3月は多くの学校で卒業式が催される時期。
毎年、東京オートサロンで卒業作品を発表してくれる自動車系学校の学生達も卒業を迎え、次代の自動車業界を支えるべく社会に旅立っていく。
そんな彼ら、彼女らの今後の健闘を祈りつつ、東京オートサロンでの奮闘を作品を通して振り返りたいと思う。
今回は、TIST 筑波研究学園専門学校をピックアップ。
まるでミニリムジン。
リムジンの子供のようなスタイルで現れたこの車。
なんとベースは2台の日産・マーチ。
1台のマーチに対し、もう1台のマーチは後ろ向きとし、双方のリアセクションをばっさり切断、結合させて車体を形作っている。
車名の”MARCHCRAM 911”も、この特徴をよく表している。
わからない方は、英字部分を後ろから読んでみてほしい。
日産・マーチのフロント部分とは思えないリア周り。
さすがにエンジンはなかったが(有ったら有ったでえらい事になるが)、とても綺麗に成型されている。
実は、車体そのものは4年前に制作されたもの。
東京オートサロン2014に2台のマーチそのものがくっついた車両が出展されていたのだが、見た方もいるのではないだろうか?
その車体を、鉄板などを使い箱状に成型。
ロールスロイス風にリメイクを施したのが、今回の”MARCHCRAM 911”というわけだ。
ロールスロイスの顔とも言えるシャッター状グリルを上手く再現している。
そのグリルの中にはベース車の面影が。
日産・マーチのK11型フェイスがおわかりいただけるはず。
隠すことも出来たはずなのに、あえて見えるように残してあるのも興味深い。
恐らく、お客さんへの作品アピールを考えての事だろう。
せっかくの苦心の個所。
どんどん見てもらわなければ。
白を基調とした広大な空間が確保された室内。
リムジンはこうでなくては。
運転席側には、アミダ状ぺイントのバケットシートとヒョウ柄風フロアカーペットが目につく。
置かれているドローンは、TIST 筑波研究学園専門学校 自動車整備・ドローン学科である事をさりげなくアピールしている。
スパルコのフロアマットといい、ラグジュアリーな中にもスポーティ風味をミックスさせている。
アミダ状ペイントの発想は先生の提案だそうだが、その不思議な模様にどんな意味があるのか気になるところ。
こちら、残念ながら聞きそびれてしまった。
ステアリングとダッシュボードに施された独特の塗装。
石のような質感に苦心の跡が見える。
花瓶とか置いてあると似合いそうだ。
個性がよく出てて面白い。
ただリムジンを猿真似するのではなく、VIPルームの本来のインテリア要素も取り入れているのだろう。
これからカスタムカー作りをしようとする方々への、良い参考になったはず。
5年前のカスタムカーのリメイク。
どういう車で見せようか?
自分達だけの車をどう作りあげるか?
様々なアイディアが出たに違いない。
不安もあっただろうが、実際のお客さんの反応はとても良く、学生達も安心したに違いない。
これから社会へ出ていく、良い自信が生まれた事だろう。
【取材 –文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
【取材協力 – 問い合わせ先】
TIST 筑波研究学園専門学校