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ドリフトZ33のワイドトレッドと切れ角アップ


日本最高峰のプロドリフト選手権「D1GP
その各チーム、各マシンのパドック内を散歩していたところ、日産フェアレディZ33のワイドトレッドと切れ角アップ対策について興味深いものが見れた。
その一部を、編者の予測や仮設を元に紹介してみたいと思う。

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こちらは、チームKleers with TOYO TIRESのマシン。
Z34顔へのスワップ、ワイドエアロキットを装着している。
そのド派手な外観に目を奪われがちだが、足回り、特にホイールとハブの辺りに注目して見て頂きたい。
大きなワイドトレッドスペーサーが噛まされている事がおわかり頂けるだろう。

ワイドトレッドスペーサーは主に見た目目的で、ホイールとフェンダーとのツラを合わせるのに使う事が一般的。
車体に過度の負担がかかるモータースポーツでは、ハブボルトやスペーサー破損によるタイヤ脱落リスクが高く、用いられるケースはあまりない。
あくまで急場しのぎのセッティングツールとして使われる事があるくらいだ。

しかし現場のエンジニアに伺ってみたところ、以下の条件を満たしていたら、特に問題はないとの事だ。
・ハブボルトの管理をしっかり行う。錆や曲がりがあるようなら取り替える。
・剛性や強度が高く品質の良いスペーサーを選択する。
・ホイールセンターを正確に合わせてタイヤ・ホイールを取り付ける。
・適正トルクでホイールナットを締める。定期的にチェックしながら増し締めをする。

昨今のD1GPは、エンジンパワーの上昇やさらなる切れ角アップに合わせてか、ワイドトレッド化の傾向にある。
ホイール自体のオフセットやサスペンションアーム、ステアリングアームの長さ変更だけでは合わせきれない微妙なセッティングを求められる場合もあるようで、そんな時にワイドトレッドスペーサーは有効との事。
なにより現場でのセッティング変更も早く完了できるしで、メリットは大きいようだ。

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こちらは、チームニチエイレーシングプロジェクトのマシンのフロント足回り。
銅色のステアリングアームが見えるだろう。
とても径が太く、素人目で見ても剛性の高そうな作りがなされている。

上述した通り、切れ角アップ目的でトレッドをワイド化する際、サスペンションやステアリングアームの長さも当然延長するわけだが、そのまま延長するだけでは、アーム自体の強度に不安が残る。
特に激しいステアリング走さも要求されるドリフト競技では、他のモータースポーツと比べ、アーム破損のリスクはかなり高い。
破損しないまでも湾曲したら、突然のアライメント変化によりコントロールを失い、クラッシュに繋がることさえ十分に考えられる。
強度や剛性が高く、ステアリング操作に違和感の出ないドリフト専用のサスペンションアームやステアリングアーム開発は必要事項と言えるだろう。

外観や走りに目を奪われがちなD1GPだが、普段は隠れているメカに注目して見るのも面白いと思う。
各マシンのメカやセッティングを比較し、それが走りにどう影響しているかを見ることで、より深くD1GPの今を知ることができるはずだ。

【取材 – 文 – 写真撮影】
編者(REVOLT-IS

【取材協力】
SKIPPER

編者

REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。