える。

使われている工具。
外されたパーツ。
タイヤの摩耗具合。
破損個所の修理方法。

などなど、普段からチューニングカーでサーキットやドリフトを楽しんでいる方にも、興味深く見てもらえることだろう。

ただ、この場所は誰でも入れるので、観客を上手くコントロールしていかないと危険極まりない。
中には、作業中のラリーマシンを覗きこもうとして、メカニック作業の邪魔をする観客もいたほどだ。
WRC開催時は、サービスパーク内を有料制やパス制にすることも考えたほうがいいかもしれない。

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ラリーと言えばスバルと三菱、そしてトヨタ。
そんなメーカーの車に乗るオーナーさん達が、ラリーレプリカやお気に入りのカスタマイズが施された愛車を持ち込み、新城ラリーのメイン会場の一区画でミーティングを行っていた。
懐かしい車やレプリカ、面白いカスタム、某映画で活躍したシトロエンまでが勢ぞろいしており、来場者、特に子供連れの家族客に喜ばれていた。

モータースポーツイベント会場でこのようなミーティングスペースを設けてもらえると、チューニング・カスタムカーファンも参加しやすいはず。
なんなら、ラリードライバーによるドレスアップコンテストなども企画してみると、さらにやる気が出るのではないだろうか?
”あの憧れのラリードライバーに愛車を選んでもらえた!”
そんな喜びも与えられると思う。

WRCラリージャパン開催時でも、ぜひ実施してもらいたいコンテンツだ。


さて、今回の記事ではあえて不満的な面も書いてみた。
そんなにラリーの事を知っているわけではないが、そんなラリーを知らない一人がこう思っている事を、ぜひ現場でも認識して頂けたら幸いに思う。
全ての人が、ラリーの事を知ったうえで観戦しているわけではないのだから。

その他、気になる点が2つあった。

今回、2種類のメディアジャンルが用意されおり、提示された案内には片方のメディアジャンルについて詳細に書かれていたが、もう片方ついてはあっさりした内容に留まっていた。
編者はそのあっさりしたほうだったのだが、今一扱いがよくわからずで現地スタッフに聞いてみたのだが、2種類ある事を認識しているスタッフがほとんどおらず、受付場所を聞くだけでも、かなりたらい回しにされた。
海外から多くのメディアが殺到した場合、しっかり対応できるのだろうか?

そしてもう一つ。
同じトヨタのお膝元での開催なのに、新城ラリーTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ第11戦を、なぜ同日に別の場所で開催したのか?
どちらもWRCラリージャパン開催に向け、候補地として熱い注目を浴びている。
今回、実際にFIA(国際自動車連盟)WRC責任者が視察に訪れたほどだ。
WRCラリージャパンを日本をあげて盛り立てるのなら、一つのところに集約し大々的にやるべきではなかったか?
今は、全国のラリー関係者が協力してやらなければいけない大事な時期。
もめ事や利権争いではなく、たまたまこうなった結果である事を願いたいところ。

日本でのWRC開催に向け、これまでのやり方では通用しない事も多く出てくるはず。
一つ一つクリアして、ぜひとも2020年の開催に向けて頑張って頂きたい。

【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)

編者
REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。
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