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ストリート正常進化型チューニング – 日産スカイラインGT-R(BNR34)


今回紹介する日産・スカイラインGT-R(BNR34)。
あくまでストリートカーの域を出ず、それでいてGT-R本来の性能を引き出すチューニングで、より高いレベルのストリートスポーツカーを目指して仕上げていった一台だ。

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オーナーは B-line RさんとTcoさんご夫婦。
チューニングとメンテナンスは、横浜のRevolfe S.A.が担当している。
元々重厚感のある日産・スカイラインGT-R(BNR34)だが、ミッドナイトパープルカラーに彩られたこの車からは、まるでワンランク上の高級スポーツカーのような雰囲気を感じさせる。
完成されたチューニングカーは雰囲気が違う、独特のカッコ良さを主張してくると言うが、このGT-Rを見ると、それも納得に思えてくる。

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スキがなくチューニングされたRB26DETTエンジン。パワーは500馬力ほどで、どこでも安定してその性能を発揮できるよう、補器類に至るまで入念に仕上げられている。
主なチューニングメニューをチェックしてみよう。

腰下:N1ブロック86パイ鍛造ピストン
ヘッド:ナプレックハイレスキット
カム:HKS 256
ダービン:HKS GT-SS
サージタンク:ハイパーチューン100パイシングルスロットル
インジェクター:サード800㏄
ラジエーター:サード3層
オイルクーラー:HKS
インタークーラー:トラスト2層
フュエルレギュレーター:サード
インテークパイプ:アブフラッグ製ワンオフ

RB26DETTのチューニングだと600馬力や800馬力、1000馬力クラスのものが存在するが、サーキット専用車だったり、一発の速さを重視で耐久性は度外視など、街乗りの事を考慮しないものもある。

一般的に馬力が上がると、その馬力に見合った燃料や空気が取り込まれてるわけで、当然、それまでとは考えられない負荷が各部に遅いかかってくる。
例えば、200馬力対応で作られたエンジンブロックに800馬力が上乗せされたら、壊れるのは時間の問題。
800馬力対応のエンジンブロックへの交換が絶対となる。
とはいえ、エンジンを丸々社外パーつへ交換してチューニングとなると、とんでもないコスト高となる。
なにより耐久性を考慮するなら、より多くの社外パーツへの交換が発生する場合も出てくる。

ミッションもそうだ。
200馬力対応のミッションに800馬力の駆動をかけてしまうと、こちらもいつ壊れてもおかしくない。
特に日産・スカイラインGT-R(BNR34)は、ドイツのゲドラグ社が開発した6速ミッションが採用されている。
壊したら、かなりの修理費を覚悟しなければならない。

オーナーさんは普通の家庭を持つ一般社会人。
そうポンポン壊れてはたまったものではないし、エンジンやミッションを全て作り変えるような金額も厳しいところ。
ここで500馬力という数字の意味が出てくる。

日産・スカイラインGT-R(BNR34)と同じ第二世代のBNR32 GT-Rが生まれた時代は、量産車べースで争われていた通称「グループA」レースが活況だった。
BNR32 GT-Rはそこで勝つことを目的に、レギュレーションで許された改造でレースを戦えるパフォーマンスが発揮できるよう、開発がなされてきた。
当時のエンジン自主規制で量産車は280馬力となったものの、実際のRB26DETTは600馬力は大丈夫なように設計されていたと聞く。
その思想はBNR34 GT-Rまで受け継がれている。

そうなると600馬力も余裕なのではと思われがちだが、これはあくまでモータースポーツでの話。
極論を言えば、耐久性はレースを走りきる距離だけあれば十分、
レースを終えたらすぐにバラして整備、パーツ交換をすればいいのだから。

しかしストリートカーではそうはいかない。
オーナーさんによって扱い方はバラバラだし、走り方も距離もバラバラ。
頻繁にエンジンの分解整備や部品交換、オーバーホールなんてやっていられない。

であれば、チューニング限界から少し余裕を持たせ、その前提でパワーを上げ、最低限必要な個所だけを強化していけばいい。
パワー、ストリートカーとしての耐久性、チューニングコストを上手くバランスさせたのが、500馬力RB26DETT仕様の一つの回答と言える。

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500馬力を無駄なく路面に伝えるため、それに合わせた足回りもぬかりはない。
車高調はアブフラッグオリジナルのECS3。
タイヤはミシュランPILOTスーパースポーツで、サイズは前後とも265/35-18となっている。
どのパーツも、ストリートからサーキット、最高速アタックで豊富な実績を持つRevolfe S.A. の推奨セッティングとなっている。

どんなに馬力があっても、それを路面に伝えるタイヤが空転していては宝の持ち腐れ。
例えエンジンが弄れなくても、適切な足回りセッティングやタイヤ選択をするだけでも、かなり変わってくる。

もちろん止まるほうも忘れてはいない。
こちらはイタリアのブレーキメーカーフェロードのブレーキパーツが装着されている。
重量級のBNR34 GT-Rだけに、パワーが増せばますほど制動距離が伸びてしまう。
パワーや車体に見合ったブレーキ強化は必須と言える。

さて、実は先日、某最高速テストコースで一度横に乗せてもらったのだが、発進後から強烈な加速が繰り返されたものの、それなのに危うさや怖さはほとんど感じられず、安心して乗っていられた。
乗り心地も意外と悪くない。
長く乗っていてもそんなに疲れなさそうな印象を持った。
壊れないチューニングやストリートカー作りに定評のあるRevolfe S.A.ならではと言える。

長々とこのBNR34  GT-Rについて書いてきたが、もちろん一回でここまで仕上げたわけではない。
オーナーさんはRevolfe S.A.とはとても長い付き合いで、常に担当者と打ち合わせを重ねながら段階的に仕上げ、ここまでステップアップしてきたという。
その過程で細かいトラブルにもいくつか遭遇したが、Revolfe S.A.は真摯な態度でそれに向き合い、オーナーさんも良いBNR34 GT-Rにしてもらおうと積極的に協力し、時に忌憚のない意見もぶつけてきた。
そうした事を繰り返す内に次第にRevolfe S.A.とオーナーさんとの間に絆が生まれ、今では車全般の事は全てお任せする仲に。

Revolfe S.A.に任せて良かったと、オーナーさんはいつもそう言ってくる。

【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS

【取材協力 – 問い合わせ】
B-line R
Revolfe S.A.

編者

REVOLT-IS立ち上げの発起人。サーキット走行会や草レースなど経験が豊富で、スポーツ系チューニングやセッティングに強い関心がある。 サーキットやストリート、ドリフトなどの走りのイベントへ積極的に顔を出しながら、カメラを構えつつ様々な考察をする毎日。