ロータリーエンジン車オーナーのためのイベント”Rotary Expo”の名物、風物詩ともなりつつあるロータリーエンジンの分解ショー。今回の“Rotary Expo 2017”でももちろん開催され、会場となったドライブインもちやでは、多くのギャラリーに見守られながらのパフォーマンスを繰り広げてくれた。
今回の分解ショー、ロータリーエンジン車専門ショップ”リアルテック”の浜口さんと、片山レーシング代表の片山勝美さんのお二方が実演を行い、アシスタントは現役ロータリー車乗りでモデルの桑田彩ちゃんが就き、それを元マツダスピードでドゥー・エンジニアリング代表の田知山さんが見守る体制で行われた。
普段お目にかかれないロータリーエンジンの分解シーン。マイカーのエンジンが通常どうなっているかといった状況はなかなか見ることは叶わない。とても貴重な機会だからか、集まったギャラリーの熱い注目を浴びながらの実演となった。
普段、人の見られながら作業をする事はないからと、笑顔の中にも若干緊張の面持ちで作業を進める浜口さんと片山さん。それでもさすがプロ。合間にエンジンパーツの解説も挟みながら、テンポよく作業を進めていく。今回はイベントなので時間をかけて分解していたが、実作業ならもっと早いはず。
あまり一般には馴染みがない工具も使いつつ、時に繊細に時に大胆にバラしていく。ローターの各エッジにあり、圧縮の要とも言えるアペックスシールのもよくわかるだろう。
今回分解に使われたロータリーエンジンは、元々12A、13B、20Bといった歴代ロータリーエンジンのパーツを組み合わせて組まれていたようで、せっかくだからと、RX-8用RENESISも加え、各ロータリーエンジン毎のパーツ形状や特徴を事細かに解説を頂いた。ローターの焼き付きにはびっくりしたが、なぜそうなったかと言った点も解説して下さり、とても勉強になった。
日々のメンテナンスの重要性をあらためて垣間見たファンも多かったに違いない。
全ローターの分解も終わり、心臓部であるエキセントリックシャフトも無事に摘出された。各ローターを適切に回していきながら、そこから得られた出力を動力として駆動輪に伝えていく重要なパーツ。剛性、精度、バランスが特に重要視される部分で、特にマルチローター化ではその傾向がより厳しくなる。
今回は分解ショーのために特別に用意したロータリーエンジンだが、本来なら取り扱いもより慎重にされるはず。ちょっとの歪みでも本来のパフォーマンスを発揮できないばかりか、最悪エンジンブローの危険もありえるからだ。
分解完了後のロータリーエンジンの各パーツ群。
やはりレシプロエンジンと比べ構成はシンプル。だがそのぶん、エンジンを組む職人の技術と経験でパフォーマンスに差が出やすいエンジンとも言えるだろう。最高の職人の手によるロータリーエンジンとはいかがなものか?考えただけで涎が出てきてしまう(笑)
このロータリーエンジンを見ても、こうしたエンジンが自分達の愛車の心臓部として9000回転近くまで回っている事を思うと、なんだか感慨深くなる。日頃のメンテナンスや運転の仕方で、ロータリーエンジンがどういう状況に陥るかを垣間見た事で、それを見たオーナーさん達は、より大事に、ロータリーエンジンに適した運転や整備を心がけてくれるに違いない。ファンにとっても、とても有意義なロータリーエンジン分解ショーであった。
【取材 – 文 – 写真】
編者(REVOLT-IS)
【モデル】
桑田彩
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Rotary Expo