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NSXの系譜に思う – オートモビルカウンシル 2017

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初代ホンダ・NSX。時はバブル景気絶頂の1989年、ホンダの新たなフラグシップカーとして初めて世に送り出されたスポーツカーであり、今でも多くのカーマニアの間で熱狂的な支持を受け続けている。

そして待望の2代目NSXの誕生。時代の要求に応えるかのようにハイブリッド機関ハイテクデバイスに包まれたその車体は、現代のカーマニアに新たな羨望と憧れを誕生をさせてくれた。

ジャパンスーパースポーツカーの代表的な一台と言えるNSX。そんな新旧NSXが、オートモビルカウンシル2017ホンダブースで揃って展示をされていた。
それらを眺めながら、その時代その時代に求められたデザイン、性能、開発の背景を元に、時代に求められたスポーツカーの要求、存在価値を考えてみた。

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初代NSX。当時の車、スポーツカーの主流だったリトラクタブルへッドライトが時代を感じさせる。

ちなみにこのヘッドライトの機構は当時の自動車規格によって生まれたもの。
フロントを低くデザインしたい、でもヘッドライトの位置、形状が規格で定められており、そのままではフロントを低くできない、ならば消灯時にライトごとボディに格納してしまえ、という経緯から編み出されたそうだ。
最大顧客である当時のアメリカ市場の規格がそうだったという事情もあるが、結果的に個性的な顔を生み出せたわけであるし、現在でも世代問わず根強いファン持っている事からも、リトラクタブルヘッドライトは大成功だったと言える。

初代NSXでは、このリトラクタブルヘッドライトの恩恵を存分に受けている。エンジンがリアにあるMRだった事もあるが、これのおかげでフロントをより低く思い切ったデザインにする事ができたし、空気抵抗の低減にも寄与してくれた。このヘッドライトがなければ、このデザインでは生まれてこなかったはず。いや、NSXの企画が成立したかどうかさえ怪しいところだ。

そして初代NSXの性能。これは一言で言えば、ドライバーの運転技術に左右される車なのかなと思う。

自動車開発の聖地ニュルブルクリンク・サーキットで徹底的に鍛えあげらた車体。磨きに磨きあげたハンドリング。ドライバー中心の設計などなど。今のような電子制御未発達の時代の中、いわゆるアナログなハード面を徹底的に追及して作りあげられた。

そうして完成した車は高いパフォーマンスを発揮こそはするものの、そのパフォーマンス領域で高い運動性能を安定して発揮させるには、ドライバーの技量に委ねられる。特にミッドシップは高い安定性とトラクションを発揮はするが、限界領域でのシビアさは隠せない。
RRのポルシェほどではないにしろ、リアに重たい物がある事を常に意識したドライビングが求められるだろう。また反対にフロントが軽いため、基本はアンダーステア傾向のはず。コーナーリング時はフロントの接地感、グリップも考えなければならない。特に雨のような滑りやすい路面を走るときは、より気にする必要がある。コーナー全てアクセルオンで強引にハンドルをこじらせて曲がるなんてのは論外だ。

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初代NSXの誕生以降、様々なマイナーチェンジが施された。これもその時代その時代の求め、進化した技術に応じた変化と捉えてみるとなかなか興味深い。

よりスポーツ性を高めたTypeR、ルーフを外せるタルガトップ仕様、ミッションの6速化、ドライブバイワイヤ、新開発の空力パーツ装着、排気量アップ、年々変わる排ガス衝突安全基準への対応、新開発の固定式ヘッドライトの採用、SuperGTレース向けのホモロゲーションパーツ装着車両などなど

開発当時ではやる必要がなかった、技術がなく未発達だった、コストがかかった、新たな要求により誕生した。理由は色々あるだろうが、時代に合わせデザインや性能をより洗練させていった面もあれば、やむなく性能を落とした面もある。それでも、根っこの部分は相変わらずドライバーの技量に委ねられる。それが初代NSXに対する編者の印象だ。

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2代目NSX次期NSXと言われていたHSV-010の開発白紙撤回という憂き目もあっただけに、長らく待ち焦がれていたファン待望のスポーツカーは、やはり今の時代に合わせた車になったと言える。

初代NSXとは違い車格も価格もあがり、フェラーリベンツAMGと肩を並べるまでになった。大柄なボディには賛否両論あるだろうが、所謂スーパーカーやスペシャリティカーらしさがより際立ったように思える。

”スポーツカーはガソリンを多く消費する”という言い訳はもはや通用しない。資源を大事に、環境に優しい車開発は、どのジャンルでも必須事項となっている。ガソリンをいかに使わず、それでいてスポーツカーを成立させる。それも、他の自動車メーカーと肩を並べられるほどの性能を有しなければならない。

この難しい命題には、もはやハイブリッド化は避けられない。モーターエンジン駆動を併用したハイブリッド4WDシステム。心臓部の3.5リッターV6ツインターボエンジンには、モーターによるアシスト機能まで付くという。主にターボラグの解消に使われるとか。これで燃費リッター12kmほど。編者のFTOとほとんど変わらない数値だ。

そのエンジン、駆動システムによって走る車体も、重量バランスを考慮しつつ、軽くするところは軽く、必要なところは適切に剛性をあげている様子。今はコンピュータ解析が当たり前なため、きっと無駄なくレイアウト設計がなされている事だろう。
その他、衝突安全性の向上、専用のブレーキダンパーシステム、冷却面も考慮した空力特性の追及、合計7つのエアバッグの採用、タイヤ空気圧警報システムパーキングセンサーシステムなど、走行性能から安全面に至るまでぬかりなく手がいれられている。

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そして走行特性を自在に切り替えて走りを楽しむシステムも、今の時代は常識になりつつある。インテグレーテッド・ダイナミクス・システムと呼ばれるそれは、静粛走行からサーキット走行までボタン一つでセッティング変更ができるそうだ。
またGPSとの連動で、サーキットなどの特定地域を走っている事が判断できればスピードリミッターも解除してくれるとか。

また、フロントモーター左右駆動配分回生ブレーキによる効きを自動で制御する事により、アンダーステアを抑えオンザレール感覚でコーナーをクリアできるシステムまで付いているそうだ。

もはやドライバーは、決められた通りにアクセルとブレーキを踏み、道なりにステアリングを切るだけで済むんじゃないか?そう錯覚さえ覚えてしまう2代目NSX。実際、誰もがNSXの高い性能を楽しめるようにという開発コンセプトがあったらしい。
他でも、日産・GT-R(R35)や、海外のスポーツカーでも同じようなコンセプトで開発されている事から、これも時代のトレンドなのかもしれない。限られた者だけではなく誰でもという点にする事からも、より多くの販売台数を視野にいれているはずだ。

昔見た特撮SFドラマやアニメで見たスーパーカーが現実に登場した。それが2代目NSXを見た編者の印象だ。技術の進歩は凄まじさは目を見張るものがある。昔は様々な手間をかけてやっていた事、ドライバーの技量任せだった要素が全てコンピュータで制御してくれる。本来相反しうる要素も技術でクリアしてしまうのだから。

このまま3代目NSXが開発されようという時代となると、果たしてどのような要求、どのような技術が生まれ、取り入れられてくるのだろうか?想像するだけでもワクワクしてくる。

だが反面、人間自体はどうか?もはや車の進化は、コンピュータ制御がないと対応できない領域まで到達してきているように思える。そのコンピュータ制御が狂った場合、不具合が起きた場合、その時人間は正しく操作できるだろうか?
事故を起こす人の大半は、安全運転の認識欠如、だろう運転、そして車の性能からくる走りなのに、自分の運転技術が優れていると勘違いする過信からきている。そういった人達にこういう車を与えてしまったらどうなるか。。。考えただけで身震いがしてくる。

なんでも自動でやってくれる車だからこそ、ただ機械的に車に乗せられているのではなく、車とはどういうものかを改めて理解して乗る必要があると思う。そのうえで、搭載されたコンピュータ制御システムの機能、メリット、デメリットを理解して乗ったほうが、より上手く乗りこなせるんじゃないだろうか?
そうした事の積み重ねが、車とドライバーがいつまでも1対1の関係でいられる秘訣じゃないかと思うのだが。。。

【文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)

編者
REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。
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